アドミッションポリシーは、各大学・学部が示す指導方針の一つで、大学がどのような人材を求め、どのように育成するかを明示して公開しています。
受験生は各大学のアドミッションポリシーを知ることで、志望校の選定や総合型選抜(旧AO入試)対策、面接対策、志望動機の記入時など、さまざまな場面に活用できます。
そこで今回の記事では、実際のアドミッションポリシーの具体例をいくつかご紹介したうえで、医学部受験への活用法を解説します。
目次
アドミッションポリシーとは?

「アドミッションポリシー」とは、大学の教育理念や指導目的、特徴を踏まえ、「どのような学生に入学してほしいのか」という大学側の考え方をまとめた指針のことです。
日本の大学では、大学全体の方針だけでなく、学部・学科ごとにもそれぞれのアドミッションポリシーが示されるのが一般的です。
大学としての基本方針とも言えるため、場合によっては選抜方法や出題内容、面接時の質問などに影響を与えることがあります。
3つのポリシーの位置づけと意味
大学が掲げる「三つの方針(ポリシー)」は、アドミッションポリシー(AP)だけでなく、ディプロマポリシー(DP)、カリキュラムポリシー(CP)とあわせて理解することが大切です。
| ポリシー | 定義 | 受験生の読み方 | 面接・書類での活かし方 |
| DP(ディプロマ) | 卒業時に身につける力 | 大学が育てたい最終像 | 自分の将来像と一致点を述べる |
| CP(カリキュラム) | その力を付ける教育方法 | 学び方・評価方法の特徴 | 学びたい内容が自分の計画に合う理由 |
| AP(アドミッション) | 受け入れる学生像・選抜方針 | 求める資質のキーワードを抽出 | キーワード→自分のエピソードで適合性を示す |
※3つの方針は2017年4月から全大学に策定・公表が義務付けられています。
このように、志望校のアドミッションポリシーを読む際は、DPやCPとの関係まで意識することで「大学が求める人材像」と「自分の将来像」をより具体的に結びつけられます。
アドミッションポリシーの具体例
アドミッションポリシーの概観についてイメージがついたところで、実際に各大学でどのような内容が示されているのか、いくつか医学部医学科の例を見てみましょう。
・例1:千葉大学医学部医学科のアドミッションポリシー
| 千葉大学医学部では,次に掲げる目標を卒業時に達成するための教育を行っています。 1.医学的知識・技能を理論と根拠に基づいて応用し,適切な判断と医療が実践でき,生涯 にわたり自らの能力を向上させることができる 2.医療制度を適切に活用し,社会および医療チームの中で医師としての役割を果たし,患 者中心の医療を実践できる 3.科学的情報を批判的に吟味し,新しい発見と創造のための論理的思考と研究を行える (中略) 3 入学までに身に付けて欲しいこと 医学部では,広範囲で多様な学問分野,基礎医学,社会医学,臨床医学を学修します。将来, 国内外の様々な医学関連分野で活躍するために必要な基礎学力と医学への高い関心,倫理観, そして広く社会に目を向ける姿勢を身に付けておくことを望みます。 |
(引用元:千葉大学 医学部医学科)
・例2:大阪大学医学部医学科のアドミッションポリシー
| 【求める人材像】 医学部医学科では、地域医療に貢献する人材や、世界をリードする医師・研究者を養成することを教育目標とし、これを実現するため、以下のような資質・能力を持った学生を受け入れます。 (1) 高度な倫理観に裏付けられた豊かな人間性を持ち、組織においてリーダーシップを発揮できる者 (2) 医学科の教育課程を履修するに必要な高度な学力、知性および語学力を有する者 (3) 医学の進歩に貢献するとの強い信念を持ち、それを実現する行動力を有する者 (4) 多様な価値観を受け入れる柔軟性と知への探究心、自由で豊かな発想力を持ち、創造性を発揮できる者 (5) 社会における自らの役割を理解し、協調性と責任感をもってそれに貢献する意欲のある者 |
(引用元:大阪大学 医学部医学科)
・例3:北里大学医学部医学科のアドミッションポリシー
| 求める学生像 (1) 医学の習得に必要な数学・理科・英語の基礎学力に加え、論理的に思考・判断し、表現する能力を持つ学生 (2) 知的探究心を持ち、自己学習と自己研鑽に努めることができる学生 (3) 医学並びに医療行為を通じて社会的、国際的に貢献したいと考える学生 (4) 患者・家族の立場に立って物事を考え、行動できる学生 (5) 医師であることはもとより、一人の人間として相手に共感できる思いやりを持つ学生 (6) 社会常識や良識に基づいたコミュニケーション能力を持ち、良好な人間関係を構築できる学生 |
(引用元:北里大学 医学部医学科)
大学によってアドミッションポリシーの内容は異なる
上記3つの大学のアドミッションポリシーを見比べると、「同じ医学部医学科であっても、大学によって示している内容が異なる」ことがお分かりいただけるでしょう。
アドミッションポリシーは、その大学の特色や教育方針を端的に示した内容です。
そのため、アドミッションポリシーを確認することで、自分の求める学習環境に合った大学の医学科を選ぶ手がかりになります。
複数の大学のポリシーを読み比べれば、同じ医学科でも大学ごとに教育の方針や重視する人材像が少しずつ違っていることに気づくはずです。
大学はなぜアドミッションポリシーを示すのか?
次に、なぜ大学側がわざわざアドミッションポリシーを公開しているのかを考えてみましょう。
大学がアドミッションポリシーを示すのには、大学・受験生双方にとって重要な理由があります。
大学の求める人材と入学者のミスマッチを防ぐ
大学入試は高校卒業資格を持った人全てに平等に与えられた機会であり、受験生は自分自身の進路を自由に決定できます。
そのため受験生は通学距離や学力、学費などさまざまな条件を考慮し志望校を検討しますが、その大学の指導方針が自分の思い描いていたものと大きく違っていた場合、入学後にギャップを感じてしまうことがあります。
大学にとっても受験生にとっても、このようなミスマッチによって学ぶ機会が失われることは避けたいものです。
そのため各大学は自らの特徴や指導方針をまとめて「アドミッションポリシー」として公開し、受験生に事前に確認してもらうことで、「大学が求める人材像」と「受験生が目指す方向性」のズレを防ぐ狙いがあります。
受験生側から見れば、志望校選びの段階でアドミッションポリシーを読んでおくことで「その大学が自分に合っているか」を判断する重要な材料になります。
受験生がアドミッションポリシーを確認するべき3つの理由

ここでは、医学部を目指す受験生がアドミッションポリシーを確認するべき3つの理由を詳しく解説します。
①志望大学の選定や志望校理解に役立つ
アドミッションポリシーは各大学・学部・学科が求める人物像や教育の特徴を端的にまとめているため、その内容を確認することで志望大学の選定や志望校への理解に大いに役立ちます。
志望校のアドミッションポリシーを知ることで、その大学がどのような教育理念を持ち、どのような学習環境を提供しているのか、またその大学で学ぶことでどのような人物に成長し得るのかをイメージすることができます。
例えば前述のとおり、大学によって「国際的に活躍できる人材を求める」「地域医療に貢献する意思を重視する」などポリシーの内容はさまざまです。
アドミッションポリシーを読む中で自分が共感できるポイントが多い大学であれば、自分に合った校風や教育方針である可能性が高いでしょう。
②面接試験の回答や志望理由書の作成に役立つ
医学部受験においては、面接試験や志望理由書(自己推薦書・エントリーシート)、小論文などで自分の考えや志望動機を述べる機会が多くあります。
アドミッションポリシーには大学が重視する価値観や求める人物像が明記されているため、それを確認しておくことは、これら「自分の考えを述べる」場面で有効です。
受験生は各大学のアドミッションポリシーに照らして自身の経験や取り組みを整理し、面接試験での回答に適切に盛り込むことができます。
また志望理由書や小論文を書く際にも、志望大学の教育方針やカリキュラムに共感する点をアドミッションポリシーから見つけ出し、志望動機に織り込むことができます。
アドミッションポリシーをしっかり読み解き理解しておけば、「なぜその大学を志望するのか」「なぜその大学でなければならないのか」という問いに対し、具体的かつ大学ごとに適合した回答を用意することが可能になります。
③モチベーションアップにつながる
アドミッションポリシーの確認は、受験生のモチベーションアップにもつながります。
受験勉強は長く困難な道のりです。
そのため、モチベーションを高く維持し学習の質を落とさないようにすることは、合格をつかみ取る上で非常に重要です。
大学が求める人物像を確認することで「自分が目指すべき具体的な目標像」をイメージできるでしょう。
また、アドミッションポリシーには大学の教育方針に関する情報も含まれているため、読んでいく中で「将来その大学で学ぶ自分」を具体的に想像しやすくなる効果もあります。
自分が志望する大学が描くビジョンに共感できれば、「ぜひこの大学の一員になりたい」という意欲が高まり長丁場の受験勉強を支える原動力となるでしょう。
アドミッションポリシーの確認は、志望校選びや自己理解、学習意欲の向上に大いに役立つ要素なのです。
出願書類にアドミッションポリシーの内容を反映させる方法
ここまで確認したように、アドミッションポリシーは志望校選びから面接対策まで幅広く役立ちますが、実際に出願書類や試験でどのように活かせばよいのでしょうか。
特に医学部入試では願書提出時の志望理由書や、二次試験の面接などでアドミッションポリシーの内容を踏まえた自己PRが求められることがあります。
ここでは、出願時の書類および面接試験にアドミッションポリシーの内容を活用する方法をまとめます。
志望理由書でアドミッションポリシーを活かすには
まず、志望理由書やエントリーシートなど出願書類を書く段階では、志望先大学のアドミッションポリシーをよく理解し、その内容を自分の経験や強みに結び付けて表現することが重要です。
具体的には、志望大学がアドミッションポリシーで示している「求める学生の資質・能力」を一通り洗い出し、その中から自分に当てはまるものや共感できるキーワードをピックアップします。
そのキーワードに対応する自分自身のエピソードやこれまでの取り組みを振り返り、志望理由書の中でアピールしていきます。
例えば、アドミッションポリシーに「主体的に学習に取り組む意欲を持つ学生」とあれば、自分が高校時代に自主的に研究や課外活動に取り組んだ経験を書き添えるとよいでしょう。
しっかり読み込んだうえで得たキーワードや価値観を踏まえて、「なぜ数ある大学の中でその大学なのか」を示せれば、志望度の高さと適合性をアピールすることができます。
面接試験でアドミッションポリシーを活かすには
次に、医学部の面接試験でもアドミッションポリシーの理解度やそれに対する適合度を問われる場面があります。
まず、面接前の準備段階でアドミッションポリシーの中で印象に残った言葉やフレーズをいくつかメモしておきましょう。
その言葉に共感した理由や自分の体験に照らして感じたことを説明できるようにしておきます。
面接ではまずポリシーに関する質問に答え、その後「では具体的にあなたはそのポリシーにどう合致していますか?」という深掘りが続くこともあります。
このような場合に備えて、自分がアドミッションポリシーに合致することを示すエピソードをあらかじめ考え、言語化しておくと安心です。
模擬面接などで練習し、用意したエピソードをスムーズに話せるようにしておけば本番でも落ち着いて対応できるでしょう。
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まとめ

この記事では医学部志望者が志望校のアドミッションポリシーを確認し、大学側が求める人材像を理解することの大切さを解説しました。
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