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講師紹介

京都医塾の名物先生! vol.1廣瀬 希「医学部に合格したければ、私について来い!」

京都医塾の名物先生! vol.1廣瀬 希「医学部に合格したければ、私について来い!」

京都医塾を語るうえで欠かせないのが、個性豊かな講師たち。塾生1人に対して講師13人がチームとなって、塾生のみなさんを全力でサポートしています。しかし実際に、どんな先生がいるのかはとても気になっていると思います。そこで、京都医塾の講師を紹介する連載企画がスタート! 自身の半生や講師になったきっかけ、普段の授業の姿や担当科目に対する思いを熱く語っていただきます。

第1回目は、生物科の廣瀬希先生が登場。幼少期から生物に興味を持ち続け、京都大学に進学後もその熱は覚めることなく、博士課程にまでのぼりつめるほど「生物学」に没頭。普段自身のことを多く語ることはないそうですが、生物に対する情熱は人一倍です。医学部を目指す4人の塾生が、授業を通じて廣瀬先生を深堀りしていきます。

子供の頃から生物に対して並々ならぬ好奇心を持ち、あらゆる生物・生命現象に対して慈愛の心を持ち、大学卒業後も専門知識を磨き上げるべくNPO法人プライメイト・アゴラにて研究に没頭。その後、京都大学時代の友人である講師から、熱烈なスカウトを受け京都医塾に入社。圧倒的な知識を武器にあらゆる入試問題を解き明かす京都医塾の知恵袋的講師。趣味は科学館めぐり。

ーーキーンコーン、カーンコーン

ーーガラガラ

みなさん、そろっていますね。こんにちは!

生徒たち:こんにちは!

京都医塾の生物科の講師、廣瀬です! よろしくお願いしますね!

えーと、今日はわたしの名前はしっかり覚えて帰ってくださいね。

あー、ぜんっぜんわかんねー。

あ、静かにしてねー。

ほんと、なんでだよ?

ちょっと、佐藤くんどうしたの?

あ、先生大きな声だしてすみません。今日の朝、塾に来る途中にサラリーマンが電話でめっちゃ怒ってて……。「お前は単細胞か!」って言ってたんです。俺それを聞いてから、単細胞で頭がいっぱいになったんですよ!

え?

なんで、そんなに単細胞に反応してんの?

そうだよ、私たちもっと勉強することあるんだよ?

みんな、ちょっと待って!! 佐藤くん、何がそんなに気になるの?

俺、単細胞ってめちゃくちゃすごいと思うんですよ!! でも、みんなそれをわかっていないっていうか……。

佐藤くん……。あなた、わかっているわね!

佐藤くんが、とても大切なヒントをくれました。

今日の授業のテーマは「廣瀬希と生物」です。
このテーマを語る上で単細胞がとても重要なポイントになっていくので覚えておいてくださいね。ではまず、私のルーツを知ってもらう必要があります。早速、テキストを開いてください。

生徒たち:はい! 

カエルの卵を育てたことをきっかけに京大へ

先生……これなんですか?

これはカエルの卵です。

先生―! 質問です!

佐藤くん、なんでしょう?

ゲコゲコ、ゲ、ゲ、ゲゲゲ、ゲーーーコ?

いくら先生でもカエルの言葉は話せません。

ゲコ……。

私は、子供の頃、近所の田んぼでカエルの卵を採ってきて、それを孵化させて、カエルになるまで育てていました。この時に生物が成長し進化していく過程を体感したことで、無意識に「進化」に興味を持ち始めていたんでしょう。

カエルの卵って小さなものですが、そこに先生が夢中になるものがあったんですね。

そうですね。その後、高校生になって運命的な言葉と出会ったの。それが次のページ。

分子進化……どこかで聞いたことあるような。

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分子進化とは……

世代を経るレベルの長期間における、DNA、RNA、およびタンパク質といった細胞分子の配列構成の変化である。進化生物学や集団遺伝学の原理にしたがって、分子や細胞レベルでの生物の変化を解釈しようとする。(Wikipediaより)

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そう、きっと高校の生物の教科書に載っているんじゃないかな? 私も資料集の端っこに小さく載っていたこの言葉を見て、ピンと来たんです。心の奥底にあったカエルの進化の記憶が蘇ってきたのかもしれませんね。それで分子進化を研究したいと思って、進路を決めました。

分子進化の研究ができる大学を探したところ、京都大学に研究室があることを知り、理学部を受験。無事合格して自分が希望する研究の道へと進むことになりました。

私もカエルの卵を拾って育てたら、京大に行けますか?

きっかけにはなるかもしれませんね。体感すること、それを積み重ねて、興味を深めていくことが大切です。

「カエルの卵を育てたら、京大に受かった」ってなんか、映画にされそうなストーリー。

単細胞生物に魅了された、大学時代

みなさんこれ何かわかりますか?

おたまじゃくしですか?

これは、私が一番好きな生物。次のページに答えがあります。

襟があって鞭毛をもつ虫ですか?なんかすごそうな生物。

文字から無理やり判断したらだめですよ。襟鞭毛虫(えりべんもうちゅう)とは、細胞分裂で増えていく単細胞生物で、私はこの生物を通じて分子進化を研究していました。

なんで襟鞭毛虫に興味持ったんですか?

襟鞭毛虫は、多細胞の単細胞生物のちょうど間にいます。まさに単細胞の生物が多細胞に変わるきっかけを持つ生物。だから、人間と同じような遺伝子を持っているんですよ。

え!?

そう、俺が気になっていたのはコレなんですよ! 人間のルーツも単細胞にあるんですよね!?

そのとおり。生物の進化って不思議なんですよ。目に見えないほど小さな生物でも人間と同じ遺伝子を持っています。生物のルーツを辿っていって、そこに私たちとの繋がりがあると思うと、ロマンが溢れていますよね。

進化の過程を辿っていくと、単細胞生物からはじまり、複雑に枝分かれをしながら、人間や生物ができあがっていくいきます。今いる生物の進化を調べていくと、意外なところに辿り着く時もある。そんな予想外の発見があるからおもしろいんですよ。

そういう視点を持つと、生物を見る目が変わってきそう。

研究室では襟鞭毛虫を飼っていましたよ。食事のバクテリアを与えたり、襟鞭毛虫同士がくっつかないように離したり……。顕微鏡で見ると、動いている様子や食事の様子も見られますよ。

単細胞生物を飼っていたなんて……。

他にも魚、亀、トカゲなどいろいろな生物を研究していて、細胞を採取して、みんな進化の過程を調べていたんですよ。特に、バナナちゃん、かわいかったなぁ……。

バナナちゃん?

研究室で飼っていた魚でね、みんなのアイドルだったの。研究で育てているとはいえずっと一緒にいると愛着が湧いてきて、バナナみたいな見た目だったから、名前付けたの。

……。

バナナちゃんは覚えなくて大丈夫ですよ。
でもね、生物が脱皮している風景を他の研究室のみんなと観察したり、進化の過程をみんなと共有しながら学べるとても良い環境でした。そういう経験ができたことは、京都医塾で教えるうえで、とても役立っています。

私は大学の学部生して4年、と大学院の院生として8年「分子進化」の研究に没頭して、最終的に博士課程を修了しました。

研究室を離れてからは生物とは関係のない別の仕事にも付いていましたが、これまでずっと生物の研究をしてきたので、せっかくなら何か役に立てたいと思い転職。大学時代に取得していた生物教師の資格を生かして、京都医塾の先生になったんです。

生物と一緒に生きていくことのおもしろさ

ところで、みなさんは生物と聞いた時、何をイメージしますか?

人間や犬、猫とか動物全般ですかね。

そうですね、動物は生物です。あまりピンとこないかもしれませんが、植物、菌類などもすべて生物なんですよ。生物の授業では生物たちを身近に感じることが重要なんです。

私、犬を買っていますし、家でも植物育てていますよ!

そう、私が子どもや大学の頃に体験してきたように、生物たちに見たり触れたりすることはとても大切です。生物のおもしろさを発見したり、興味を持つきっかけにもなるので。そのために、私が力を入れていることが、次のページ。

動物園や水族館、植物園で積極的に生物に触れることに力を入れています。

どうしてフィールドワークがおすすめなんですか?

教科書で写真や文字だけ見ていてもイメージが沸かないでしょう? 実物を見て、時に触って学ぶことで、記憶に残っていきますよ。過去には、フィールドワークが興味を持つきっかけになって、成績が伸びて合格に繋がる塾生もいました。

先生! 俺は単細胞育てたい!

一緒に育てましょうか!
生物を学ぶことは、「医学部に入るためにやる」のではありません。
重要なことは、「学んだことをどこで活かしていくか」ということ。人間に応用して考えることで、医学への繋がりを感じることができますし、可能性がどんどん広がっていきますよ。

「廣瀬先生の魅力」塾生と講師の声

ここまで「廣瀬希と生物の歩み」や「生物との向き合い方」について紹介してきました。次に、私のことをよく知っている講師の先生や塾生のみなさんに聞いた「廣瀬希の姿」を紹介していきます! 

塾生A

「いつもかわいい動物のキーホルダーや付箋を持っている廣瀬先生。生物の授業では、板書をとてもきれいにまとめて教えてくれて、わかりやすいです。よく動作に効果音がつくところがおちゃめだなって思っています(笑)。先生! 必ず、合格を勝ち取りにいきます!」

板書がきれいだとそれで理解力も変わってきますからね! 効果音は……授業のBGMですよ(笑)。

塾生B

「身のまわりにかわいいキャラクターで溢れている廣瀬先生は、私が変なことをいうと目が丸くなります(笑)。そんなところも面白くて親しみがあります。授業では、記述問題の添削をとても丁寧にやってくれたり、いつも塾生の立場に立って復習テストを実施してくれます。京大㊙エピソードや田舎あるあるトークをまた聞かせてください!」

勉強に行き詰まった時は、私のエピソードトークで気持ちをほぐしてくださいね。

講師A

「受験が近くなると、みんなの心がザワザワとしてきます。そんな時、廣瀬先生は塾生たちの声をしっかり聞き、メンタルをほぐしている姿がとても印象的。また、先生が作るテキストには「ゆるふわ系」のイラストが入っていて、塾生たちをケアする心遣い見えます。廣瀬先生のスマホには動物園や水族館で撮った生物の写真がいっぱい。そんな先生が発する言葉には、生物の魅力がたくさん詰まっています。」

そうなんです! イラストは、ただお絵描きしているんじゃないですよ(笑)

講師B

「廣瀬先生は、お願いごとをすると、すぐに対応してくれます。「完璧超人」というにふさわしいぐらい。一緒に仕事をしていて、いい意味でプレッシャーになり、自分の仕事も遅れずにこなせています。以前、京都水族館にいる、ぼぼ全ての生物について解説してくれたことがあります。その時、言葉の端々に生物に対する愛情が見え、本当に好きで生物を教えているんだなあと感心しました。」

京都水族館の生物について、聞きたいことがあれば私にいつでも聞いてくださいね!
いろんなエピソードが出てきましたが、私の新しい一面が伝わったのではないでしょうか!?

周りのみんなが認めるぐらい、先生が生物を好きなことが分かりました! あと同じくらいキャラクターが好きなことも……。

俺が何かを言うたびに先生が目を丸くしていたので、今後気をつけようと思いました。

医師を目指す人たちこそ、生物を!

最後に、私から生物の重要性を受験生のみなさんに伝えます!

これから先、みなさんが医学部に進学すれば、研究職に就く場合でも生物を扱う場面がありますし、生物の知識が必須。医学の世界でずっと生きていくならば、ぜひ知っておいて欲しいことばかりです。実際、生物を選択していた卒業生たちから「生物やっておいてよかった」という声も聞きますよ。

大学入試だけでもしんどいのに、中に入ってから苦労なんてしたくないな…。

生物って受験科目のなかではちょっと蔑ろにされやすく、特に「進化」の単元なんかは授業では扱われないこともあります。「読んでおいてね」みたいな。でも、医学部入試にはそんなこと関係なくて。教科書のすべてが出題範囲で、なかには好んでマニアックな問題を出す大学もあります。

ひぇぇぇぇぇ。

だから、教科書すべてをしっかりカバーし、なおかつ時事問題として出題されそうニュースも日々チェックが必要なんですよ。最近だと新型コロナウイルスの話題もそうですし、ノーベル賞の話題なども欠かせないですね。これは、みなさんだけでなく、私たち生物に関わっている立場としても勉強し続けないといけないんですよ。

先生に付いていきます!

今日は私と生物について、いろいろなお話をしてきました。もちろん、どうしても生物に興味を持てなかったり、苦手意識を持っている方もいると思います。でも、どこか1つでも興味を持つことを大切にしてください。私も生物に興味を持ってもらえる授業をやっていきます!

生徒:先生これからもよろしくお願いします!