新型コロナウイルスの感染拡大時、多くの人の健康を守る「公衆衛生医師」という医師の働きが注目されました。
病院で診察する医師とは少し違い、社会全体の健康を支える役割を担っています。
今回の記事では、公衆衛生医師になるにはどうしたらいいのか調べている方に向けて、なるまでの流れから仕事内容などを解説します。
目次
公衆衛生医師とは?

私たちの健康は、日々の生活習慣や地域環境、社会制度と密接に関係しています。
こうした「集団の健康」を守る役割を担うのが、公衆衛生医師です。
ここでは、公衆衛生医師の基本的な役割や、臨床医との違いについて解説します。
役割と使命
公衆衛生医師とは、都道府県庁や保健所、市町村の保健センターに勤務し、地域全体の健康課題を医学的視点から診断し、政策立案と施策実行を担う行政医師です。
感染症流行時には疫学データを解析し、医療提供体制を確保する一方で、平時には生活習慣病や母子保健など幅広い予防施策を企画します。
また、他職種(保健師・栄養士・行政職員・民間医療機関など)と連携して法規制や仕組みづくりを行い、地域全体の健康を守るため、さまざまな立場の人と連携しながら活躍する重要な役割を担います。
臨床医との違い
臨床医が「一人ひとりの患者を診察し治療する」のに対し、公衆衛生医師は「集団を対象に疾病を未然に防ぎ、健康を増進する」点が本質的に異なります。
診察室ではなく保健所や庁舎が主な職場であり、診療行為よりも疫学調査、統計解析、条例策定、危機管理マニュアルづくりなどマクロ視点の業務比重が高いのが特徴です。
感染症の現場での聞き取り調査、クラスター対策会議の司会、記者会見での情報発信など臨床医とは異なるスキルセットが求められます。
公衆衛生医師になるには?4ステップで流れを解説

公衆衛生医師になりたいと考えたとき、どのような進路をたどればよいのでしょうか。
ここでは、医学部受験から自治体勤務までの流れを、4つのステップでわかりやすく説明します。
ステップ1:医学部合格
公衆衛生医師になるには、まず医師免許が必要です。
そのためには、大学の医学部に入学することが第一歩です。
大学入学共通テストでは、数学や理科(物理・化学・生物)の得点が重視されます。
近年では、英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)や、志望理由書・面接などで「社会的課題への関心」を問う大学も増えてきています。
ステップ2:医師国家試験と臨床研修
医学部で6年間学ぶと、医師国家試験の受験資格が得られます。
国家試験の合格率は新卒でおおよそ95%です。
合格後は、厚生労働省が定める制度により、原則2年間の臨床研修が義務づけられています。
内科や救急医療など、基本的な診療能力を実地で身につけます。
この臨床経験は、公衆衛生医師として行政判断を行う際にも重要な土台になります。
ステップ3:自治体採用試験
臨床研修を終えた後、公衆衛生医師として働くには、都道府県や政令指定都市などの自治体が実施する採用試験に合格する必要があります。
試験内容は自治体によって異なりますが、多くは面接、作文、専門分野(法令や疫学・統計など)の筆記試験などで構成されています。
ステップ4:研修と社会医学系専門医
採用された後は、自治体内で実務を通じたOJT(職場内研修)を受けながら、公衆衛生に関する専門的な知識を深めていきます。
国立保健医療科学院の研修課程や、公衆衛生大学院(MPH課程)への進学を通じて、知識を体系的に学ぶこともあります。
一定の実務経験などを経て、「社会医学系専門医協会」が実施する試験に合格すると、「社会医学系専門医」の資格が取得できます。
公衆衛生医師の仕事内容
公衆衛生医師の仕事は多岐にわたります。
感染症対策や生活習慣病の予防、母子保健、災害時の医療支援など、地域の健康課題に幅広く対応しています。
ここでは、具体的な業務内容について、分野ごとに詳しく紹介します。
感染症対策
公衆衛生医師は、新型インフルエンザや新興感染症の発生時に地域の感染症対策を担う中心的な存在として、感染拡大を防ぐための調査や指導を行います。
同時に保健所ウェブサイト・SNS・報道機関を通じ正確なリスクコミュニケーションを展開することも特徴です。
COVID-19対応では、クラスター班の立ち上げや大規模接種会場の運営計画など、行政・医療・住民をつなぐハブとして機能しました。
生活習慣病・がん対策
地域特性に応じてメタボ健診や特定保健指導、がん検診クーポンの普及率を分析し、健康に関する取り組みをよりよい形に進化させます。
例えば、働き盛り世代の検診受診率が低い自治体では、職域健診データと連携してリスクの高い住民に個別通知を郵送したり、オンライン保健指導を導入したりするなどの施策です。
学校や地域での健康教育や検診の普及など、生活習慣病を予防するさまざまな活動を企画・実行します。
母子保健・精神保健・難病
妊産婦のフォローや児童虐待予防の多職種ケース検討、若年層自殺予防プログラムなど、脆弱層を支える体制整備も仕事内容の一つです。
精神保健では、研修やSNS相談窓口を企画し、難病分野では指定難病医療費助成と地域難病相談支援センターの連携強化を推進するなどの活動があります。
食品・環境衛生
飲食店のHACCP導入指導、学校給食センターの監査、工場排水や公共水域の水質検査結果の評価など、日常生活の安全・安心を守る監視行政も担当領域です。
条例違反に対する業務停止命令やリコール公表を行う際には、科学的根拠を示しつつ事業者・消費者へわかりやすく説明する能力が求められます。
災害医療・健康危機管理
地震・豪雨・火山噴火など大規模災害が発生した場合、避難所の感染症対策・衛生環境の評価、避難生活に伴うエコノミークラス症候群や持病悪化の防止策を策定します。
災害派遣医療チーム(DMAT)や保健師、自治体職員と連携し「被災直後」「復旧期」「復興期」に応じた健康危機管理計画を主導するのも役割です。
公衆衛生医師の年収や働き方

ここでは、給与モデルや昇進、勤務時間、ワークライフバランスなど、気になる待遇面について解説します。
年収と昇進モデル
給与は自治体の医療職給料表を基準に決定され、一部自治体の例では、医師としての経験が5年程度で年収1,100万円前後、10年程度で1,300万円前後となるケースもあります。
ただし、勤務地や役職によって異なります。
課長代理級からスタートし、課長・部長・局長級へ昇進するたびに役職加算が上乗せされるなどのケースがあります。
ワークライフバランス
勤務時間は、原則8:45〜17:30、週38時間45分で土日祝日休みとなっています。
当直・夜間呼び出しは臨床医より大幅に少なく、休日勤務が発生するのは健康危機や災害時に限定されます。
年次休暇20日に加え、夏季・冬季休暇や育児休業制度も整備されており、医師としての専門性を維持しつつ家庭や研究との両立が可能です。
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まとめ

感染症の流行や災害対応、生活習慣病の予防など、社会の健康課題に幅広く関わるのが公衆衛生医師です。
その道を目指すには、まず医学部に合格し、医師としての土台をしっかり築く必要があります。
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