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医学部の推薦入試を徹底ガイド!種類、メリットやデメリットなど多角的に解説!

医学部の推薦入試を徹底ガイド!種類、メリットやデメリットなど多角的に解説!

医学部の受験にあたり、ぜひとも活用したいのが推薦入試

一般入試と併願できる医学部もあることから利用する人も数多くいます。

今回は、推薦入試と一般入試との違いや種類、メリットとデメリットなどを取り上げ色々な角度から解説していきましょう。

医学部の推薦入試と一般入試の違い

医学部へ入学するためには、学科試験を通過する一般入試と、人物評価などを受けて合格する推薦入試の2パターンがあります。

この二つの試験には、入試日程や入試方式などの点において様々な違いがあるので受験の際は注意が必要です。

こちらの項では、推薦入試と一般入試の日程や方式の違いについて解説していきましょう

入試日程の違い

まずは、入試日程の違いについて見ていきます。

医学部の一般入試は私立、国立問わず基本的に1月から2月にかけて実施されます。

一方、推薦入試は実施時期が早く、9月から11月頃にかけて開始されるのが特徴です。

合格発表は12月前後に行われますので、他の受験者よりもいち早く合格を決めることが可能です。

入試方式の違い

一般入試はほぼ学力のみでの判定がなされます。

面接や小論文も課されますが、推薦入試ほどは合否に影響は与えません。

一方、推薦入試では面接や小論文の出来が非常に重視されます。

人物評価を徹底的に行うのが推薦入試の特徴ですので、付け焼き刃の面接対策では対応しきれないでしょう。

予備校の講師など面接のプロに依頼して対応策を練っていくのがおすすめです。

推薦入試が一般入試より簡単とは限らない

推薦入試は学力評価に対する比重が少ないため、一般入試よりも簡単に受かると考えがちです。

しかし、推薦入試は募集枠が少ないうえに一般入試とは別の対策が必要となります。

なぜなら、先ほどもお話ししたとおり一般入試では学力をチェックするのに対し、推薦入試では人物評価を重んじるからです。

このように推薦入試では一般入試とは異なる角度からアプローチする必要があるため、一概に一般入試よりも簡単とは言えないのです。

推薦入試の種類

推薦入試には色々な種類がありますが、いったいどのようなものが存在しているのでしょうか。

ここでは、推薦入試の種類について見ていきましょう。

推薦入試は大きく分けて2種類

推薦入試は学校推薦とAO入試の2種類に大きく分けられます。

ここから先は、学校推薦とAO入試の解説をするとともに、その他の入試方法についても解説していきましょう。

学校推薦型

学校推薦には指定校推薦公募推薦、加えて地域枠推薦があり、それぞれ推薦方法が異なります。

まずは学校推薦について解説していきます。

指定校推薦

指定校推薦とは、大学側が指定している高校の生徒に出願資格を与える入試制度です。

この推薦制度では、学生の日ごろの生活態度や学業成績によって、対象者が選抜されます。

指定校推薦は校内選抜さえ勝ち抜けば、高確率で合格できるのが特徴です。

公募推薦

公募推薦とは、大学側が定める基準と高校側が定める基準の両方を満たしている学生が出願できる入試制度です。

こちらの推薦方法には、成績をもとに判断される一般推薦の他、大学側の求める人物像
をもとに判断される特別推薦があります。

スポーツや課外活動、ボランティア活動などを行っている生徒は高く評価される傾向があります。

また、英検やTOEICなどの成績も評価対象と見なされることがありますので、推薦入試を考えている人は、こちらの試験にもチャレンジしておくとよいでしょう。

なお、公募推薦は指定校推薦と異なり、条件さえ満たしていればどの大学にも出願することができます

地域枠推薦

地域枠推薦とは僻地の医師不足を補うため設けられている推薦制度です。

出願要件は大学ごとに異なりますが、基本的にその大学の医学部が所在する都道府県の高校の出身者に限定されるのが特徴です。

また、卒業後は大学の医学部で指定している医療機関で勤務することになります。

地域枠推薦は多くの大学が取り入れており、2013年度では全国の医学部医学科の約85%に推薦枠が設置されています。

地域枠推薦は人によっては「ふるさと枠」という呼ばれ方もしますので、参考として押さえておいてください。

総合型(AO入試)

AO入試は自己推薦による入試方法です。

日本では1990年代から導入された、比較的新しい入試制度となります。

こちらの推薦入試では、主に小論文と面接、そして評定が合否判定に使われます。

面接だけでなく小論文も重要視されますから、普段から文章を書くトレーニングをするのはもちろん、読書をするクセを付けておきましょう。

公募推薦と比べると実施している医学部は少数ですので、AO入試を利用して入学を検討している人は、志望校の医学部に枠が設置されているか確認しておいてください。

その他の入試

医学部の推薦入試には、指定校推薦や地域枠推薦の他にも卒業生子女枠国際バカロレア入試といった方式もあります。

こちらの二つの入試方法についても押さえておきましょう。

卒業生子女枠

「卒業生子女」とは、対象の大学の医学部を卒業した人の子どものことを言います。

要するに、OBやOGの子どもに出願資格が与えられる推薦入試です。

こちらの推薦入試では地域枠推薦と同様、大学卒業後に医学部の指定する病院で数年間勤務する義務が与えられることがあります。

勤務地選びは自分のキャリアに大きく係わることなので、受験に当たっては必ず詳細をチェックしておきましょう。

国際バカロレア入試

国際バカロレア入試は「IB生」を対象とした推薦入試制度です。

IBとはグローバル社会に適応できる優秀な人材を育てるために設けられた、教育カリキュラムのことです。

こちらのカリキュラムを修めた人をIB生と呼びます。

そして彼らを対象に行われるのが、この国際バカロレア入試です。

選抜方法は大学によって異なりますが、IBで取得した成績が合否判定に関わってくるのが特徴です。

推薦入試のメリット

推薦入試のメリットには、受験機会や学費に関わるものなど様々ものがあります。

こちらの項では、推薦入試のメリットについて解説していきましょう。

受験の機会が増える

受験の機会が増えることは推薦入試の大きなメリットとなります。

野球で例えるなら、バッターボックスで何度もバットを振れる状態となります。

バットを振る回数が多ければ、当然ボールに当たる確率が高まるのでホームランも打ちやすくなるでしょう。

一般入試の他にも受験の機会が与えられることは、推薦入試の強みとなります。

合格すれば早く受験を終わらせることができる

基本的に推薦入試の合格発表は一般入試よりも早い時期に行われます。

早い医学部では11月に合格発表がなされますので、在学中の残りの期間を勉強だけではなく自分の好きなことにあてられるはず。

卒業旅行の計画を立ててもよいでしょうし、入学後に備えて予習をするのもよいでしょう。

一般入試より倍率が低くなることが多い

医学部の推薦入試では、多浪生に出願資格を与えていない大学も珍しくありません。

そのため必然的に受験者が現役生中心になります。

浪人生が除外されることで受験者数が減りますから、全体の試験倍率が低くなるというわけです。

この傾向は、地域枠推薦でより顕著なものとなります。

学費が安くなることも

地域枠推薦で入学した場合、奨学金がおりる場合があります。

医学部によって金額はことなりますが、月々数万円ほど給付されます。

さらに、学費を減免できる「学費減免制度」を設けている医学部もありますので、金銭的な面で心配のある人は志望校に問い合わせてみるとよいでしょう。

勉強以外の資質で勝負しやすい

推薦入試は人物評価に重きを置くため、勉強以外の資質で勝負しやすいというメリットもあります。

面接や小論文、内申点が重視されるため学力面に不安のある学生にも、合格の可能性が生まれます。

ただ、医学部によっては大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の試験が課されることもあるので、最低限の学力は必要です。

推薦入試を利用する場合であっても、共通テストを解けるくらいのレベルには到達しておきましょう。

推薦入試のデメリット

先ほどは、推薦入試のメリットを説明してきましたが、推薦入試には残念ながらデメリットも存在します。

しかしこれを逆手にとって、あらかじめデメリットを把握しておけば他の受験生に差が生まれ、推薦入試の合格率が高まるはずです。

ここでは、推薦入試のデメリットについて解説していきましょう。

入試によっては併願や辞退ができない

推薦入試には、入試方法によって併願や辞退ができないというデメリットがあります。

特に指定校推薦で辞退してしまうと、学校の信頼にキズがつき後輩たちの受験にも悪影響が出てしまうでしょう。

最悪の場合、医学部の指定する高校から外され、次の年度から推薦枠が途絶えてしまいます。

地域枠の場合は将来がある程度固定されてしまう

地域枠推薦で医学部に入学した場合、大学側が指定する病院で勤務することになります。

多くの場合、大学が所在している地域の病院で勤務しますが、9年間もの長期に渡って働かなければなりません。

キャリアチェンジしようとした場合、奨学金を返納する義務があるため金銭的な負担もあります。

さらに、厚生労働省の「ブラックリスト」に加えられますから、次の勤務地を探そうにも採用を断られることが多くなってしまいます。

地域枠推薦では、自分の将来をよく考えてから出願するようにしましょう。

入試対策の時間が限られる

推薦入試を受ける生徒は、一般入試と並行しながら試験対策を進めます。

そのため、他の生徒よりも一般入試の対策にかけられる時間が少なくなってしまいます。

推薦入試で医学部に受かれば問題ありませんが、万が一落ちてしまった時に学習進度に遅れが出てしまうというリスクがあるでしょう。

推薦入試に受かる人はどんな人?

さて、ここまでは推薦入試の種類やメリット、そしてデメリットについて解説してきましたが、確実に合格を勝ち取るためにも推薦入試で受かる人の特徴も押さえておきたいところです。

こちらの項では推薦入試に受かる人の特徴を説明していきましょう。

学校での評定が高い人

一般的に推薦入試では評定が高い人が有利となります。

評定は校内選考の際にもチェックされますし、推薦入試の時も評価基準に加えられます。

評定の目安としては、国立の医学部が5段階評価で4.5以上私立の医学部は4.3以上と覚えておいてください。

ただ、医学部によっては評定を合否判定に用いない場合もありますので、詳細については予備校などを利用して情報を得ておくとよいでしょう。

基礎的な学力がしっかりついている人

先ほどもお話ししたとおり、たとえ推薦入試であっても共通テストが課されることがあります。

推薦入試の場合は一般入試ほど厳しくチェックはされませんが、しっかり得点が取れていない場合、他の受験者に合格の切符を奪われてしまう可能性もあります。

共通テストの過去問をしっかり解くなどして、学力を高める努力をしておきましょう。

自分の考えを言語化するのが得意な人

推薦入試では面接や小論文が重視されます。

そのため、日ごろから自分の考えを言語化して相手に伝える訓練をしておかなければなりません。

自分の思っていることを上手に届けないと、面接官に内容が伝わらないため低く採点されてしまうはずです。

また、小論文についても上で書いたとおり、よい得点を取るには文章を書く練習と本を読んで活字と触れ合う習慣を身に付けておく必要があります。

医学部に入る目的が明確な人

医学部に受かりやすい人には、目的が明確という特徴があります。

面接では志望理由が必ずと言っていいほど聞かれますが、目的が明確でないと曖昧な返答になってしまい、面接官の評価が下がってしまうでしょう。

また、ありきたりな回答をしても、そういった答えは面接官も聞き飽きていますので、得点につながりにくいはずです。

志望理由については自己分析をするなどして、明確なものにしておいてください。

また、地域枠については将来が拘束されてしまうため、受験の際は地域医療の柱になるといいう強い目的意識を持っておきましょう。

まとめ

推薦入試は、学校推薦とAO入試に大別されます。

学校推薦のカテゴリーには、指定校推薦や公募推薦、地位枠推薦があり、それぞれに特徴があります。

指定校推薦は大学側が指定する高校に入学枠を提供する推薦する試験です。

また、公募推薦とは、大学側が定める基準と高校側の定めている基準を満たしている学生が出願できる入試制度です。

地域枠推薦は地域医療の充実を目的として設立されている入試方法ですが、デメリットもありますのでしっかり確認しておきましょう。

AO入試は自己推薦にあたる入試方法で、面接や小論文などで合否判定がなされます。

このように色々な種類がある推薦入試ですが合格者の特徴を見てみると、評定が高い人や最低限の学力を有している人、自分の考えを言語化できる人、そして医学部に入る目的が明確な人などがあげられます。

推薦入試は一般入試と並行して受験対策をしなければならないため、十分な勉強時間が取れない場合もありますが、その分たくさんのチャンスが与えられる入試制度です。

上手に活用して、ぜひ合格を勝ち取ってください。