大学進学後、別の学部で学びたいと思う学生に対する措置として設けられているのが「転部」という制度です。
主に2年進級時または3年進級時に、入学時の学部から別の学部に籍を移すことができ、進路を変更したい場合にも同じ大学で学ぶことができる制度です。
このことから、医学部のある総合大学に入学し、転部によって医学部に進学することも可能なのでは…と考えた方もいらっしゃるかと思います。
今回の記事では、医学部への転部は可能なのか、またその条件や方法についてご紹介します。
「転部」とは?

「転部」の“部”は“学部”を指し、一般的に、大学入学後に入学時とは異なる学部へと所属を変更することを指します。
例えば、経済学部所属から法学部所属へと変わることなどを、“転部”と言います。
似たような制度として、学部内の別の学科へと所属を変更する“転科”があります。
外国語学部英米文学科から、フランス文学科に所属を変更するなど、学部は同じで学科のみ変更することを指します。
入学後に自身の学びの求めるところが変容した場合の、救済措置として大学側が行っている制度となります。
一般的に、「転部」や「転科」には条件があり、大学によってはそのうえで転部試験・転科試験を課す場合もあります。
多くの場合、転部や転科は可能な学年・タイミングが決まっています。
例えば、1年次から2年次への進級時のみなど、指定の学年への進級時などが主です。
別学部から医学部への転部は可能?
ここまでのお話で、「倍率の高い医学部入試を突破するよりも、医学部のある大学に入学して転部をするほうが、医学部入学が容易になるのでは?」と考えた方もいらっしゃるかと思います。
では、実際に、別学部から医学部への転部は可能なのかどうか、以下で解説します。
可能だが、条件は厳しい
結論から申し上げますと、主に総合大学において、他学部から医学部への転部は可能です。
ただし、条件としてはかなり厳しいと言わざるを得ません。
以下では、なぜ医学部への転部が難しいのか、主な4つの理由を解説します。
在学中の大学に医学部が存在する必要がある
そもそも、「転部」は同じ大学の別の学部へと所属変更をする制度のため、在学中の大学内に医学部が存在する必要があります。
有名総合大学である、一橋大学、早稲田大学、上智大学、横浜国立大学などに進学したとしても、同大学には医学部が存在しないため、「転部」での医学部進学は不可能です。
そのため、そもそもの条件として、“医学部が設置されている大学に在籍していること“が必須条件となります。
ただし、後述しますが、医学部が設置されているからといって、イコール医学部への転部が可能、というわけではありません。
大学ごとによって制度の有無や条件が大きくことなりますので、あらかじめよく調査しておく必要があります。
大学指定の転部に関する条件を満たす必要がある
転部にあたっては、各大学・各学部(・学科)によって設定された条件を満たした上で、申し出をする必要があります。
この「条件」は大学によって異なりますが、転部を実施している大学の要項を参照すると、以下のような記載があります。
・転部前の成績が良好であること(成績上位者であること、など)
・指定の科目(主に必修科目)を取得済みであること
・学科試験を課し、結果が良好な者
そのほか、大学によって子細が異なる条件設定がなされています。
多くの場合、転部を申し出るまでの成績や選抜試験、面接などが重視される傾向にあります。
そのため、転部を検討している場合には、大学の定期考査や課題提出で上位の成績を取得する必要があります。
大学に通学経験がある方は想像にかたくないかと思いますが、大学の定期考査や課題提出で良い成績を取ることは簡単ではありません。
そのため、転部に向けて大学の成績を良化させることは、とてつもない努力が必要となります。
筆者の通学していた大学では、「入学試験時に、希望学部の合格点を超えていること」との設定もあったことから、入学時点で転部の可否が決まってしまっている場合すらあります。
そのため、転部を検討している場合には、あらかじめ詳細な条件まで確認することを強くおすすめします。
募集人数が決まっている
在学生の多くが特定の学部に所属変更をしてしまうと、教員や教室、研究室所属上限人数といったさまざまな問題が発生してしまうため、転部には募集人数が設定されています。
転部の募集人数は、医学部に限らず「若干名」など、基本的には数人程度となります。
そのため、「条件を満たしていれば確実に転部できる」というわけではなく、在学中の成績や志望理由などによって選抜が行われる、ということになります。
すなわち、医学部への転部希望者が多ければ多いほど、転部にあたって求められる成績や志望理由の精度が求められることとなります。
そのため、年度によっては、学士編入や一般入試以上の狭き門となる可能性も覚悟しておかなければなりません。
医学部への転部を実施している大学が少ない
繰り返しになりますが、医学部を設置している大学だからといって、必ずしも転部を実施しているわけではありません。
そのため、そもそも転部で医学部を目指すにあたっては、「医学部への転部を実施している大学」へ進学する必要があります。
しかし、医学部への転部を実施している大学は、全国的に見ても多くはありません。
そのため、①医学部への転部を行っている大学に進学したうえで、②全科目で成績上位を獲得し、③転部にあたっての各種試験を突破する必要があります。
上記の3つの条件を全て満たすことを考えると、「医学部への転部」は簡単な選択ではないことがお分かりいただけたかと思います。
医学部への転部を実施している大学

先述の通り、在籍中の大学に医学部があるからといって、必ずしも医学部への転部を実施しているというわけではありません。
以下では、医学部への転部を実施している大学の一部と、設定されている条件についてご紹介します。
<国公立大学>
| 大学名 | 転部条件 |
| 北海道大学 | 2年進級時に1年次の成績を参考にしたうえで希望に応じた学部に転部可能 |
| 東京大学 | 3年進級時に進学選択制度によって、1・2年次の成績をもとに希望に応じた学部に進学可能 |
| 千葉大学 | 欠員のある場合に限り、選考のうえ相当年次に転部または転科を認める場合がある |
<私立大学>
| 大学名 | 転部条件 |
| 岩手医科大学 | 歯学部の学生に限り、2年進級時に転部が可能(※書類審査・学科試験・面接・小論文による選抜あり) |
| 昭和大学 | 定員に余裕のある場合に限り、選考のうえ相当年次に転部を認める場合がある |
| 北里大学 | 歯学部・薬学部・保健医療学部の学生に限り、2年進級時に選考のうえ医学部への転部を認める場合がある |
転部のチャンスは1度だけ

ここまでで、転部によって医学部を目指すことはかなり条件として厳しいことがお分かりいただけたかと思います。
そのうえで、転部で医学部進学を目指すにあたってもっともリスクとなるのが、「応募可能な回数」にあります。
冒頭でお伝えした通り、転部は各大学で希望可能な学年が決まっており、多くが「進級時」となります。そのため、転部に挑戦できるのは、特定学年への進級時の「1回のみ」となります。
この1回のみのチャンスのために、医学部以外の学部に入学し、指定の単位を一定以上の成績で取得する…というのは、非効率的であるうえに、リスクが高すぎると言えます。
もちろん、大学入学後の進路変更の手段として、転部を活用することは全く問題ありません。医学部入学のための手段として、他学部にしんがくすることは非常にリスクが高い、という点を押さえておきましょう。
「学士編入」や「再受験」も視野に入れておこう
大学入学後の医学部進学の方法として、転部のほかに「学士編入」や「再受験」といった手段が挙げられます。
学士編入とは、大学2年次または3年次に、他大学の3年生として編入する制度を指します。編入時には指定科目の学力試験があるほか、面接・小論文などを課す場合もあります。募集人員が少ないうえに、全国のライバルとの競い合いとなるため、非常に狭き門となります。
再受験とは、大学進学後、改めて一般入試を受験し、別の大学の1年生として入学し直すことを指します。一般入試を受験するので、もう一度大学受験範囲を学習しなおすこととなります。大学受験の募集枠のため、定員に関しては転部や学士編入よりも圧倒的に多いですが、受験生と同等の学習量が求められる点に注意が必要です。
いずれも簡単な方法ではありませんが、転部での医学部進学を目指すのであれば、学士編入や再受験といった二の矢・三の矢をあらかじめ検討しておくことをおすすめします。
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ここまで、「転部」を軸に、大学進学後に再度医学部進学を志すことについてお伝えしてきました。
転部も学士編入も再受験も、どれも厳しい道です。ただし、専門家のサポートを受けることで、ほかの受験生よりも圧倒的な効率で学習を進め、合格を掴み取ることが可能です。
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医学部入学にあたっては、医師として相応しい人物であるかどうかも問われるため、小論文や面接といった、受験生の内面的な部分を見る試験が実施されます。
これは転部、学士編入、一般入試(再受験含)ともに共通しており、医学部合格にあたっては面接・小論文の対策が必要不可欠です。
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単純な履修科目の一覧化とは異なり、学習スタイルまで考慮したカリキュラムとなっているため、生徒本人も納得感高く学習を進めることが可能です。
まとめ

いかがでしたでしょうか。
医学部への転部は、複数の条件をクリアする必要があるうえに、チャンスは1度しかなく、また他にどんな学生が志望するかによって合否が左右されるため、狙っての突破はなかなかに難しいと言えます。
転部を視野に入れた上で、第二・第三の策として、学士編入や再受験といった方法もとれるように準備しておくことをおすすめします。
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