日本の医学部が原則6年制であるのはなぜかという疑問を持つ方に向けて、日本の医学教育制度の仕組みと背景をわかりやすく解説します。
日本では法律により、医学部は原則6年制と定められており、現時点で4年制の医学部は存在しません。
一方、海外(特にアメリカやイギリス)では、学士号取得後に進む4年制の医学プログラムも一般的です。
この記事では、医学部が6年制となった法的根拠や教育課程の内容、4年制との違い、海外のMD課程の構成、将来的な制度改革の動向までを体系的にまとめます。
目次
医学部はなぜ6年制なのか?
日本の医学部が6年制となっている背景には、法律で定められた明確な理由があります。
ここでは、医学部が6年制になった経緯と法的な根拠、6年間で行われる教育内容と国際的な医学教育基準との関係について整理します。
医学部が6年制になった経緯と法律上の理由
日本の大学教育において医学部は他学部より長い6年制ですが、その根拠は学校教育法に定められています。
戦後の学制改革で大学課程は4年制が基本とされたものの、医学・歯学・獣医学については高度な臨床能力習得が必要なため例外的に6年制と定められました。
学校教育法で「修業年限は六年とする」と明記されており、これにより日本国内では医学部は6年間の課程を修めなければなりません。
この6年という期間は、膨大な医学知識と技能を体系的に習得し、医師としての基礎を築くために必要なものです。
臨床実習や国家試験に必要な学習時間
医学部のカリキュラム後半には、医療現場での実践的な教育が本格的に始まります。
臨床実習は主に5〜6年次にかけて実施され、学生は実際の病院や診療所で診療チームの一員として経験を積みます。
実習に入る前には、全国統一の共用試験(CBTおよびOSCE)が課され、基礎知識や診療技能、態度が一定水準に達しているかを確認します。
6年次には各大学で卒業試験が行われ、これに合格すると医師国家試験の受験資格が得られます。
こうした段階的な教育過程によって、医学部の6年間は単なる講義や実験にとどまらず、臨床実践と国家試験合格に直結する総合的な学びとして構成されています。
国際的な医学教育基準との関係
日本の医学教育は国際標準に沿った改善が進められており、2015年から医学教育分野別認証制度が導入されています。
一般社団法人日本医学教育評価機構(JACME)が各大学の医学部を国際基準に基づき認定しており、これにより日本の医学部教育が国際基準に整合していることが確認されています。
この国際認証により、日本の医学教育は海外からも評価されていると言えるでしょう。
日本に4年制の医学部は存在する?

ここでは、日本国内では医学部が法的に6年制と定められている現状と、4年制医学部が存在しない理由を説明します。
また、医学部と混同されやすい他の4年制医療系学部との違いや、例外的な編入制度・大学院進学の可能性について解説します。
現在の日本の医学教育制度とその年限
日本の医学部は法律上6年制と定められており、4年間で医師となる学部課程は存在しません。
医学部に入学した学生は6年間の課程を修了して初めて「学士(医学)」の学位を取得します。
医学部医学科の卒業は医師国家試験の受験資格となっており、医学部卒業なくして日本で医師免許を得ることはできません。
このように長い学習期間が課されているのは、医師として必要な幅広い知識と技能を段階的に身につけさせるためです。
なお、歯学部や獣医学部も同様に6年制であり、薬学部については臨床薬剤師を養成する薬学科が6年制、創薬研究などを目的とする学科が4年制と区分されています。
医学部以外で「医」と付く名称でも4年制のものは、医師ではなく別の医療専門職を養成する学部です。
医学部と混同されやすい4年制医療系学部
医学部と名前が似ているものの、実際には別の職種を育成する4年制の医療系学部がいくつかあります。
代表的なものとして、看護学部、臨床検査学科、放射線技術科学科、理学療法学科などが挙げられます。
これらは医療チームの一員となる専門職(看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、理学療法士など)を養成する学部であり、卒業時にはそれぞれの国家試験受験資格が与えられる点は医学部と似ています。
しかし、カリキュラム内容や目指す資格が大きく異なり、これら4年制学部では医師免許を取得することはできません。
また、医学部では基礎医学から臨床医学まで幅広く学ぶのに対し、看護・検査・リハビリなど各分野の学部はその専門領域に特化した教育を行います。
高校生の中には「医療系=医学部」と誤解してしまうケースもありますが、自身の志望する職種によって進むべき学部は異なるため注意が必要です。
特殊な制度(大学院型・編入型)の可能性
現在、国内に4年制医学部は存在しません。
ただし将来的に制度改革を求める提案が議論されることがあります。
一つは学士編入制度です。
これは4年制大学卒業者を対象に医学部3年次などに編入させる制度で、1975年に大阪大学で開始されましたが、その募集枠はわずかで一般的な道とは言えません。
また、近年米国型の4年制医学専門職大学院(メディカルスクール)創設が提案されることもありますが、現時点では実現していません。
結局、2025年現在では医師になるには6年制医学部進学が基本であり、それ以外のルートは限られています。
海外の4年制医学プログラムとは?

次に、海外で一般的な4年制の医学プログラムについて見ていきましょう。
主にアメリカやカナダの医学教育システムを例に、その仕組みや入学条件を解説します。
また、海外で医学を学んだ場合に日本で医師免許を取得する際の注意点についても触れます。
アメリカ・カナダのMDプログラムの仕組み
アメリカやカナダにおける医学教育は、日本とは大きく異なり大学院レベルのプロフェッショナルスクールとして提供されています。
高校卒業後すぐに医学を学ぶのではなく、まず4年制大学で学士号(学部)を取得してから医学専門課程に進むのが一般的です。
この医学専門課程はメディカルスクールと呼ばれ、プログラムは4年間で構成されています。
メディカルスクールの前半2年間は解剖学・生理学などの基礎医学や講義・実習を中心とした臨床前教育が行われ、後半2年間は病院での臨床実習が行われます。
学生はこの4年間で医学知識と臨床技能を修得し、修了時には、医師資格に直結する専門職学位であるM.D.(Doctor of Medicine)が授与されます。
卒業後は国家試験に合格してから各専門分野の研修に進み、専門医資格を取得する流れです。
入学条件・学士前提のカリキュラム構成
海外の4年制医学プログラムに入学するためには、学士号を有していることが前提条件です。
多くの学生は大学で生物学・化学などのプレメディカル科目を履修し、高い成績を収めておく必要があります。
また、MCAT(医学部入学適性試験)のスコア提出も必須です。
課外活動実績や推薦状、志望理由なども総合的に評価されます。
イギリスでは通常5年制ですが、大卒者向けに4年制のGraduate Entryコースを設置する大学もあります。
この場合も学士号やGAMSATなどの試験が要求されます。
日本で医師免許を取得する際の注意点
海外で医学を学んだ人が日本で医師になるには、注意点があります。
日本の医師国家試験を受験するには、卒業した外国の医学校の教育課程が日本の基準に合致しているか厚生労働省の審査(受験資格認定)を受ける必要があります。
教育年限や臨床実習時間が不足する場合、受験資格が認められないことがあります。
厚生労働省も公式に注意喚起しています。
なお、日本の国家試験に合格した後も2年間の初期臨床研修(研修医勤務)が義務付けられています。
医学部4年制と6年制の違いを比較
ここでは、日本の6年制医学部と海外の4年制医学プログラムの違いを様々な観点から比較します。
学ぶ内容やカリキュラムの構成、学費や留学コストの差、卒業後のキャリアパスなどについて整理し、自分の進路選択の判断材料としましょう。
学ぶ内容とカリキュラムの違い
6年制と4年制では教育課程の構成が異なりますが、最終的に習得すべき医学知識と臨床技能に大きな差はありません。
日本の6年制医学部では、高校卒業直後の学生を対象に1~2年次で一般教養や基礎科学から始まり、3~4年次に基礎医学・臨床医学の講義や実習、5~6年次に長期の臨床実習という流れで徐々に専門性を高めていきます。
一方、海外の4年制医学プログラムでは大学卒業者が対象のため、初めから医学の専門教育に集中したカリキュラムが組まれています。
両者のカリキュラムには形式上の年限の違いはありますが、医学教育の国際基準に基づき必要な科目や能力は共通して養われるよう設計されています。
学費・学習期間・生活費の比較
日本の6年制医学部と、海外の4年制MD課程では、教育年限や費用構造、生活環境に大きな違いがあります。以下の表で、それぞれの特徴を整理します。
| 比較項目 | 日本の6年制医学部 | 海外の4年制MD課程 |
| 学費(授業料) | 国公立:約350~400万円 私立:平均約3,000万円前後(大学により約2,000万〜4,600万円程度) | 約2,500万〜4,000万円程度(4年)+学士課程4年分の授業料 |
| 学習期間 | 高校卒業後6年間 | 学士課程4年+医学課程4年(計8年以上) |
| 生活費・滞在費 | 自宅・国内生活が中心 | 渡航費・住居費・医療保険料などにより、学費とは別に年間数百万円規模の負担が生じる |
| 国家試験 | 医師国家試験(国内) | 各国の医師資格試験(例:USMLE)に加え、日本で医師として働くには別途、医師国家試験の受験資格審査が必要 |
(出典:京都医塾)
自分に合った進路の選び方

最後に、国内進学と海外進学それぞれのメリット・リスクを踏まえ、自分に合った進路を選択するための考え方をまとめます。
将来なりたい医師像や活躍したいフィールドから逆算してキャリア設計する方法、医学部合格に向けた準備のポイントについて解説します。
海外進学・国内進学それぞれのメリットとリスク
国内の医学部進学と海外の医学プログラム進学には、それぞれ明確なメリットとリスクがあります。
以下の表で主な違いをまとめます。
| 項目 | 国内医学部進学 | 海外医学プログラム進学 |
| 主なメリット | ・学費が比較的安く、制度が整っている・国家試験・研修制度が明確で安心・日本語環境で学びやすい | ・最先端の医学教育と国際的視野を得られる・語学力・国際キャリア形成に有利・卒業後に海外での臨床や研究も可能 |
| 主なリスク・課題 | ・入試競争が非常に激しい・国際的な臨床経験を積む機会は限られる | ・学費・生活費が高額・帰国時の受験資格認定など手続きが必要・学士課程+医学課程で実質8年以上かかる |
(出典:厚生労働省 医師国家試験受験資格手続き)
将来像から逆算したキャリア設計
将来、自分がどの国でどのような医師になりたいかを明確にすると、進むべき道が見えてきます。
例えば、将来海外の医療現場で活躍したいなら、初めから海外の医学部に進学するか、日本の医学部を卒業してから海外で研修・勤務する道が考えられます。
一方、日本の地域医療に貢献したい、あるいは国内で専門医や開業医になりたいという目標があるなら、国内の医学部に進学するのが現実的でしょう。
このように、いつまでにどこで何をしたいかという将来像から逆算して考え、その実現に有利な進路を選択することが大切です。
医学部専門予備校の活用と準備の始め方
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ただし予備校を利用しても、自ら主体的に学習しなければ成果は出ません。
まずは高校で習う基礎学力をしっかり固め、模擬試験などで現在の実力を把握しましょう。
その上で必要に応じて予備校の説明会や体験授業に参加し、自分に合った学習環境か見極めることが大切です。
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まとめ

日本の医学部が6年制であるのは、法律により医師としての専門知識と臨床能力を十分に養うためと定められているからです。
海外では学士号取得後に進む4年制プログラムもありますが、教育内容や資格制度が異なり、帰国後の医師免許取得には追加の手続きが必要です。
つまり、どの進路を選ぶかは、将来どの国でどのような医師として活躍したいかを基準に考えることが大切です。
一方で、どのルートを選んでも共通するのは、確かな学力と計画的な学習習慣が求められるという点です。
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