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医学部の学士編入とは?
そもそも学士編入とは4年制大学の卒業者や卒業見込みの学生がそれまでの専攻学問と異なる学部に行きたいと考えた際に、教養課程を飛ばして専門課程から学ぶことができるという制度です。
そのうえで、医学部の学士編入とは、高校を卒業したての若者にはない人生経験や社会経験を積んだ、優秀な人材の確保を目的としています。
主に4年制の大学を卒業し学士の学位を有している者、また学士編入を認めている大学によっては短大卒や4年制大学に2年以上在学した学生も対象にしています。
基本的には4年制大学卒業者が対象
編入試験を行っている医学部の多くが基本的には学士の学位を出願資格としています。
理系、文系関係なく4年制の大学を卒業している人であれば誰でも医学部に編入するチャンスがあるということです。
高校の時一度は医学部を諦めた人や、大学に通ううちに医学に興味を持った人、また社会人になってから改めて医師になりたいと思った人にとって非常に魅力的な制度と言えます。
短大卒業生や大学2年修了者が受験できることも
一部の医学部ですが、4年制大学卒業者だけでなく短大卒業制や2年修了者に出願資格を認めている大学もあります。
2021年度においては、前者の短大卒の場合東海大学が、後者の2年修了者の場合は群馬大学、筑波大学、大分大学が該当します。
学士編入のメリット

次に、学士編入のメリットを挙げて行きます。
文系出身でも医学部が目指せる
医学部というと理系のイメージがありますが、文系出身者でも合格を目指すことは十分可能です。
大学によって試験科目構成が異なるので自分の得意科目で勝負できる大学を受験しましょう。
特に英語はどの大学を受けるにしても必須の重要科目なので、英文学部や国際教養学部出身者は非常に有利です。
受験科目が少なくて済む
編入試験は、大学によっては2科目(英語・生命科学)から受験できます。
私立大学医学部を一般試験で受験する場合、基本的に英語と数学、理科2科目が必須となります。
国公立大学医学部の一般入試の場合だと、共通テストのためにさらに多くの科目を勉強しなければなりません。
そもそも現在の学士を有する人にとって、共通テストは経験のないものであるため、改めて勉強するにはかなり腰を据えなければならないでしょう。
その点、学士編入であれば科目が少ないため、大学生ならば卒後の受験を見据えて大学の勉強と並行しながら勉強できますし、社会人の人も働きながら勉強することが十分可能です。
再受験で入学するよりも卒業までの期間が短くなる
学士編入のさらに魅力的な点は2年次から編入することができるという点です。
また、一部の大学では3年次への編入もあります。
例えば、現役で入学しストレートで4年制大学を卒業した人がそのまま学士編入すれば「22歳+医学部5年+研修医2年」で29歳から自身の希望する科でキャリアをスタートさせることができます。
社会人の方なら、なおさら1年間の短縮は貴重です。
1年間の免除は、学費の節約だけでなく医師になった後収入を得られる1年間とも捉えることができますので、非常に経済的です。
国公立大学でも併願可能
国公立の場合、一般入試では前期後期でそれぞれ一校ずつしか受験できません。
一方、学士編入では大学独自で入試日程を決めるので、日程が被らなければ併願できるという点も大きなメリットです。
一人の受験生が複数校に合格するということもあるため、入学辞退に伴う追加合格も起こりやすいです。
その結果、見かけの倍率は10倍~20倍であっても実際の倍率はもっと低くなります。
本気で学士編入を目指す人は複数校への出願を積極的に検討して良いでしょう。
学士編入のデメリット

もちろん医学部の学士編入はメリットばかりではありません。
デメリットもしっかりと確認しておく必要があります。
倍率が高い傾向にある
大学によってバラバラですが、編入試験の倍率は基本的に高い傾向にあり、高いところでは20倍を超えます。
特に文系卒に人気の大学は倍率が高くなる傾向にあります。各大学の募集定員は基本的に5名程度であり、2020年度で最も多い定員を定めた弘前大学でも20名です。
複数校出願すれば先ほど述べたとおり実際の倍率は低くなるのですが、例えばどうしてもこの大学の医学部に入りたいという希望を持つ場合は非常に厳しい試験となります。
本業と両立しながら勉強するのが大変
やはり、科目数が少ないと言っても大学生や社会人であれば1日に取れる勉強時間は限られます。
強い意志がないと社会人になって毎日勉強を続けるというのは非常に大変です。
どれだけ仕事で疲れていたとしても、毎日決まった時間、勉強時間を確保できるかどうか、またそれをルーティーンとすることができるかどうかが合否を大きく左右するでしょう。
相談できる人、仲間が少ない
高校生の時に「受験は団体戦」などとよく言われたと思いますが、社会人になって学士編入を目指すとなると孤独との戦いになります。
なかなか学士編入の経験のある人とつながりを持つことも難しいほか、勉強につまずいた時に相談できる相手も社会人になると少ないでしょう。
人間の脳というのは恐ろしいもので、必要でなくなった知識や記憶は1年もすればほとんど忘れてしまいます。
医学部編入を目指すことを決めたはいいものの、いざテキストを開くとほとんど忘れていたなんてことがほとんどです。
また、今まで自分が触れてこなかった科目を独学で合格レベルまで持っていくには、相当の忍耐力と集中力が要求されます。
医学部編入試験はどのようなものか?

次に医学部学士編入がどのような試験なのか、具体的に見ていきましょう。
大学によって多少は異なりますが大体は次のような内容で審査を行います。
書類選考
まずは出願にあたり願書を提出します。
ほとんどの大学はこの段階で不合格を出すことはないですが、一部の大学では審査基準を設けており、その基準に達していないと不合格となることもあります。
また、TOEFLやTOEICのスコアの提出を求める大学もあるようです。
一次試験(筆記試験)
筆記試験は英語と生命科学が重要な科目となり、大学によってはそれに加えて物理、化学や数学を課しています。
また一次試験・二次試験のどちらかで小論文を実施している大学も数多くあります。
英語も生命科学も大学レベルの能力が求められるので、高校のテキストだけでは語彙レベルや内容がカバーできません。
ここでなぜ医学部では、この2科目が重視されるのかを理解する必要があります。
医学部では重要な解剖用語や各主要科目の重要な用語は、英語でも覚えなければなりません。
医学部で使うメインテキストは、洋書が翻訳されているものが多かったり新しい医学知識は海外論文で発表されたりと、医師にとって英語は必要な知識を吸収するために不可欠なものなのです。
また、生命科学は、医学部の主要科目である生物学・生理学・生化学・分子生物学のすべての内容が含まれます。
本格的に医学部でこれらの勉強をするための基礎知識となる科目です。
ですから、この2科目は特に重要視される科目なのです。
二次試験(面接)
学士編入の面接は一般入試の面接と比べると比較的厳しいです。
一般入試の面接では最低限のコミュニケーション能力と倫理観を見られますが、学士編入試験の面接ではそれに加えて「いかに自分がその大学の求める人材にマッチしているか」「なぜわざわざ進路変更してまで医学部に行きたいのか」「大学生活や社会人経験を通じて得た自身の能力がどのように医学分野に活かされるのか」を重点的に問われます。
就職活動の面接と似ているところがあり、もし一次試験の成績が同程度であれば、大学の求める人材にマッチしている方が合格することになるでしょう。
学士編入を実施している医学部一覧
ここでは学士編入を行なっている医学部をまとめます。
願書提出にTOEFLやTOEICなどのスコアの提出を求める大学もあるので各大学の募集要項をよく確認してください。
▼国公立大学
| 大学名 | 募集人員 | 1次試験科目 | 2次試験科目 |
| 旭川医科大学 | 10名 | 生命科学、英語 | 個人面接 |
| 北海道大学 | 5名 | 生命科学総合問題 | 課題論文、面接 |
| 弘前大学 | 20名 | 基礎自然科学、数学 | 個人面接 |
| 秋田大学 | 5名 | 書類 | 小論文、生命科学、面接 |
| 筑波大学 | 5名 | 学力試験、適性試験 | ― |
| 群馬大学 | 15名 | 小論文Ⅰ、小論文Ⅱ題 | 面接試験等 |
| 東京医科歯科大学 | 5名 | 自然科学総合問題 | 面接 |
| 新潟大学 | 5名 | 自然科学系および生命科学系(数学・物理、化学・生物) | 面接 |
| 富山大学 | 5名 | 課題作文、総合試験 | 口頭発表、面接 |
| 金沢大学 | 5名 | (第1次選考)書類 | (第2次選考)英語、生命科学、 |
| (第3次選考)個別面接 | |||
| 福井大学 | 5名 | 自然科学総合(生命科学) | 面接 |
| 浜松医科大学 | 5名 | 生命科学、英語 | 小論文、面接 |
| 名古屋大学 | 5名 | 英語、生命科学を中心とする自然科学 | 小論文、面接 |
| 滋賀医科大学 | 15名 | 総合問題、英語 | 小論文Ⅰ、小論文Ⅱ、個人面接 |
| 大阪大学 | 10名 | 物理学、化学、英語、生命科学 | 小論文、面接 |
| 神戸大学 | 5名 | 生命科学と英語の総合問題 | 口述試験 |
| 鳥取大学 | 5名 | 基礎科学、英語、面接 | ― |
| 島根大学 | 各5名 | 英語、自然科学総合問題 | 面接 |
| 岡山大学 | 5名 | 書類 | 生物学、科学英語、面接 |
| 山口大学 | 10名 | 学科試験、小論文試験 | 面接 |
| 香川大学 | 5名 | 自然科学総合問題 | 面接 |
| 愛媛大学 | 5名 | 英語、自然科学総合問題 | 個人面接 |
| 高知大学 | 5名 | 総合問題A・総合問題B | 面接、グループワーク |
| 長崎大学 | 5名 | 生命科学系科目、英語 | 小論文、面接 |
| 大分大学 | 10名 | (第1次選抜)書類 | (第2次選抜)生命科学に関する総合問題、英語 |
| (第3次選抜)個人面接、発表及びグループディスカッション | |||
| 鹿児島大学 | 10名 | 学力試験Ⅰ、学力試験Ⅱ | 個別面接 |
| 琉球大学 | 5名 | 小論文Ⅰ・Ⅱ、自然科学総合Ⅰ・Ⅱ | 個人面接 |
▼私立大学
| 大学名 | 募集人員 | 1次試験科目 | 2次試験科目 |
| 岩手医科大学 | 4名 | 学科試験1・学科試験2、小論文 | 面接 |
| 東海大学 | 15名 | 英語、適性試験 | 個人面接 |
| 北里大学 | 若干名 | 数学、外国語、理科 | 論文、面接 |
一般入試で医学部合格を目指すなら予備校での学習が近道

医学部を目指すには、推薦入試や学士編入などさまざまなルートがありますが、
最も多くの受験生が挑戦するのは、やはり一般入試による合格です。
一般入試では、英語・数学・理科など主要3科目の総合的な学力が問われるため、限られた時間の中で効率よく得点力を高めることが重要になります。
そのためには、受験のプロによる計画立案と学習管理が欠かせません。
どの科目をどの順で進めるか、苦手をどう克服するかを明確にすることで、闇雲に勉強するよりもはるかに短期間で実力を伸ばすことができます。
医学部専門予備校を利用するメリット
学習スケジュールを最適化できる
医学部受験では、膨大な範囲を限られた時間で仕上げる必要があります。
予備校では、経験豊富な講師陣が科目ごとの到達目標を設定し、「今やるべきこと」「次に備えること」を明確にしたスケジュールを提案します。
一人では難しいペース管理を、専門家のサポートのもとで確実に進められます。
出題傾向や最新情報を入手できる
医学部入試は大学ごとに出題傾向や形式が大きく異なります。
予備校を利用すれば、過去問分析や最新の出題トレンドをもとに、自分に合った受験校選びや戦略を立てることが可能です。
入試情報を収集しやすい
前述したように、学士編入では試験日さえ被らなければ複数校に出願できるので、各大学の試験日や受験科目などの情報収集が欠かせません。
予備校ではそういった情報や過去問などを手軽に入手することができるため、効率的に受験戦略を立てることができます。
一般入試で本気で医学部を目指すなら京都医塾
一般入試で医学部合格を目指すなら、京都医塾が最適です。
京都医塾は、浪人生や再受験生など一日を通して学習に専念できる受験生を対象に、
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一人ひとりの現状を丁寧に分析し、合格までの最短ルートを可視化。
「何を・どの順で・どのペースで」学ぶべきかを明確にし、迷いなく努力を積み重ねられる環境を整えています。
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まずは、体験授業も受けられる「一泊二日 医学部合格診断ツアー」へ。
宿泊費・交通費はすべて京都医塾が負担します。
まとめ

いかがだったでしょうか?
医学部合格の道は決して一つではありませんが、一般入試で着実に学力を積み上げて合格をつかむ道は、今も多くの受験生が選ぶ最も確実なルートです。
大切なのは、強い意志と、計画的に学び続ける力。
正しい方法で努力を重ねれば、どんな立場からでも医学部合格は十分に実現可能です。
独学では難しいと感じる方や、浪人・再受験で本気の挑戦をしたい方は、ぜひ一度「京都医塾」の学習環境を体験してみてください。
医学部合格という目標に向かって、最短距離で進むための方法がきっと見つかるはずです。