医学部受験といえば「英語・数学・理科」の3科目が必須、というイメージを持つ方も多いでしょう。
しかし実際には、大学によって入試科目や配点は異なり、中には理科を課さない入試方式を採用している医学部も存在します。
理科が苦手でも、英語や数学を得意科目として活かせば合格の可能性を広げられます。
この記事では、二次試験で理科が課されない国公立大学医学部や理科なしで挑戦できる私立大学医学部の方式を具体的に紹介します。
目次
科目や配点は医学部ごとに設定できる

医学部入試では一般に英語・数学・理科が課されるのが通常ですが、各医学部はそれぞれ独自に試験科目や配点を決定できます。
たとえば、大学によっては英語・数学・理科の3科目で試験を行い、配点は英語・数学が各200点、理科が100点などと自由に設定できます。
したがって理科が苦手な人であれば、試験科目に理科がない医学部を志望校として選ぶ戦略も可能です。
ただし、大学入学共通テストの成績を用いる医学部では理科なしで突破することはできない点に注意が必要です。
多くの国公立医学科では理科2科目を課すのが一般的となるため、理科を完全に避けることはできません。
一方で、各大学が実施する二次試験(個別学力検査)では、理科なしのケースも存在します。
共通テストでは理科を受験せざるを得ませんが、二次試験で理科の負担を軽減できる大学を狙うことで、理科が不得意な受験生でも合格のチャンスを広げられるでしょう。
なお、各大学が科目ごとの配点に傾斜(重みづけ)をかける傾斜配点を採用している場合、理科の配点を低く設定している大学もあります。
理科が苦手な人は理科の配点が低い医学部も候補に入れるとよいでしょう。
例えば理科に配点を抑えている医学部であれば、その分英語や数学で得点を稼ぎ、合格を勝ち取れる可能性が高まります。
傾斜配点の詳細については各大学の募集要項で確認し、志望校選びの参考にしてください。
目指すとしても医学部は難易度が高いことがわかります。
二次試験で理科を課さない医学部
前述のとおり、共通テストでは理科を避けられませんが、二次試験(個別学力検査)で理科がない医学部も存在します。
以下では、二次試験で理科を選考科目としていない医学部を国公立大学と私立大学に分けて紹介します。
理科が苦手な受験生は、こうした大学の受験を検討するとよいでしょう。
国公立大学医学部
2025年度現在、個別学力検査で理科が課されない国公立大学医学部には以下の5校があります。
- 秋田大学医学部:二次試験:英語・数学・面接
- 旭川医科大学医学部:二次試験:英語・数学・面接
- 弘前大学医学部:二次試験:英語・数学・面接
- 徳島大学医学部:二次試験:英語・数学(集団面接あり)
- 島根大学医学部:二次試験:英語・数学・面接
上記5つの国公立医学部では、個別試験に理科が含まれません。
以下で各大学の特徴を説明します。
秋田大学
秋田大学医学部の二次試験では、英語と数学の2科目のみが課されます。
さらに個別試験とは別に面接試験(200点)もあります。
理科なしで二次試験に臨めるため、理科の勉強負担をかなり減らせます。
ただし、面接試験の配点が200点と全体の50%を占めるため、対策を怠らないことが重要です。
十分な面接練習を積み、自分の志望動機や適性を的確に伝えられるよう準備しましょう。
秋田大学二次試験 配点例
| 教科 | 英語 | 数学 | 面接 | 総計 |
| 配点 | 100 | 100 | 200 | 400 |
※秋田大学は英数2科目・面接で個別試験を実施
旭川医科大学
旭川医科大学医学部の二次試験でも、理科は課されず英語と数学のみで学力評価が行われます。
面接試験も実施されますが、配点は50点と比較的低めです。
その分、旭川医科大学では共通テストにおける理科の比重が大きく、共通テスト900点満点中理科が200点を占めます。
二次試験で理科負担がない反面、共通テストで理科の高得点が要求される点には注意が必要です。
共通テスト・個別試験ともにバランスよく対策を進めましょう。
旭川医科大学二次試験 配点例
| 教科 | 英語 | 数学 | 面接 | 総計 |
| 配点 | 150 | 150 | 50 | 350 |
※出典:旭川医科大学 入学者選抜要項
弘前大学
弘前大学医学部では2021年度から「総合問題」という独自形式の学力検査を導入し、従来の理科科目試験を課していませんでした。(出典:弘前大学 入試情報)
この総合問題は英文読解や図表の読み取りなどを含む試験で、英語力や総合的な思考力を見るものでした。
面接試験の配点は200点で総合問題より低く設定されていましたが、油断は禁物です。
弘前大学医学部は2025年度より総合問題を廃止し、二次試験科目を英語と数学に変更しました。
さらに面接試験の配点を200点から300点に引き上げ、英語・数学・面接を各300点とする大幅な改定が行われています。
これにより、二次試験で理科は引き続き課されませんが、面接の重要度が増しています。
弘前大学を受験する場合、英語・数学の学力対策に加えて、高配点の面接で高評価を得る準備をしっかり行いましょう。
弘前大学二次試験 配点例(2024年度)
| 教科 | 総合問題 | 面接 | 総計 |
| 配点 | 300 | 200 | 500 |
弘前大学二次試験 配点例(2025年度~)
| 教科 | 英語 | 数学 | 面接 | 総計 |
| 配点 | 300 | 300 | 300 | 900 |
※出典URL:弘前大学
徳島大学
徳島大学医学部の二次試験では、英語と数学のみで合否判定が行われ、理科は課されません。
傾斜配点もなく、ごくシンプルな選抜基準となっています。
なお、徳島大学では面接試験が個別に行われますが、点数化はされません。
グループ形式の面接試験が課されるため、評価は「合否判定の参考」として扱われます。
せっかく理科なしで挑戦できる医学部ですから、チャンスをものにするためにも面接対策にも手を抜かず取り組みましょう。
徳島大学二次試験 配点例
| 教科 | 英語 | 数学 | 総計 |
| 配点 | 200 | 200 | 400 |
※出典:徳島大学
島根大学
島根大学医学部の二次試験も理科なしで実施されます。
試験科目と配点は英語200点、数学200点、面接60点です。
英語・数学に比べて面接の比重が低め(約13%)に設定されているのが特徴です。
理科の負担を避けられる点は魅力ですが、共通テストでは理科2科目が必須であり、その配点も200点ずつと重いため、共通テストの理科対策を疎かにしないよう注意しましょう。
“理科なし受験”という言葉に安心せず、共通テスト・二次試験ともに十分な学習バランスを保つことが合格への第一関門となります。
島根大学二次試験 配点例
| 教科 | 英語 | 数学 | 面接 | 総計 |
| 配点 | 200 | 200 | 60 | 460 |
※出典:島根大学
私立大学医学部など
共通テストを利用しない一般入試で理科を課さない医学部は非常に少ないですが、試験方式によって理科なしで受験可能な私立医学部があります。
ここでは特に注目される2校を紹介します。
金沢医科大学(後期)
金沢医科大学医学部(私立)の一般入試<後期日程>では、一次試験・二次試験ともに理科を課さずに選考が行われます。
一次試験では英語と数学の2科目のみ、二次試験では小論文と面接のみで評価されるのが特徴です。
共通テスト利用入試ではなく独自入試のため、理科が苦手な人にとって魅力的な試験方式と言えるでしょう。
金沢医科大学 後期試験 配点
- 【一次試験】英語100点、数学100点(合計200点)
- 【二次試験】小論文60点、面接110点(合計170点)
上記のように、一次・二次試験を通じて理科無しで挑戦できる形式となっています。
ただし、二次試験では小論文が課されます。
文章読解力や論述力が問われますので、医療に関する時事問題や倫理的テーマなどに関する知識を蓄え、自分の考えを筋道立てて書く練習をしておきましょう。
面接も含め、人間性や思考力を多角的に評価される点に留意が必要です。(出典:金沢医科大学「入学者選抜要項」)
帝京大学(共通テスト利用入試)
一般選抜の一次「学科試験」は英語(必須)に加え、〔数学・理科・国語〕から2科目選択(各100点、計300点)。理科は必須ではないため、英語+数学+国語での受験が可能です。二次は課題作文と面接を実施します。
共通テスト利用選抜では、一次は共通テスト(3科目方式ほか)で判定、二次は英語(長文読解)・課題作文・面接で、こちらも理科の筆記は課されません。
二次選考の配点は非公表ですが、試験内容の概要は帝京大学医学部が発行する入学試験要項に明記されています。
理科の筆記試験こそありませんが、共通テストで理科を含む高得点を取って一次選考を突破する必要がありますので注意してください。
帝京大学医学部を目指す人は入試要項にしっかり目を通し、英語読解力・作文力・面接力をバランスよく磨いておきましょう。(出典:帝京大学「入学試験要項 2026」)
学校推薦型選抜・総合型選抜を利用する手段も有効
理科が苦手で一般入試に不安がある場合、各大学の学校推薦型選抜(指定校・公募)や総合型選抜(旧AO入試)を検討するのも一つの方法です。
これらの選抜方式では、大学によっては共通テストや学力試験を課さないケースもあります。
理科なしで医学部合格を目指す上で、有効なルートとなり得るでしょう。
具体例として、産業医科大学の学校推薦型選抜(一般公募制)では共通テストは免除ですが、当日の選抜は「総合問題+面接」で実施。総合問題には英⽂の課題に加え、自然科学の課題が含まれます。
共通テストも免除され、筆記試験は小論文のみ(面接重視)という形式です。理科を含む学科試験がない分、志望理由書の作成や小論文・面接対策が結果に大きく影響します。
高校での学習成績や人物評価が重視されるため、出願要件(評定平均値や出身地域など)を満たす必要があります。
また、獨協医科大学の総合型選抜(旧AO)は理科を含まない方式として知られています。
獨協医科大学の総合型選抜では、一次試験で書類審査・適性試験・小論文(英文課題)が行われ、二次試験でプレゼンテーションと面接が課されます。
適性試験の具体的な科目は公表されていませんが、理科の筆記試験は実施されません。
このように募集枠によっては理科の試験を回避しつつ医学部を目指せる道も用意されています。自分が出願資格を満たす場合、一般入試と併願する形でこうした推薦・AO入試に挑戦するのも有効でしょう。
志望先を妥協しないことも大切
医学部入試では1点2点の差が合否を大きく分けます。
たった1問の失点で涙を飲むことも珍しくありません。
このため、苦手科目を回避できる医学部に絞って受験することは、合格のための有効な戦略の一つと言えるでしょう。
しかし一方で、仮に理科なしで医学部に進学できたとしても、医師として将来活躍する上では理系科目の深い理解が不可欠になります。
受験戦略の一環として苦手科目を一時的に回避すること自体は否定しませんが、特定科目を完全に避け続けることは入学後の学習や卒業後の研鑽で大きな苦労を伴う可能性があります。
あくまで目標の医師像や第一志望を見据えつつ、苦手科目対策と志望校選択のバランスを取ることが大切です。
「理科なしで受かればそれで良い」と短絡的に考えず、入学後も見据えて総合的な学力を養う意識を持ちましょう。
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理科を避けられる入試方式を選ぶことは一つの戦略ですが、医学部進学を本気で実現するには、弱点を補いながら全体の学力を底上げすることが欠かせません。
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個別カリキュラムで弱点を徹底フォロー
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得意科目は上位クラスで伸ばし、苦手科目は基礎から丁寧に積み上げることで効率的に成績を高めます。
加えて面談で学習状況や生活リズムをチェックし、必要に応じてカリキュラムを柔軟に調整します。
このように一人ひとりに合わせたカリキュラムと個人授業を組み合わせることで、弱点を残さず合格力へとつなげています。
合格直前まで寄り添う安心のサポート
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遠方の大学を受験する際は講師・スタッフが現地に同行し、受験当日まで細かくサポートします。
入試直前期も日々授業や個別指導を続け、生徒が最後まで不安なく試験に臨めるよう徹底して寄り添います。
まとめ

この記事では、共通テストと二次試験の違いや、理科を課さない大学・方式を紹介しました。
理科が苦手な受験生にとっては志望校選びの参考になりますが、医学部で学び続けるためには理系科目の理解は避けて通れません。
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