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医学部は留年しやすい!?留年率が高い理由を解説!

医学部は留年しやすい!?留年率が高い理由を解説!

少子高齢化が加速する現代においてもなお、医師は子供たちの憧れの職業であり、医学部受験生は増加の一途をたどっています。

しかし、せっかく頑張って、医学部合格という難関を突破したとしても、順調に進級できるとは限りません。医学部は、「人の命を預かる」医師を育成するための学部です。医師になるために必要な知識・技術を身に付けるために、履修内容も多岐にわたります。

当然、医学部は他学部と比較して留年しやすく、学生たちには厳しい環境です。

あくまでゴールは「医師になること」。最短で医師を目指すために、留年を回避することは学生にとって非常に大切なことと言えます。

留年についての基本知識

「どうしたら留年するのか」、「留年してしまったらどうなるのか」、漠然とした不安は、余計に不安を誘うものです。

ここで大切なことは、留年について正しく知ることです。つまり留年についての基本知識を身に付けることから始めましょう。

なぜ留年するのか?

留年に関して、恐らく一番に知っておきたいのは「留年の条件」。つまり、なぜ留年するのかということだと思います。

ここでは、考えられる代表的な留年の理由についてご紹介します。

必要な単位数が足りていない

留年の理由としてもっとも大きいもの。それは、進級に必要な単位数を満たしていない場合が考えられます。

「必要な単位数が取得できていること」、これは、医学部に限定したことではなく、大学生にとって、進級もしくは卒業するにあたって必要な要件です。

単位を取得するためには、基本的に、出席率、テスト・レポートの成績が基準を満たしていることが条件として挙げられます。

進級・卒業所要単位については、どの大学、どの学部によっても定められた基準があるため、それを満たさない場合は留年となってしまうのです。

卒業試験で不合格となる

医師になるための最終試験は、もちろん医師国家試験ですが、その前段階である卒業試験も学生にとっては非常に高いハードルです。

全国共通の問題が出題される国家試験と違い、大学によって問題の傾向が異なるため、国家試験の勉強と並行して、自分の大学の卒業試験対策をする必要もあります。

卒業試験に不合格であれば、国家試験を受ける資格が得られず、もちろん留年になってしまうので、なんとしても卒業試験には合格しましょう。

医学部が他学部よりも留年しやすい3つの理由

医学部では、単位を取ることが難しく、卒業試験の難易度も非常に高く設定されています。

その理由について、もう少し深掘りしていきましょう。

履修科目の難易度が高い

医学部の進級が難しい最大の理由は、やはり履修科目の難易度が非常に高いことです。

特に、「基礎医学」では、解剖学・分子生物学・生体学・生理学などの医学科目を学んでいきますが、どの科目も専門性が高いうえに暗記量がすさまじく、実習と並行して勉強しなければならないので、学生にとって履修が非常に難しいようです。

進級の規定が厳しい

また、医学部では進級の規定が厳しいということも理由の一つに挙げられるでしょう。

1年次の教養科目で、一つでも単位を落としてしまうと留年が決まるという大学も多いので、専門科目以外の科目もしっかりと勉強していくことが必要です。

大学の医師国家試験合格率を上げるため

三つ目の理由は、大学側の都合として、その大学における医師国家試験合格率を上昇させたいということがあります。

先にも述べましたが、一般的に、国公立大学医学部よりも私立大学医学部の方が留年率は高い傾向にあります。

なぜ、私立大学医学部は留年率が高くなるのでしょうか。それは、医師国家試験に至る前に、合格が難しいと判断された学生があらかじめ留年となるからです。

医学部を受験するときに、学生が最も注目する項目の一つに、医師国家試験の合格率があります。学生はできるだけ国家試験の合格率が高い学校に入学したいと思うものです。

大学側としては、医師国家試験の合格率を上げ、できるだけ優秀な学生を集めたいと考えるのです。

留年すると何が良くない?

では、実際に留年してしまうと、どんなデメリットがあるかを考えてみましょう。

医師になるまでの年数が延びてしまう

医師になるためには、まず医学部で6年間学び、医師国家試験に合格しなければなりませんが、それですぐに医師になれるわけではありません。

合格してからは、基礎研究医になる場合を除き、研修医として2年間は先輩の医師たちに指導を受けながら診療に当たらなければならないので、医師として独り立ちするためには最低でも8年必要となります。

当然、留年すると、医師として第一線で活躍できるようになるまでの期間が延びてしまうことになるのです。

学費が余分にかかってしまう

もう一つ、学費が余分にかかってしまうことも大きな問題として挙げられます。

医学部は他学部と比較しても学費が非常に高いです。その上、もちろん、留年すれば、留年した分だけの学費がかかることになります。

特に私立大学医学部は、国公立大学医学部よりも学費がかなり高く設定されていますので、留年すると、経済的にもかなりの負担増となります。

留年を繰り返すと退学になることも

留年だけで済めばまだいいのですが、あまりに留年回数が多くなると、退学せざるを得なくなる場合もあります。

一般的には、大学では、通常の在籍期間の2倍までは在籍してよいということになっているため、6年生の医学部においては、最長で12年まで在籍することが可能となります。

つまり、計算上6回までは留年できることになりますが、大学によって条件が異なるので必ず確認しておきましょう。

【2021年最新】医学部の留年率

   

それでは、実際に各医学部の留年率はどのようになっているのでしょうか。

国公立大学医学部の留年率

まずは、国公立大学医学部の留年率を見ておきましょう。

こちらの表は、2015年の各大学医学部の入学者数から最低修業年限での卒業者数をマイナスし、留年および退学した人数を算出した上で、入学者数で割り、6年間で卒業できなかった人数の割合を算出したものです。

退学者も含むため、正確な留年率ではありませんが、医大における退学者は各大学とも割合的には高くないので、誤差の範囲内としてお考え下さい。

国立大学医学部留年率

大学名2015年入学者(A)最低修業年限での卒業者数(B)A-B留年率
1弘前大学132914131.10%
2徳島大学114803429.80%
3島根大学112793329.50%
4九州大学113842925.70%
5旭川医科大学129963325.60%
6香川大学114882622.80%
7岐阜大学110852522.70%
8東北大学1371102719.70%
9新潟大学1321062619.70%
10鳥取大学110902018.20%
11長崎大学121992218.20%
12信州大学120992117.50%
13佐賀大学106881817.00%
14広島大学1201002016.70%
15山形大学1251061915.20%
16東京医科歯科大学108921614.80%
17福井大学115981714.80%
18滋賀医科大学1171001714.50%
19山口大学1171001714.50%
20山梨大学1251071814.40%
21岡山大学1221051713.90%
22熊本大学115991613.90%
23鹿児島大学1171011613.70%
24大阪大学107931413.10%
25群馬大学1241081612.90%
26宮崎大学110961412.70%
27筑波大学1331171612.00%
28金沢大学1171031412.00%
29琉球大学1171031412.00%
30愛媛大学1151021311.30%
31高知大学1151021311.30%
32富山大学110981210.90%
33北海道大学1131011210.60%
34浜松医科大学1201081210.00%
35大分大学10999109.20%
36秋田大学130119118.50%
37千葉大学12411686.50%
38名古屋大学11711076.00%
39神戸大学11711076.00%
40三重大学12512054.00%
41京都大学999722.00%
42東京大学1009911.00%
合計4933420472914.80%

国立大学42大学中、留年率が30%を超える大学は1校のみで、弘前大学でした。20%を超える大学も6校で、全体の留年率の平均は、14.8%。ちなみに留年率が一番低いのは東京大学で留年率はわずか1%、ずばぬけて留年率が低いという結果となっています。

東京大学の医学部といえば、難関中の難関。もちろん、合格までのハードルも非常に高いですが、優秀かつ努力家の学生が集まるので、入学してからも医師国家試験まで、高いモチベーションを持続できる環境と言えます。

では、公立大学医学部の留年率はどうでしょうか。

算出方法は、先ほどの国立大学医学部の留年率と同じです。

公立大学医学部留年率

大学名2015年入学者(A)最低修業年限での卒業者数(B)A-B留年率
1和歌山県立医科大学100772323.00%
2奈良県立医科大学115932219.10%
3京都府立医科大学107891816.80%
4福島県立医科大学1301111914.60%
5札幌医科大学110941614.50%
6大阪市立大学95841111.60%
7横浜市立大学908288.90%
8名古屋市立大学979611.00%
合計84472611814.00%

公立大学は8大学中、留年率が20%を超える大学は1校のみで、全体の留年率で見ると14.0%と、国立大学とほぼ変わらないとうことがわかります。

私立大学医学部の留年率

一方で私立大学医学部の留年率を見てみましょう。

こちらも、算出方法は国立大学医学部のものと同じです。

私立大学医学部留年率

大学名2015年入学者(A)最低修業年限での卒業者数(B)A-B留年率
1川崎医科大学120774335.80%
2産業医科大学105723331.40%
3帝京大学121843730.60%
4近畿大学122883427.90%
5福岡大学110803027.30%
6兵庫医科大学112832925.90%
7杏林大学117873025.60%
8愛知医科大学113872623.00%
9埼玉医科大学1281032519.50%
10東海大学104842019.20%
11北里大学120972319.20%
12東邦大学115932219.10%
13岩手医科大学1361112518.40%
14獨協医科大学120982218.30%
15聖マリアンナ医科大学115942118.30%
16久留米大学116952118.10%
17関西医科大学117962117.90%
18東京医科大学120992117.50%
19藤田医科大学115952017.40%
20日本医科大学114961815.80%
21金沢医科大学110941614.50%
22日本大学1221051713.90%
23自治医科大学1231071613.00%
24昭和大学1171031412.00%
25大阪医科薬科大学111101109.00%
26東京女子医科大学11010198.20%
27慶応義塾大学11410597.90%
28東京慈恵医科大学11210665.40%
29順天堂大学12712343.10%
30東北医科薬科大学
31国際医療福祉大学
合計3386276462218.40%

全31大学中、留年率が30%を超える大学は、川崎医科大学・産業医科大学・帝京大学の3校。20%を超える大学は5校ですが、10%台後半も12校となっており、全体の留年率の平均は18.4%と国公立大学をおよそ4ポイント上回るという結果になりました。

この結果から見ると、私立大学医学部の方が国公立大学医学部と比較して、留年率が高いという傾向にあることが分かります。

医学部に留年しやすい人の特徴

では、医学部に留年しやすい人の特徴とはどのようなものでしょうか。

課外活動に時間を割きすぎる

まず、勉強以外の課外活動に時間を割きすぎる人は、留年しやすい傾向にあると言えます。

医学部入学という狭き門を突破したことで、受験勉強から解放されて、好きなことをたくさんしたいと思うのは当たり前のことですが、あくまで学生の本分は勉強することだと考えてください。

サークル活動や部活動、アルバイトなども学生生活を充実させるためになくてはならないことですが、それらにかまけて、勉強を疎かにしないことが大切です。

入学できたことに満足してしまう

いわゆる「燃え尽き症候群」というのでしょうか、医学部入学がゴールとなってしまい、入学後にモチベーションを保ち続けられない学生も相当数います。

最難関の医学部に入学できたことは素晴らしいことですが、それはあくまで通過点に過ぎません。医師になるという目標をしっかりと掲げて、そこに向かって最大限努力していくことが大切なのです。

自己管理能力が低い

留年しやすい人の特徴として、最後に挙げたいのが「自己管理能力の低さ」です。

受験のときには、できるだけ規則正しい生活を保てるように、生活リズムを整えていても、大学後にそれらが崩れてしまうということはよくあります。

一度崩れてしまった生活リズムを立て直すことは難しいものです。単位取得のために、テスト勉強や、レポート提出など、計画的に取り組まなければならないこともたくさんあります。

目標に対して、持続的に取り組んでいけるよう、自己管理能力を高めていきましょう。

まとめ

「留年する」ということは、学習した内容が定着せず、知識量が不足しているがゆえに起こることです。

医師は人の命を預かる非常に責任のある仕事ですから、求められる知識量も、他の職種とは比較にならないほど多岐にわたっています。そのため、他学部に比べると医学部の留年率が高いということにも、ある程度納得がいくのではないでしょうか。

また、近年、医学部の入学定員数の増加に伴い、学生の質の低下がささやかれている現状を踏まえると、今後ますます留年率は増加していく可能性が大きいと言えます。

しかし、留年するかしないかというのは結局、自分の行動力と精神力次第だということです。「医師になりたい」という明確な意志を持ち続け、効率よく勉強していくことが医学部学生にとっては、一番大切なのです。

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大学入学後も医師国家試験合格に向けて高いモチベーションを持続できるよう、受験生のうちから、正しい勉強法と強い精神力を身につけましょう。