共通テストの化学は、理系受験生にとって得点源にも失点源にもなり得る重要科目です。
医学部志望の場合は特に高得点が求められるため、出題形式や傾向を正しく理解し、効率的な勉強法で安定した得点力を身につける必要があります。
この記事では、共通テスト化学の特徴や頻出分野、問題を解くコツから学習の進め方までを解説します。
2025年度までの出題傾向を踏まえたポイントを押さえ、苦手分野を減らし基礎を固めることで、2026年度の共通テストで目標点数を狙える実力をつけましょう。
目次
共通テスト化学の全体像
まずは、共通テスト化学の位置付けや試験時間、配点などの概要を整理します。
| 項目 | 内容 |
| 科目名 | 化学(理科・発展科目) |
| 試験時間 | 60分 |
| 配点 | 100点 |
| 大問数 | 5題(全問必答) |
| 解答形式 | マークシート方式 |
| 主な出題分野 | 理論化学/無機化学/有機化学/高分子/総合問題 |
共通テストの化学は、理科の中でも受験者数が特に多い科目です。
全問マーク式で5つの大問すべてに解答する形式であり、理論・無機・有機・高分子といった全範囲からバランスよく出題されます。
医学部を志望する理系受験生にとっては、物理と並んで事実上の必須科目となることが多く、共通テスト全体の中でも配点の重い科目と位置付けられます。
出題傾向と問題構成

共通テスト化学の問題構成や出題傾向を把握することで、効率よく得点するための戦略が立てられます。
ここでは大問の構成と解答形式の特徴、分野別の出題比率、そして平均点の推移と難易度の特徴について見ていきます。
大問構成と解答形式の特徴
共通テストの「化学」は大問5題で構成され、各20点×5題の100点満点です。
センター試験時代のような選択問題はなく、すべての大問が必答となっています。
計算過程の数値を桁ごとにマークする問題など、新傾向の設問も見られます。
文章量が多く初見の題材も含まれるため、60分で5題を解き切るには解答順序や時間配分の工夫が必要です。
得意分野の大問から解き始める、知識問題を先に処理し重い考察問題を後回しにするなど、自分なりの戦略を準備しておきましょう。
分野別の出題比率
共通テスト化学では理論化学・無機化学・有機化学の全範囲から満遍なく出題されます。
第1問・第2問は理論化学(物質の構成、物質の状態、化学反応と平衡)、第3問は無機化学、第4問は有機化学(高分子を含む)が定番の構成です。
第5問は複数分野を融合した総合問題で、天然高分子と合成高分子など有機・無機を横断するテーマが扱われます。
特定分野に偏らずほぼ均等に出題され、センター試験時代のような「この単元はほぼ出ない」という偏りはありません。
限られた勉強時間では、まず自分が得点源にしやすい分野を優先しつつ、苦手も含め全分野の基礎を一通り固めておくことが高得点への近道です。
平均点と難易度の推移
共通テスト化学の平均点は、おおむね50点前後で推移していますが、年度によって難易度が大きく変動します。
| 年度 | 平均点(100点満点換算) |
| 2021年度 | 57.59点 |
| 2022年度 | 47.63点 |
| 2023年度 | 54.01点 |
| 2024年度 | 54.77点 |
| 2025年度 | 45.34点 |
※出典:大学入試センター 共通テスト 受験者数・平均点の推移
2021年度は57.59点と比較的高い平均点でしたが、2022年度は47.63点まで下がり、大幅な難化が見られました。
2023年度と2024年度は再び54点台まで戻っていますが、2025年度は45.34点と共通テスト化学として過去最低の平均点となっています。
このように平均点の推移を見るだけでも、年度によって問題の解きやすさが大きく変化していることが分かります。
頻出分野と押さえておくべきテーマ

共通テスト化学では毎年決まって問われやすい定番のテーマがあります。
それぞれの分野で頻出の内容を事前に押さえ、典型問題に慣れておくことで、本番での取りこぼしを減らすことができます。
ここでは理論・無機・有機・高分子とデータ読解の各分野で特に重要なテーマと学習のポイントを解説します。
理論化学で毎年問われるパターン
理論化学では毎年ほぼ必ず出る定番テーマがあります。主に以下のようなテーマです。
- 物質の状態:気体の法則や状態変化
- 溶液の性質:濃度計算や浸透圧など希薄溶液の性質
- 酸・塩基と化学平衡:pHや平衡定数の計算
- 電池・電気分解:電池の電圧計算や電気量の扱い
- 反応熱・反応速度:熱化学方程式や速度式の利用
これらは典型的な計算問題が多く、問題パターンもある程度決まっています。
例えば熱化学方程式や電離平衡の計算、平衡移動の考察などは過去問でも頻出です。
基本公式を丸暗記するだけでなく、問題文から条件を読み取り式に落とし込む練習が重要です。
典型問題を繰り返し解いて計算手順に慣れ、正確かつ迅速に解答できるようにしておきましょう。
無機化学で差がつく反応・性質
知識量が重要となる無機化学では、覚えているかどうかで差がつくポイントが多々あります。
典型例として、気体の発生方法と性質、特定イオン同士の反応(沈殿の生成条件や色)、金属の精錬法、炎色反応、酸化剤・還元剤の代表物質などは頻出です。
範囲が非常に広いため、細部にこだわりすぎず教科書や資料集の重要事項を一通り押さえましょう。
たとえばハロゲンや典型元素の製法・性質、硫黄や窒素の酸化物の生成、沈殿反応の色と溶解条件など、基本事項を網羅的に確認してください。
細かい知識だけを問うようなマニアックな問題は出にくいため、広く全体を学習しておくことが大切です。
暗記には表や一覧を活用し、定期的に復習して知識を定着させましょう。
有機化学で頻出の構造・反応
有機化学では脂肪族・芳香族の構造決定や典型反応が頻繁に問われます。
官能基の性質、アルコール・エーテルやカルボン酸・エステルなど基本的な反応系、異性体の種類や数を考える問題もよく出題されます。
特に構造異性体を全て書き出す問題は慣れていないと時間がかかるため、繰り返し練習してパターンに慣れましょう。
また、芳香族化合物の置換反応(ニトロ化・ハロゲン化など)やアルケンの付加反応、高分子合成につながる重合反応も重要です。
反応経路を自分で図に描いて整理する勉強法が効果的で、試験でも構造式を書いて考える習慣がミス防止につながります。
元素分析のデータから分子式を決定するような総合問題もあるため、基本事項を深く理解して柔軟に対応できる力を養いましょう。
高分子の基本知識と定番問題
高分子化合物では、天然高分子(デンプン・セルロース・タンパク質など)と合成高分子(合成樹脂・合成繊維・合成ゴムなど)の代表例と性質の違いを押さえておきましょう。
典型的な問題として、アミノ酸がペプチド結合で連結するときの副産物の水の数、セルロースとデンプンの構造上の違い、高分子の分類や用途などがよく問われます。
共通テストでは高分子分野から細かい難問が出ることは少なく、基本知識の正確な理解があれば対応できる設問が中心です。
教科書の高分子単元をざっと復習し、天然と合成の違いを表にまとめて整理すると理解が深まります。
時間があれば、代表的な高分子(ナイロン、PET、天然ゴムなど)の生成法や用途も確認し、選択肢で迷わないように準備しましょう。
表・グラフを使ったデータ読解問題の特徴
文章や実験結果の表・グラフから情報を読み取り考察させる問題も出題されています。
これには与えられたデータから必要な情報を抜き出し、条件を整理して解答まで導く力が必要です。
対策としては、グラフの軸や表の単位に注意し、何のデータか素早く把握する練習が有効です。
問題文中の数値やキーワードに下線を引き、問われていることを段階的に整理しましょう。
例えばグラフ上の一点の数値を読み取る際には、補助線を引いて正確に値を拾うなど丁寧な作業を心がけます。
時間配分のコツとして、難解なデータ分析問題は後回しにし、まずは知識や基本計算で解ける問題から手を付けることも重要です。
過去問演習で表やグラフの読み取りに慣れておき、本番では焦らずに必要なデータを見極められるようにしましょう。
思考力が問われる問題の攻略法
共通テスト化学では知識だけでなく考察力を試す問題も出題されます。
実験データや複数の条件を組み合わせて推論する問題、長いリード文から必要なヒントを見つけ出して解答する問題など、大学入試らしい思考型問題への対策も重要です。
ここでは、情報を組み合わせて考える方法と、計算・文章・図表を統合して解くコツについて見ていきます。
情報を組み合わせて考える
共通テスト化学の思考力問題では、複数の情報を関連付けて推論する力が問われます。
長いリード文に実験条件や結果が詳細に書かれ、その中から化学の基本原理に基づいて結論を導く設問が典型です。
対策として、与えられた条件をまず箇条書きに整理し、それぞれから推論できることを一つずつ考える訓練が有効です。
過去問の考察系問題を使って、情報整理から仮説を立てて結論を出すという一連の流れに慣れておきましょう。
計算・文章・図表を統合する
長文や複雑な図表を伴う問題では、文章・図表・計算の情報を統合して解く力が求められます。
ポイントは、手順を細かく区切って対処することです。
まず問題文から数値関係を式に書き出し、何を求めるべきか明確にします。
次に途中計算も省略せず一つひとつ紙に書いて処理しましょう。
暗算や思い込みで飛ばすとミスにつながるため、手を動かして検算する習慣が重要です。
図表問題でも、軸の目盛りや単位を確認し、読むべき値に印を付けて丁寧に読み取ります。
考察問題は難しく感じますが、ステップごとに対処すれば確実に得点できます。
日頃から練習で時間を計り、限られた時間内で正確に解答までたどり着く訓練を積んでおきましょう。
共通テスト化学の効果的な勉強法

最後に、共通テスト化学で得点力を伸ばすための勉強法を紹介します。
基礎知識の固め方から実戦力をつける方法、過去問や模試の活用法、直前期の仕上げ方まで、計画的に学習を進めるポイントをまとめます。
正しい方法で勉強すれば、難しい共通テスト化学も安定して高得点を狙えるようになります。
基礎知識を固める学習方法
まずは教科書の内容と基礎的な問題集で、各単元の基本事項をしっかり身につけましょう。
理論化学の計算系は公式の丸暗記ではなく、導出原理も理解しておくと応用が利きます。
無機・有機は暗記事項が多いため、一問一答や用語集で頻出事項を繰り返し確認し、表や図で視覚的に覚えると効果的です。
基礎の定着後は、分野別の標準問題集に挑戦して典型問題に慣れましょう。
演習を通じて自分の弱点単元が見えてくるので、判明した苦手分野は再度教科書に立ち返って知識を補強します。
基礎固め・演習・復習のサイクルを回すことで、共通テスト化学に必要な土台が着実に強化されます。
過去問・模試の使い方
基礎力がついたら、本番形式の問題で実戦経験を積みます。
共通テストの過去問はもちろん、新課程に合う範囲でセンター試験時代の問題や予想問題集も60分通しで解いてみましょう。
時間内に解き切る訓練で時間配分の感覚をつけられます。
解き終えたら必ず自己採点と復習を行い、間違えた問題の原因を分析することも大切です。
知識不足なら教科書に戻って該当箇所を確認し、ケアレスミスならなぜ起きたか対策を考えましょう。
選択肢の引っかけにも注意し、どの選択肢と迷ったかまで検証すると理解が深まります。
模試も積極的に受け、弱点を早めに洗い出して補強してください。
本番では過去問演習で培ったペース配分を思い出し、落ち着いて普段通り解答することが高得点へのポイントです。
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例えば、英語が得意な場合は上位クラスで演習量を増やし、化学が苦手な場合は基礎から丁寧に復習するなど、科目ごとに最適な時間配分を行います。
週1回のカウンセリングや講師同士の会議を通じてカリキュラムを随時見直し、伸ばしたい科目を武器にしながら、弱点もしっかり克服できる体制を整えていることが特徴です。
医学部合格実績が示す信頼
医学部専門予備校 京都医塾では、年度ごとの医学部医学科の合格実績を公表しています。
たとえば、2025年度入試での合格実績は62名中49名(一次合格率79%)、最終合格38名(合格率61%)でした。
医学部専門予備校として、これまでに蓄積された指導ノウハウと学習環境がこの数字につながっています。
試験会場まで引率してサポート
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慣れない土地での電車の乗り換えや移動の不安を減らし、受験生が当日の試験に集中できるように配慮している点が特徴です。
本番期間を通して学習リズムを崩さずに戦い抜ける体制を整えています。
まとめ

共通テスト化学は、理論・無機・有機・高分子をバランスよく学び、時間配分とデータ読解力を意識して解くことで安定した高得点を狙える試験です。
この記事で見てきたように、頻出分野の典型問題で土台を固め、思考力が問われる問題にも対応できるよう演習と復習のサイクルを回すことが重要です。
それでも、複数科目を抱えながら共通テスト対策と二次試験レベルの学習を両立させるのは、一人では不安を感じやすいものです。
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