医学部受験を目指すなら、一度は「医学部御三家」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。
医学部御三家とはどの大学か、またなぜ御三家と呼ばれるのかについて詳しく知らないという人もいるかもしれません。
そこで今回の記事では、私立医大御三家と呼ばれる理由や3大学の共通点、「新御三家」とは何か、そして卒業後のキャリアや出世への影響について徹底解説します。
さらに、難関である医学部御三家への合格対策についても具体的に紹介します。
医学部受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
医学部の御三家とは

私立大学医学部の御三家とは
私立大学医学部の御三家とは、戦前に大学令により旧制医科大学へ昇格した、慶應義塾大学・東京慈恵会医科大学・日本医科大学の3大学を指します。
これらの大学は明治時代に設立され、日本の医学教育・医療に大きく貢献してきたという歴史があります。
その敬意を込めて「御三家」と称されるようになりました。
共通の特徴としては偏差値が非常に高いこと、私立医学部の中では比較的学費が抑えられてきたこと、教育・研究施設や伝統的な医局を持つこと、卒業生のネットワークが広いことなどが挙げられます。
新御三家
「医学部の新私立御三家」とは、従来の私立大学医学部御三家から日本医科大学を除き、代わりに順天堂大学医学部を加えた3大学のことを指します。
ただし、新御三家は俗称で定義には揺れがあります。
また、元の私立御三家に順天堂大学を含めて「私立医大四天王」と呼ぶこともあります。
新御三家と呼ばれる理由としては、順天堂大学が2008年に約900万円もの学費値下げを行い、その結果人気が急上昇したことが挙げられます。
順天堂大学はハイレベルな医学教育で医師国家試験の合格率も全国トップクラスと高く評価されており、受験生の志願者数が増加して入試難易度が一段と上がりました。
そのため、順天堂大学は御三家ほどの長い歴史がなくとも、入試難易度や学費の安さ、大学自体の魅力の面で御三家に匹敵する人気の大学といえるでしょう。
医学部御三家卒業後のキャリアと出世への影響
医学部御三家と呼ばれる理由、新御三家と言われる大学について見てきました。
それでは、医学部御三家を卒業することは、その後の出世やキャリアに影響することがあるのでしょうか。
結論から言えば、御三家を卒業したこと自体が自動的に医師としての出世を保証するわけではありませんが、勤務先や環境によっては一定の有利に働く場面もあります。
御三家卒業による出世やキャリア
医学部御三家を卒業し、それらの大学の附属病院や関連施設で勤務する場合は、人事面で有利に働くケースがあります。
なぜなら、日本の医療業界では古くから学閥(出身大学の人脈)が存在し、自校出身者がポストで優遇される傾向があるからです。
慶應義塾大学医学部出身者による「三四会(さんしかい)」と呼ばれる強力なOB組織が医療界で有名であるように、御三家の大学にも広範なOB・OGネットワークが存在します。
こうしたネットワークの広さから、関連病院では「○○大学卒業」という肩書が有利に働く可能性もあるでしょう。
一方で、御三家を卒業しただけで必ず出世できるわけではありません。
医師としてのキャリアアップに本当に影響を与えるのは、研究論文の実績や臨床での成果など本人の努力と成果です。
つまり、御三家以外の医学部を卒業したとしても、どんな職場においても日々研鑽を積み重ねて実績を出すことこそが、最終的には医師としてのキャリアに繋がっていくのです。
医学部御三家の偏差値と学費

前項では御三家の共通点として偏差値の高さや学費の安さが挙げられました。
それでは、御三家の偏差値や学費は他の私立大学医学部と比べてどの程度なのでしょうか。
ここでは、全国の私立大学医学部のランキングデータをもとに御三家の偏差値と学費について解説していきます
御三家の偏差値
まず、医学部御三家の偏差値を確認します。
下表は、私立大学医学部の最新ボーダー偏差値(2026年度入試)に基づく上位校の一例です。
いずれも一般選抜の値で、同値は同順位としています。
方式によりボーダー偏差値が分かれる大学は、最高値に注記を付けています。
| 順位 | 大学名 | 偏差値(ボーダー) |
| 1位 | 慶應義塾大学 | 72.5 |
| 同率2位 | 東京慈恵会医科大学 | 70.0 |
| 同率2位 | 順天堂大学 | 70.0 |
| 同率2位 | 日本医科大学 | 70.0 |
| 同率3位 | 自治医科大学 | 67.5 |
| 同率3位 | 東北医科薬科大学 | 67.5 ※A方式東北地域は67.5、一般枠は65.0 |
上記のとおり、御三家はいずれも最上位帯に位置し、順天堂も70.0で並ぶ結果です。
偏差値は入試方式や志望動向で更新されるため、出願前には必ず最新ページをご確認ください。
医学部御三家と他大学の学費比較
次に学費について見ていきましょう。
私立大学医学部は大学によって学費に大きな差がありますが、御三家の大学の学費は全国でもかなり安い部類に入ります。
下の表は、全国の私立大学医学部で6年間の総費用が安い大学の上位校(2025年度時点)です。
| 順位 | 大学名 | 6年間総費用 |
| 1位 | 国際医療福祉大学 | 18,500,000円 |
| 2位 | 順天堂大学 | 20,800,000円 |
| 3位 | 関西医科大学 | 21,000,000円 |
| 4位 | 日本医科大学 | 22,000,000円 |
| 5位 | 慶應義塾大学 | 22,659,600円 |
※慶應義塾大学はスライド制のため実額は年度で変動します。
※本表は各大学が公表する「学納金」ベースです。
上記のように、私立大学医学部間で学費に2倍以上の開きがあることがわかります。
学費がこれほど異なることから、「学費の安さ」は受験生の志願動向や入試難易度に大きな影響を与える要因となっています。
御三家の学費
上記のように、御三家の大学の学費は私立大学医学部全体の中で見ても安いグループに属します。
最も安い順天堂大学は約2,000万円強、慶應義塾大学と日本医科大学も約2,200万円台であり、6年間で3,000万円以上かかる私立大学医学部が多い中ではかなり抑えられた学費水準です。
医学部の場合、学費が安い大学ほど受験生に人気が集まりやすく難易度が上がる傾向にあります。
そのため学費の安さは、御三家大学が常に高い人気と難易度を維持している理由の一つともいえるでしょう。
医学部御三家の特徴
この項では、医学部御三家とされる慶應義塾大学医学部・東京慈恵会医科大学・日本医科大学、新御三家に数えられる順天堂大学医学部について、それぞれの大学の特徴を解説します。
慶応義塾大学医学部
慶應義塾大学医学部は誰もが知る難関私立大学であり、私立大学医学部では最難関と言われます。
先述したとおり東京大学理科III類や京都大学医学部と同等の学力を持つ優秀な学生が集まります。
慶應義塾大学医学部は1917年に大学部医学科として発足し、1920年に旧制大学として再編・病院を開院しました。
歴史の長い伝統校であるため卒業生(OB・OG)の数も多く、全国に広がるOB会のネットワークや関連病院ネットワークがあります。
このOB会ネットワークの広さから、慶應大学医学部卒業という経歴は関連病院で勤務する際に有利に働く可能性もあるでしょう。
東京慈恵会医科大学
東京慈恵会医科大学医学部は、1880年代に設立された歴史ある私立の医科単科大学です。
私立大学医学部の中で偏差値は慶應に次ぐトップクラスであり、毎年の入試でも超難関校となっています。
医師国家試験の合格率が毎年高水準で安定していることや、東京の都心部にキャンパスがある立地の良さも人気の理由です。
東京慈恵会医科大学も長い歴史を持つ大学であり、都内だけでなく全国に多数のOB・OGがいます。
慈恵医大のOB・OGの結束は非常に強く、臨床医として働くときはもちろん、研究医を目指す場合でも大きな助けとなるでしょう。
日本医科大学
日本医科大学は、1876年に開かれた済生学舎を前身として設立され、現在に至るまで日本の医療を支えてきた伝統のある私立医科大学です。
少人数制の講義の導入やICTを駆使した教育など、学生が学びやすい学習環境の整備にも力を入れており、都心に位置するキャンパスの利便性も魅力です。
日本医科大学医学部は附属病院だけでなく多数の連携病院を持つため、就職の際にはそれらの関連施設を希望することで有利になる可能性があります。
順天堂大学医学部
順天堂大学医学部は1943年に順天堂医学専門学校として開設され、前述のように新御三家と呼ばれる大学です。
学費の安さや難易度の高さから新御三家と称されるのにふさわしい大学ですが、大学自体の教育・研究の質や伝統も御三家に劣らないものがあり、そうした総合的な魅力が順天堂人気を後押ししています。
順天堂大学医学部は医師国家試験の合格率が全国でトップクラスであることから、医学教育プログラムの充実ぶりや良質な学習環境が高く評価されています。
また、独自の奨学金制度や成績優秀者への学費減免など経済的支援も充実しており、今後も受験生からさらなる人気が期待される大学です。
医学部御三家への合格対策
医学部御三家や新御三家はいずれも入試難易度が非常に高く、合格するためには早めの準備と徹底した対策が必要です。
最難関のこれら私立大学医学部に合格するためのポイントを以下にまとめます。
基礎学力の徹底
まず高校範囲の基礎学力を完璧に固めることが重要です。
医学部御三家レベルでは、英数理を中心に教科書レベルの問題は確実に解けるようにしておき、その上で難度の高い問題演習にも取り組む必要があります。
過去問研究と傾向対策
志望校それぞれの入試問題の傾向を把握しましょう。
大学ごとに出題科目や問題の癖、小論文や英語の長文テーマなど特徴があります。
慶應義塾大学は英語の難易度が高い、順天堂大学は面接や小論文も重視される、といった情報を踏まえ、過去問演習を繰り返して出題傾向に慣れておくことが合格への近道です。
面接・小論文対策
医学部入試では面接試験が避けて通れません。
自己PRや志望動機を明確にし、医療倫理や時事問題についても自分の意見を述べられるように準備しましょう。
模擬面接を受けるなど練習を積み、本番で落ち着いて回答できる力を養ってください。
また小論文が課される大学も多いので、書く練習もしておきましょう。
学習計画と生活リズム
合格には長期的な受験勉強を乗り切る計画性と体力が求められます。
自分に合ったオーダーメイドの学習計画を立てて、日々の勉強時間や目標を管理しましょう。
また、夜型になり過ぎず規則正しい生活リズムを維持することも大切です。
生活習慣が乱れると学習効率や集中力の低下に直結しますので、睡眠時間をしっかり確保し、健康管理にも気を配りましょう。
最適な学習環境を整える
勉強に集中できる環境作りも合格対策の一環です。
図書館や自習室など静かで誘惑の少ない環境を利用する、志望校合格者を指導した実績のある予備校や家庭教師のサポートを受けるなど、自分ひとりでは難しい部分を補う工夫も検討しましょう。
切磋琢磨できる仲間やプロの指導者がいれば、モチベーション維持にも繋がります。
本気で医学部合格を目指すなら医学部専門予備校 京都医塾

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以下ではその特徴を3つご紹介します。
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しかし一般的な予備校では特定科目に時間を割きすぎてバランスを崩す例もあります。
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その結果、科目の得点力をバランス良く伸ばすことが可能です。
一人ひとりに合わせた個別カリキュラム
医学部専門予備校 京都医塾では、生徒一人ひとりの習熟度に合わせた完全オーダーメイドのカリキュラムを作成します。
集団授業は科目ごとに細かなレベル別クラス編成が行われており、例えば英語は11段階、化学は12段階といった分け方で、得意科目は最上位クラス、苦手科目は最下位クラスで受講することが可能です。
さらに各自の弱点は完全1対1の個人授業で徹底フォローし、効率よく実力を伸ばします。
また、生徒一人につき担任を含む3名のスタッフが担当となり、毎週のカウンセリングで学習状況や生活リズムまで細かく把握します。
模試の成績推移や日々の学習効果を分析しながら、必要に応じてカリキュラムを柔軟に変更・最適化するため、常に最適な計画で学習を進められます。
合格まで寄り添う徹底サポート
医学部専門予備校 京都医塾では入試日程の調整から試験当日まで受験生に徹底的に寄り添います。
複数会場にまたがる私立大学医学部の入試では、どの大学をどの日程で受験するか戦略的な判断が求められますが、生徒の希望を踏まえた出願校の選定や願書・志望理由書の作成までマンツーマンでサポートするので試験当日も安心です。
東京など遠方で受験する際は、普段指導している講師やスタッフが現地に同行し、用意した宿泊先で生徒と同宿して起床から試験会場まで完全サポートします。
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その結果、入試後半に驚異的な学力向上を遂げて後期試験で合格を勝ち取る生徒が毎年多数生まれており、「京都医塾は後期試験に強い」とも評されています。
まとめ

この記事では、私立大学医学部の御三家(慶應義塾・東京慈恵会医科・日本医科)と新御三家の位置づけ、難易度や学費、卒業後のキャリアへの影響、合格の要点を整理しました。
志望校ごとに出題傾向や求められる資質は異なり、自己流では見落としが生じがちです。
不安を抱える保護者の方にこそ、現状を可視化し、無理のない計画を立てることが大切です。
医学部専門予備校 京都医塾では、生徒一人ひとりに合わせた個別カリキュラムと、平均13名の講師陣によるチーム指導で、合格まで徹底的に伴走します。
さらに入試直前まで継続する学習・生活面のサポート体制が整っており、安心して学習に専念できる環境です。
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