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2023年度関西医科大学医学部の生物過去問対策・分析

2023年度関西医科大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾生物科です。

このページでは「関西医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“関西医科大学医学部”の受験を考えている方
・“関西医科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2023年度 
形式: 記述式
制限時間:2科目120分
配点:2科目200点

出題の傾向と特徴

 問題の難易度は、「標準的~やや難」です。易しい問題で確実に得点し、やや難しい初見の実験考察問題を丁寧に読解して考察できるか、で合否が決まるでしょう。
 問題の形式としては、正誤問題、基本用語を答える問題、計算問題、実験考察問題、を中心に出題されています。
 記述量は少なく(40字以内の記述問題が1題のみ)、グラフを描く問題などは出題されていません。
大問1の「当てはまる選択肢を『すべて』選ぶ」形式の小問集合で受験生が高得点を取るのは難しいので、速度重視で解答し、大問2以降の考察や計算に使う時間を確保した方が、全体での得点は上がるでしょう。

【頻出の出題単元】

 医学関連分野が頻出です。具体的には、細胞、代謝、遺伝子の発現、バイオテクノロジー、メンデル遺伝、発生、人体(刺激の受容と行動、恒常性)です。

【制限時間に対する問題量】

 大問1を素早く済ませ、大問2以降の「やや難しい実験考察問題や計算問題」のために時間を確保しましょう。それでも、じっくり考えている余裕はないので、「それ以上考えても解決が見えそうにない」場合は思い切って次の問題に移る判断力も必要です。

2023年度(最新の過去問)の分析

 さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

【第1問】 「小問集合」

 「当てはまる選択肢を『すべて』選ぶ」形式。
 詳細かつ正確な知識が必要で、かつ各完答形式なので、受験生が高得点を取るのは難しいでしょう。ここで熟考して時間を浪費するより、速度重視で解答して大問2以降に進みましょう。
 23年度の特徴的な小問として、「生物用語の英単語を選択肢とする問題」が出題されました。endoplasmic reticulum(小胞体)などは、多くの受験生にとって知らない英単語であったと思われます。逆に、「他の多くの受験生も正答できない問題だ」と割り切って次に進めばよいでしょう。

【第2問】 「心臓、自律神経、拍動」

 問題文をよく読んで教科書レベルの知識と結び付けて考えることが出来れば、それほど難しい問題ではありません。
 しかし、「カエルの心臓を体外に取り出して調べたレーウィの実験」について知っていれば、より容易に解答できるでしょう。このように、教科書や資料集に載っている実験が入試に出題されることは多いので、頻出の実験については特に、問題集でしっかり練習しておきましょう。
 問2の拍動数や拍出量の問題が分からなかった人は、
・ (拍動数)=(拍動回数)÷(時間)
・ (1回拍出量)=(リンガー液の液面差)
・ (総拍出量)=(1回拍出量)×(拍動数)×(時間)
のように、「文章で与えられている量」を「式の形」に書き直してみると、見通しが良くなるでしょう。

【第3問】 「ラクトースオペロン、正の制御」

 原核生物における転写・翻訳と、ラクトースオペロンに関する問題です。
 「すべての遺伝子を転写するのにかかる時間」を計算する問題が出題されています。関西医科大学では「典型頻出の計算問題」ではなく「応用的な計算問題」がよく出題されていますが、「典型頻出の計算問題の解法を組み合わせれば解ける問題」が多いので、計算が苦手な人は、まずは典型頻出の計算問題をたくさん解き、立式力と計算力を養っておきましょう。
 ラクトースオペロンに関しては、よく出題される「リプレッサーによる負の制御」に加えて、「cAMPとCAPによる正の制御」も出題されました。しかし、丁寧に読めば分かるように問題文が書かれているので、「書かれていることがイメージしにくい」場合は、簡単なメモや模式図を描いて状況を整理するとよいでしょう。

【第4問】 「ABO式血液型の家系図、劣性の遺伝病、集団遺伝」

 関西医科大学では「家系図を与えて遺伝現象を考えさせる問題」が頻繁に出題されています。関西医科大学を第一志望にしている受験生なら特に、出来るだけ多くの過去問を解いておき、「家系図の問題」で得点できるとよいでしょう。
 また、「集団遺伝を扱うハーディ・ワインベルグの法則」も私立医学部入試では頻出なので、「ハーディ・ワインベルグの法則の計算問題」をたくさん解いておきましょう。

【総評】 

 数年前と比べると、2022年度以降は易化傾向にあります。問題文や実験の流れも読みやすくなっており、生物を得意としている受験生にとっては得点源とすることが出来るでしょう。
ただし、「当てはまる選択肢を『すべて』選ぶ」形式の問題は相変わらず、受験生にとっては難しいので、実験考察問題で考える時間を確保する方針で時間配分をすればよいでしょう。
 

≪2023年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 8~8.5 割
他教科を得点源にしたい受験生… 7~7.5 割

まとめ

というわけで、今回は愛知医科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。