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2023年度埼玉医科大学医学部の数学過去問対策・分析

2023年度埼玉医科大学医学部の数学過去問対策・分析

京都医塾数学科です。

このページでは「埼玉医科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“埼玉医科大学”の受験を考えている方
・“埼玉医科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方

におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2024年度 
形式:マーク
制限時間:50分
配点:100点(筆記試験全体の配点は400点)
埼玉医科大学の数学は2017年度以降「60分・マーク式(全4題)」という形式が続いていましたが、
2021年度から「50分・マーク式(全4題)」の形式になりました。

出題の傾向と特徴(3年分)

制限時間・大問数・問題形式が固定されてきた2021年度以降の3年分についての傾向をまとめます。

【恒例の出題単元】

過去10年以上、ほぼ毎年場合の数・確率の問題が出題されています(2021年度は出題なし)。
順列・組合せを初めとする場合の数の計算や、反復試行や条件付き確率といった知識を必要とする問題だけではなく、数え上げを用いて根気強く調べ上げることを必要とする問題も目立ちます。樹形図などを駆使して正確に数え上げを実行する訓練も積んでおきましょう。

【頻出の出題単元】

場合の数・確率を除くと、数Ⅲ積分やベクトルの単元が頻出です。
どちらも難易度の高い問題は少なく、基本的な解法で解けるものが中心に出題されています。知識の定着度と計算の正確さが重要になってきます。特に数Ⅲの積分は、定積分の計算や面積・体積の計算など、時間のかかる問題が多いですから、ただ解けるというだけでなく、最も効率の良い解法が選択できるよう、常に意識した学習をしなくてはなりません。
また、どちらの単元においても、作図による考察はほぼ必須です。素早く正しい図が描けるように、普段から練習を重ねておきましょう。

【制限時間に対する問題量と難易度】

2021年度から、試験時間が60分から50分に短縮されました。
時間が短くなって大問数はそのままと、一見すると制限が厳しくなったようにも見えますが、第1問の小問集合で問題数が減っていたり、全体的な計算量も抑えめであったりと、分量は以前と比べて少なくなりました。
問題途中で(あるいは問題の解き始めで)手が止まってしまった時は、問題文の誘導や、穴埋めで現れている式の形などが良い手掛かりとなってくれます。誘導がかなり丁寧に書かれていることも同大学の特徴ですから、過去問演習では、問題文の読み方や流れの掴み方まで意識して取り組んでいきましょう。短い時間制限の中で、冷静に問題を読み、正確に情報を拾い上げる力が試される試験です。

2023年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 小問2問】(易)

問1 条件を満たす2次関数の係数を求める問題です。

通る点や \( -1≦x≦2 \) における最大値・最小値が与えられています。文字係数の2次関数の最大値・最小値の問題なので、軸と定義域の関係で場合分けをする必要があります。ただし、グラフの対称性などを利用して考察をすると、計算量を減らして解けるようになっています。

問2 三角形の辺の内分点や外分点などの情報から辺の比を求める問題です。

メネラウスの定理を2回利用すれば解けるようになっています。

問1・問2ともに基本的な問題です。

≪2023年度の目標値≫

数学を得点源にしたい受験生…完答。
他教科を得点源にしたい受験生…完答。

【第2問 積分法】(やや易)

\( I = \displaystyle \int_{ \frac{ \pi }{ 4 }}^{ \frac{ \pi }{ 2 }} \log \left ( \frac{ \cos x }{ \sin x } +1 \right ) dx \) を考える問題です。

問1 定積分 \( \displaystyle \int_{ \frac{ \pi }{ 4 } }^{ \frac{ \pi }{ 2 } } \log \left \lbrace \sin \left ( x + \frac{ \pi }{ 4 } \right ) \right \rbrace dx \) の結果を与えられた置換を用いて考える問題です。
問2 \( \sin x + \cos x \) を合成する問題です。
問3 \( I \) を計算する問題です。

問1 指示通りに置換積分を行えば良いでしょう。式の見た目がやや複雑ですが、見た目に惑わされずに計算を行いましょう。
問2 基本通りに三角関数の合成を行いましょう。
問3 問1・問2が誘導になっています。問題の流れを意識しながら解いていきましょう。

≪2023年度の目標値≫

数学を得点源にしたい受験生…完答。
他教科を得点源にしたい受験生…問2までは確保したい。

【第3問 整数】(標準)

変数 \( d \) によって定まる領域内に含まれる格子点(この問題では \( x \) 座標、\( y \) 座標がともに自然数である点)の数 \( m (d) \) を考える問題です。
問1 \( m (1) \) などを求める問題です。
問2 \( d \) が与えられた範囲のときの \( m(d) \) を求める問題です。
問3 ある条件のときの \( m(d) \) の最大値を求める問題です。

問1 図を描いて数え上げましょう。
問2 これも問題に指示された通りに図を描いて考えましょう。
問3 問2を利用して考える問題です。

一見すると取っ付きにくい問題ですが、問1で具体的に数え上げ、何を求めなければならないかをイメージしましょう。

≪2023年度の目標値≫

数学を得点源にしたい受験生…問2まで。
他教科を得点源にしたい受験生…問1は確保したい。

【第4問 確率】(標準)

4枚のコインを同時に投げ、表が出たコインの枚数を数えることを4回繰り返します。
問1 4回のすべてで表が出るコインの枚数が2枚以上になる確率を求める問題です。
問2 4回の中で表が出るコインの枚数の最小値が2である確率を求める問題です。
問3 4回の中で表が出るコインの枚数の最小値が2、かつ最大値が4である確率を求める問題です。

問1 まず、4枚のコインを同時に投げたときに、表が出たコインの枚数が0枚、1枚、2枚、3枚、4枚である確率をそれぞれ求めましょう。そのうえで、1回の試行で表が出るコインの枚数が2枚以上になる確率から、4回のすべてで表が出るコインの枚数が2枚以上になる確率を考えていけば良いでしょう。
問2 問1で求めた確率から、(4回の中で表が出るコインの枚数が3枚以上になる確率)を引きましょう。問1が誘導になっています。
問3 問2で求めた確率から、(4回のすべてで表が出るコインの枚数が2枚または3枚であり、少なくとも1回は表が出るコインの枚数が2枚である確率)を引きましょう。

サイコロを何回か投げ、出た目の最小値が2である確率を求める問題や、出た目の最小値が2、かつ最大値が4である確率を求める問題の類題です。これと同じように考えられれば解けるでしょう。

≪2023年度の目標値≫

数学を得点源にしたい受験生…問2まで。
他教科を得点源にしたい受験生…問2まで。

【総評】

全体的な難易度は(問題によって多少の差はありますが)そこまで高くありません。短い時間の中で解くべき問題を見極め、テキパキとこなしていきましょう。

まとめ

時間に対する処理量には慣れておきましょう。
出題される内容は基礎~標準レベルに収まるものばかりなので、難しい問題集に手を出す必要はありません。使い慣れた問題集を何周も解き直し、手早く正確に計算処理をこなす力をつけておきましょう。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:杉多 孝文

  • 役職
    数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    5年
  • 出身大学
    京都大学医学部
  • 特技・資格
    柔道初段
  • 趣味
    スポーツ観戦、読書
  • 出身地
    兵庫県
  • お勧めの本
    神様のカルテ

受験生への一言
「分かるとできるは全然違う。できるようになるまでやる。」それが大事です。