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2023年度大阪医科薬科大学医学部の生物過去問対策・分析

2023年度大阪医科薬科大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾生物科です。

このページでは「大阪医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“大阪医科薬科大学医学部”の受験を考えている方
・“大阪医科薬科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2023年度 
形式: 記述式
制限時間:2科目120分
配点:2科目200点

出題の傾向と特徴

平易な問題が多いですが、グラフ読解と記述が苦手だと合格点が取れないため、苦手な受験生はグラフ読解と記述の力をしっかり鍛えておく必要があります。
やや難易度の高い実験考察問題で合否差がついていると考えられるので、実験考察問題をたくさん解いておき、実験考察のコツをつかんでおくとよいでしょう。
2023年度は出題されませんでしたが、生物学の知識を人間の生活にあてはめて考える問題(夜の飛行機のコックピットにおける視覚、外呼吸における胸郭の動き、等)もよく出題されますので、普段から、生物で得た知識を自分の体にあてはめて理解するようにしておくとよいでしょう。

【頻出の出題単元】

細胞、代謝、遺伝子発現、バイオテクノロジー、人体(反応と行動、恒常性)からの出題が多いですが、植物ホルモンや進化など、全分野から出題されていますので、教科書レベルの知識は全分野にわたって抜けのないようにしておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

平易な問題が多いので、医学部入試としては時間的余裕がある方です。その時間を使って、記述問題が苦手な人は自分の答案をしっかり吟味するとよいでしょう。

2023年度(最新の過去問)の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

【第1問】 「神経筋標本」

 どの小問も典型頻出なので、完答を目指しましょう。
神経筋標本の計算問題が苦手な人は、実験結果から「伝導速度」、「伝達に要する時間」、「潜伏期に要する時間」、「接合部からA(cm)離れた部分を刺激した時に何(ミリ秒)後に収縮するか」、などを計算する練習をしておきましょう。
 「活動電位が発生して静止電位に戻る過程でイオンが細胞膜を挟んでどのように移動しているか」を記述させる問題が出題されています。記述問題が苦手な人は、「高校で使われている教科書」の記述が簡潔で正確なので、まずは教科書の記述をお手本にするとよいでしょう。この問題のテーマに関しても、「教科書の記述を見ながらそのまま写す」、次に「何も見ずに書く」、という練習から始めるとよいでしょう。

【第2問】 「呼吸商」

 どの小問も典型頻出なので、完答を目指しましょう。
 「異化の定義」を説明する小問が出題されています。基本用語の意味を簡潔に書けるように、「教科書の記述を書き写す」などの練習をしておくとよいでしょう。
 呼吸における酸化型/還元型補酵素の働きに関する穴埋め問題が出題されています。細胞内で電子を運搬する補酵素の働きをすることは呼吸や光合成を理解するために不可欠です。代謝分野の全体を、酸化還元反応の観点から理解を深めておきましょう。
「ガラス管の中のインク」の移動量から呼吸商を求める実験に関して、インクの移動と容器内の気体の増減の関係や、容器内に入れる強アルカリの水溶液の働きについて、基本的な理解を問う小問が出題されています。高校の生物教科書に載っている実験については、「なぜそのような実験操作を行うのか」、「実験結果をそのように解釈できる理由は何か」についても理解しておきましょう。

【第3問】 「選択的遺伝子発現」

 次の2つの小問で差が開いたと思われます。
 (問2-ⅱ)選択肢からハウスキーピング遺伝子を選ぶ問題が出題されています。ハウスキーピング遺伝子の意味は設問文で説明されているので、その意味に合う遺伝子を選びましょう。「どんな細胞でも発現しているはず」という観点で考えると分かると思います。
 (問5)二種の魚類で、ある調節タンパク質のアミノ酸配列、発現場所、発現量に差がないのに、一方の種ではShhタンパク質の発現が促進され、他方の種では促進されない理由を考えさせる問題が出題されています。「真核生物の調節タンパク質はプロモーターから離れたく転写調節領域に結合することで機能する」という基礎知識を思い出せば、解答できると思います。

【第4問】 「貝毒の作用機序」

 「アンボイナガイの毒素が魚を弱らせる仕組み」に関する問題で、問5、問7の実験考察で得点差が開いたと考えられます。
 (問5)リード文で「毒素G1の構造がインスリンの構造に似ていること」が示され、図1で「ランゲルハンス等B細胞を破壊する薬剤STZを投与した魚の血糖値は増加するが、STZとG1を同時に投与すると対照群と同じ血糖値になること」が示されていることから、「G1は魚類の体内でインスリンと同じ働きをしている」と推論できます。
 (問7)リード文で「アンボイナガイが水中に毒素を放出して獲物の魚を弱らせて捕えていること」が示されており、これと図1~2で示された実験結果を合わせて考えると、「アンボイナガイから水中に放出された毒素G1が近くの魚類の体内に入ってインスリンと同じ働きをして、血糖値が下がって泳ぎの鈍くなった魚類をアンボイナガイが捕食している」という全体像が見えてくると思います。

【総評】

私立医学部の入試問題としては難易度が低く、時間的にも厳しくないので、その分、合否ラインが高得点域となっていると予想されますので、繰り返しになりますが、「グラフを読解して実験結果を考察して論述する問題」が苦手な受験生は、これらの学力をしっかり身に付けておき、高得点を取る必要があります。
≪2023年度の目標値≫
生物を得点源にしたい受験生… 9.5割
他教科を得点源にしたい受験生… 8.5割

まとめ

というわけで、今回は大阪医科薬科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。