ホーム » 京都医塾公式ブログ » 京都医塾講師からのアドバイス » 世界の「〇〇主義」 第2弾

京都医塾公式ブログ

世界の「〇〇主義」 第2弾

世界の「〇〇主義」 第2弾

 皆さん、こんにちは。本日は円町校の江島がお送りさせていただきます。

 本日は、前回に続き “世界の「〇〇主義」” というタイトルでお送りしたいと思います。前回の内容が、「経済形態」を表すものの紹介だったのに対し、今回は「社会(政治)形態」を指すものを紹介していきます。

「社会(政治)体制」を表す〇〇主義

  • 自由主義

 17世紀、18世紀の市民革命期に確立された思想です。絶対君主を敷く国王による “人の支配” に人々は不満を募らせていました。そこで人々は国家権力の介入や干渉から自由になる権利、つまり “自由権” を求めていくことになります。古くは13世紀のイギリスで、当時の国王に王権の制限を約束させた “マグナ=カルタ” を始まりとし、それ以降自由権獲得の動きは徐々に発展し、 “権利章典” 、独立戦争を経て起草された “アメリカ独立宣言” 、そしてフランス革命後に出された “フランス人権宣言” で、自由権は世界的に認識されるようになりました。この動きに、以前解説させていただいた「社会契約説」というものが絡んできます(まだ見ていない方は是非)。自由権を基礎とし、何者にも縛られず、個人の意思で「自由に」幸福を追求し行動できることを理想としたもの、それが自由主義的な思想なのです。現代に生きる我々からすると「わざわざ大げさに主義として掲げることなのかな」なんて思うかもしれませんが、当時の人々は自己実現の自由は勝ち取るしかなかったのです。先人の方の活躍の上に、我々の日常は成り立っているんだとつくづく感じますね。皆さんお分かりだとは思いますが、自由主義を掲げる国の経済形態は、当然ながら “資本主義” ですよ。でも自由主義=資本主義ではないのです。

  • 民主主義

 国家の意思決定に際し、国王の絶対的権限による支配ではなく、「一般市民たちの意思を反映していこう」という思想です。ここでの意思は、個人の欲望だけを集めた全体意思ではなく、公共の利益を優先した意思を指すことになります。平たく言うと「自分たちの暮らしていく社会なんだから、自分たちで出来ることは自分たちで決めていこうよ。」ということですね。民主政治の在り方は時代とともに変わっていくもので、まずは先述の “自由権” 獲得に始まります。 “国家からの自由” とも呼ばれ、強大な国家に極力介入をしてもらわないようにすることが望まれました。そこから19世紀になると、労働者の権利を主張すべく、 “参政権” (これは “国家への自由” と呼ばれています)が望まれ、20世紀には、不当に不利益を被っている社会的弱者を救うために、 “社会権” という権利の獲得に至りました。これは “国家による自由” とも言われています。民主主義は、多数意見を優先する傾向が少なからずあり、その点においては自由主義と対立しうることもあります(少数派の自由が制限されるかもしれませんね。)が、互いの良いところを融合させた自由民主主義なんかも存在しています。

  • 全体主義

 個の利益よりも国家の利益が優先され、「国家の利益最大化のために個人は行動すべき」だとする思想です。ゆえに国家は、国民の権利や自由を否定することになるし、国家の思想に背くものは弾圧されることになります。特に右翼的(保守主義的)全体主義のことを “ファシズム” と呼び、これなら一度は耳にしたことがありますね。第一次世界大戦後のイタリア、ムッソリーニのファシスト党や、ナチスドイツ、ヒトラーのナチ党に代表される一党独裁体制が特徴的で、あまりいい印象を持っている人は少ないと思います。戦前、イタリアやドイツとお友達だった日本も、両国に刺激を受け、独自の “昭和ファシズム” つまり軍国主義化の道へと歩むことになり、枢軸陣営というチームを結成することになります。戦中においては特に、民主主義と対極にあるものと位置づけられていました。

最後に

 以上、2回に分けて〇〇主義を紹介してきました。社会を勉強している生徒さんはもちろんのこと、英語の長文などでも背景知識として押さえておいたほうが良いこともあるので、是非参考にしてみてください。

 本日はここまでにしておきます。以上です。お疲れさまでした。

  

投稿者:江島 祥人

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    7年
  • 出身大学
    大阪市立大学経済学部
  • 特技・資格
    特に目立ったものはないです
  • 趣味
    音楽鑑賞
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    武器としての決断思考

受験生への一言
初めて出会う事柄に対して、出来る限り「考えて」みてください。自分の価値観と照らし合わせてみて、ああだこうだと「腑に落ちる」まで考えてはじめてそれが知識となり、皆さんの力となります。