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2022年度東北医科薬科大学医学部の数学入試問題対策・分析

2022年度東北医科薬科大学医学部の数学入試問題対策・分析

 

京都医塾数学科です。

このページでは「東北医科薬科大学医学部の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“東北医科薬科大学医学部”の受験を考えている方
・“東北医科薬科大学医学部の数学がどのような問題か知りたい”という方
におすすめの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

出題の傾向と特徴

形式に加え、2018年度以降の5年分についての傾向をまとめます。

【毎年恒例の出題単元】 

 微積分は毎年出題されています。特に曲線などで囲まれた図形の面積を求める問題がよく出題されています。また、問題を解くうえで図形の知識が必要となる問題が多いです。与えられた情報から図形を素早く正確に描く訓練をしておきましょう。

【頻出の出題単元】

 すべての単元からまんべんなく出題されます。また、三角関数のように、大問がその単元単体で構成されていなくても、問題を解くうえで知識が必要になる問題もあり、偏った学習は好ましくありません。また、どういうときにその知識が使えるのかを見抜く訓練も必要です。

【制限時間に対する問題量】

 大問3題に対して70分ですので、私立医学部の問題としては標準的と言えます。しかしながら、微分・積分計算などの途中の計算でそれなりに時間を取られます。そのため、基本的な計算については素早く正確にできるように訓練をしておきましょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

 ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
 ※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第Ⅰ問 4次関数の接線と、囲まれた図形の面積】(難易度:標準)

(1) この問題は数学が得意でない方でも根気よく計算して取りきって欲しい問題です。点(\(p\),\(f(p)\))で接するので、曲線と接線の連立方程式を変形した4次方程式は\((x-p)^2\)を因数に持ちます。それで次数下げをしてやれば、残りの部分は2次式になりますので、判別式で処理することができます。残りの部分が重解をもつか実数解をもたなければ、接点以外の共有点をもたないことになります。
 最後の面積はいわゆる「\(\frac{1}{30}\)公式」を使えないと時間がかかります。その場合はいったんとばして後から解いてもよいでしょう。そのときも計算の工夫として部分積分か、平行移動を試みるようにして下さい。
 ちなみに、(1-1)の\(p\)の値の範囲は、マークシート形式であることをいかして、二重接線を求め、グラフから傾きをどう動かすと条件を満たすかを考えても求められます。

(2)  2-1と2-2でそれぞれどういう状態かをイメージできるかが鍵になります。
 2-1では(\(1\),\(-3\))が接点ですのでグラフの形や面積を求める図形もイメージしやすいのではないでしょうか。ここは手堅くとっておきたいです。
 2-2では(\(1\),\(-3\))は接点ではなくただの通る点ですので、接線の方程式を作り、通る点の座標を代入することで\(p\)についての方程式を作りましょう。接点の\(x\)座標が\(1+\sqrt{2}\) になりますので、積分区間で直線が接線より上になる区間が0≦\(x\)≦1であることに気を付けてください。そこまでできれば、後はひたすら計算するだけです。

≪2022年度の目標値≫
 数学を得点源にしたい受験生…完答したい
 数学以外を得点源にしたい受験生… (1)の面積と2-2以外を完答したい

【第Ⅱ問 複素数平面】(難易度:やや易)

 問題を読んだとき、ああcos\(\frac{π}{5}\)を求める問題だ、と分かればとてもスムーズに手が動きます。そうでなければ、誘導に乗って地道に計算しましょう。

(1) 書いてある通りに立式します。10θ=2πまたは10θ=4πという式が作れますので、解くだけです。θが\(\frac{2}{5}\)πの時は\(P_1\)と\(P_3\)が同じ点になってしまうので不適です。また、穴埋め形式ですので、チェックしなくても答えは一方に決まります。

(2)および(3) まさにcos\(\frac{π}{5}\)を求める問題です。知らずに変形をはじめると途中式が煩雑になるので、気を付けてください。
 ちなみに、cos\(\frac{π}{5}\)の求め方は他に、三角関数の2倍角の公式と3倍角の公式を使うもの、頂角が36°の二等辺三角形を使うものがあります。今回の求め方も含めてどれか1つは手順を覚えておきましょう。 

(4) (3)ができていれば、余弦定理を使うだけです。

(5) (3)ができていれば、三角比を使った面積公式を計算するだけです。
 やはり、こういう問題で役に立つので、cos\(\frac{π}{5}\)を求める手順は覚えておいた方がいいですね。

≪2022年度の目標値≫
 数学を得点源にしたい受験生…素早く完答したい
 数学以外を得点源にしたい受験生…(1)は完答したい

【第Ⅲ問 図形と積分】(標準)

図形問題です。書いてある情報を基に図を描きましょう。原点Oと点Pの距離が一定であることから、点Pは原点Oを中心とする円周上にあることに気付ければ見えてきます。

 (1) ∠APB=60°から、円周角の定理(図が描けていれば見えてくるはずです)で中心角を求めると120°になります。ですので、円の中心から線分ABにおろした垂線の足をHとすると、△AOHが有名角の直角三角形になります。1:2:\(\sqrt{3}\) を利用すれば\(xy\)平面上での4点A、B、C、Dの座標は全て求めることができます。

 (2)点Pが2点C、Dから等距離ですので、点Pは円と\(y\)軸の交点のうち\(y\)座標が正である点(\(0\),\(2\))になります。ちなみに、ここまでは中学範囲の知識だけで解くことができます。

(3) 点Pは原点を中心とする円周上にあるので、(\(s\),\(t\))と2文字で置くより、(cosθ、sinθ)と置く方がいいですね。後は、2点間の距離の公式を使って立式しましょう。
 ただ、立式したθについての関数はかなり煩雑な式になりますので、時間がなければ他の問題に戻って、そちらに時間をかけても良いでしょう。

≪2022年度の目標値≫
 数学を得点源にしたい受験生…(3)以外は完答したい
 数学以外を得点源にしたい受験生…(3)以外はできれば完答したい

【総評】

 全体を俯瞰して、解きやすいところから取りに行きましょう。

 また、数学を学んでいく中で試験用のテクニックも習うと思いますが、マークシート方式であることを最大限に活かして、各種テクニックを使えた方がよいと思います。各大問の最後の問などでは、簡単に処理できない煩雑な計算を要求される問題もありますから、普段から計算力をつける訓練をしておきましょう。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:山本 靖

  • 役職
    数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    17年
  • 出身大学
    京都大学法学部
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書、散策
  • 出身地
    山口県
  • お勧めの本
    「銃・病原菌・鉄」 中野好夫さんのエッセイ

受験生への一言
受験全体でもそうですし、数学の問題を解くときもそうですが、冷静に状況を判断することと、いざやると決めたら目標に向かって突っ走る気持ちとのバランスや切り替えが大切です。