外科医は手術で命を救う医師として大きなやりがいがあります。

この記事では、外科医になるにはどんな流れや資格が必要なのかをまとめます。

仕事内容や年収、外科の分野、適性、医学部進学から専門医取得までの道のりを解説し、外科医を目指す上で必要な知識を解説します。

外科医とは

外科医とは、主に手術によって患者の病気や外傷の治療を行う医師です。

内科医が薬物療法を中心に治療を行うのに対し、外科医は薬による治療が難しい病気に対して、病変部位の切除や弱くなった組織の補強などの手術を行い、回復を目指します。

外科医として手術を行うためには、日々進歩する医学知識を積極的に学び取り入れながら、技術を磨き続ける努力が必要です。

手術が成功して患者の命を救えたときには、外科医として大きなやりがいを感じることができるでしょう。

外科の種類

ひとくちに外科と言っても様々な分野があり、それぞれ細分化されています。

主な外科系の診療分野は複数に分かれます。

代表例として以下を紹介します。

外科医の仕事と特徴

ここでは、外科医の仕事内容や特徴についてまとめていきます。

外科医の仕事内容

外科医の仕事内容には、大きく分けて「外来業務」「手術」「病棟業務」の3つがあります。

外来では、病院に来院した患者を順番に診察し、問診で病状を把握したうえで必要な検査や今後の治療方針を決定します。

また必要に応じて薬の処方も行います。

手術は麻酔科医や看護師などとチームを組んで行います。

手術日には1日に2〜5件程度の手術が予定され、短いもので1時間程度、長い手術では8時間以上かかることもあります。

病棟業務では、入院患者に対して朝夕の回診を行い、術後の経過を管理します。

外科医の労働時間

外科医の労働時間は、他の診療科と比べて最も長い傾向があります。

厚生労働省「医師の勤務実態調査（令和5年）」によれば、病院勤務の常勤医師の41％（男性）・28％（女性）が週60時間以上勤務しているという結果が出ています。（出典：厚生労働省）

診療科別に見ると、週あたりの平均勤務時間が最も長いのは外科の約61時間54分で、次いで脳神経外科（61時間52分）や救急科（60時間57分）も60時間を超えています。

逆に最も短いのは臨床検査科（約46時間）で、精神科（約48時間）や眼科（約50時間）がこれに続きます。（出典：マイナビDOCTOR）

このように緊急手術の多い診療科ほど勤務時間が長くなりがちです。

外科医は当直（夜間勤務）が週1回程度、緊急手術の待機（オンコール）も週1回程度担当することが一般的で、泊まり込みの勤務も発生するため結果的に労働時間が長くなります。

通常は週5日勤務で週休2日ですが、特に若手の男性医師ほど勤務時間が長くなる傾向が指摘されています。

外科医の年収

外科医の年収は、長い労働時間に見合った高い水準となっています。

勤務医（病院勤めの医師・常勤）の平均年収は約1,310万円ですが、外科医の平均年収はそれを上回る約1,374万円で、診療科別では上位3位内に入ります。（脳神経外科、産婦人科に次ぐ）（出典：独立行政法人 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」）

このように外科医は他の科と比べても高収入の傾向があり、高度な診療技術や長時間労働への対価が反映された結果ともいえるでしょう。

外科医になるには？なるまでの流れ

外科医の仕事内容や待遇について理解したところで、では外科医になるには具体的にどのような道のりを辿ればよいのでしょうか。

ここからは、医師免許の取得から外科専門医になるまでの主なステップを順を追って解説します。

まずは医学部へ進学し医師免許の取得が必須

外科医になるには、まず医師免許を取得することが必須です。

そのために医学部に合格し、6年間にわたる講義や実習を通して医学の専門知識・技術を身につけます。

大学の卒業試験に合格すると医師国家試験の受験資格が与えられ、国家試験に合格することで晴れて医師免許を取得できます。

臨床研修を2年間

医師免許取得後は、大学病院や地域の基幹病院など臨床研修指定病院に所属し、研修医として最低2年間の臨床研修を積みます。

外科医を志望していても、この段階では内科や救急科など様々な診療科で研修を行い、医師としての基礎的な診療知識や技術を身につけます。

安全に患者を診療できるようになるには臨床研修修了が必須であり、まずこの2年間で医師としての土台を固めます。

外科専門医研修を3年間

臨床研修修了後、いよいよ外科の専門研修が始まります。

現在の新専門医制度では、基本19領域の中から外科を選択して専門研修プログラムに沿って3年以上の研修を行うことになります。

研修開始当初は難易度の低い手術から執刀し、指導医の下で徐々に経験を重ねます。

研修プログラム修了後に行われる外科専門医試験に合格すると、外科専門医の資格を取得できます。

外科専門医を取得できれば、外科医としてようやくスタートラインに立ったといえるでしょう。

外科専門医取得後に専門分野に分かれる

外科専門医取得後は、より専門性の高い分野に進んで研鑽を積むのが一般的です。

外科の中でも、心臓血管外科・消化器外科・小児外科・呼吸器外科・内分泌外科・乳腺外科といった専門分野別の研修に進み、各分野の専門医資格取得を目指します。

例えば消化器を専門にする場合は、消化器外科専門医の取得を目指してさらに3～5年の修練を積みます。

このように外科医として一人前と認められるまでには、外科専門医取得後も数年間の研修が必要になるのです。

結果として、高校生が外科医を志してから独立した外科医になるまで10年以上の年月を要する長い道のりとなります。

外科医に向いている人の特徴

それでは、どういった資質や適性があれば外科医に向いている人といえるのでしょうか。

ここでは外科医に向いている人の特徴を5つ挙げて解説します。

勉強を続けられる忍耐力

外科医になるには非常に長い時間をかけた勉強と研修が必要です。

仮に高校3年生から外科医を目指した場合、外科専門医の資格を取得して一人前になるまで10年以上かかります。

医学部で6年間学び医師免許を取得、その後の研修や専門医取得まで長期間にわたって勉強し続けなければなりません。

このため、途中で投げ出さず勉強を継続できる忍耐力は外科医になる上で不可欠な資質と言えるでしょう。

長時間の手術にも対応できる高い集中力

外科医が担当する手術は内容によっては10時間以上に及ぶこともあります。

手術中にミスをすれば患者の生命に関わるため、外科医は手術が終わるまで決して集中を切らすことができません。

長時間にわたる手術中も注意力を持続できる高い集中力が求められます。

手術を安全に成功させるためには、一瞬たりとも気を緩めない集中力が必要なのです。

激務にも耐えうる体力

前述のように、外科医の仕事は他の診療科に比べて労働時間が長く、ハードワークになりがちです。

働き方改革などで医師の労働環境は改善しつつあるものの、依然として外科医の勤務は長時間になりやすい傾向があります。

緊急オペの対応や患者の急変対応、さらに手術自体の長時間化など、体力勝負の場面が多いのも事実です。

そのため、激務に耐えうる体力は外科医として働き続ける上で欠かせない資質でしょう。

患者を救いたいという熱い思い

外科医は、人の命を預かるという重いプレッシャーの中で日々の診療や手術に臨みます。

しかし、手術によって患者を救えたときや、病気から回復した患者の笑顔や感謝の言葉に触れたとき、大きなやりがいを感じる医師が多いです。

激務で高いプレッシャーに晒される外科医の仕事は、並々ならぬ使命感がなければ続けられません。

患者を救いたい、病状を良くしたいという熱い思いが強い人こそ、外科医に向いている人だと言えるでしょう。

高いコミュニケーション能力

外科医にはコミュニケーション能力の高さも求められます。

外科医に必要なコミュニケーションとは、単に患者に病状を説明するだけではありません。

患者さんの話を丁寧に聞き取り、その中から病状に関する重要な情報を引き出す力が求められます。

また、医師が提案する治療方針に対して患者が安心して同意し、手術を任せられるよう信頼関係を築くことも大切です。

このように対人理解力や説明力が高い人は外科医に向いている素質があるでしょう。

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まとめ

この記事では、外科医になるための流れや仕事内容、求められる資質について紹介しました。

外科医は長い道のりと厳しい研修が必要ですが、人の命を救うという大きなやりがいがある職業です。

ただ、その出発点である医学部合格は非常に高い壁であり、多くの人が不安や疑問を抱えるものです。

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