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2022年度愛知医科大学医学部の化学過去問対策・分析

2022年度愛知医科大学医学部の化学過去問対策・分析

京都医塾化学科です。
このページでは「愛知医科大学の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“愛知医科大学”の受験を考えている方
・“愛知医科大学の化学がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度
形式:記述式
制限時間:理科2科目で100分
配点:100点

出題の傾向と特徴

【毎年恒例の出題形式】

例年、大問3問の構成であったが、2022年度のみ大問2問の構成であった。有機化学分野からは天然高分子化合物が多く出題される傾向にあるが、2022年度は上記の大問数の影響からか、有機化学からの出題がなかった。今年度はどのような構成になるかは不透明であるが、例年通りの構成を想定するのであれば、糖類・アミノ酸・核酸といった単元については教科書の発展で扱われる内容についてもしっかりと習熟しておきたい。

【制限時間に対する問題量】

問題の難易度はいずれも標準的なものが多いが、計算問題の割合が高いので、全ての問題に解答するためには典型的な問題を手早く片付ける力が必要とされる。特に理論化学の計算問題については制限時間の配分をよく考え、時間切れにならないように注意したい。

2022年度の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(混合気体と蒸気圧)

問1:揮発性物質の分圧を求める問題。グラフから蒸気圧を読みとり、揮発性物質の状態を確認する、という基本に忠実に解答すれば正答できる問題。
問2:定積変化なので、圧力と絶対温度の関係を状態方程式から求め、蒸気圧曲線との交点を読み取らなければならない。近年、多くの大学で題材にされているので、解法をしっかりと身に付けておきたい。
問3:問2でエタノールが気液平衡であることがわかるので、グラフから蒸気圧を読み取るだけの問題。問2が解けていれば平易。
問4:ネオンの分圧を状態方程式から求め、前問のエタノールの蒸気圧と合わせて全圧を答える問題。ここまでがきちんと解けていれば平易。
問5:蒸気圧の値から気体のエタノールの物質量→液体のエタノールの物質量と順に求めておけば解答できる。この流れについてはきちんと身に付けておきたい。
問6:定圧変化なので、エタノールがすべて気体の際の分圧を分圧の法則から求めればグラフから読み取るだけの問題。問2の解法との違いに気を付けておきたい。
問7:問5と同様。ここまでの問題が解けていれば平易。

【第2問】(Cuの性質と反応、電解精錬、硫酸銅(Ⅱ)の結晶の析出)

問1:Cuの性質・反応、電解精錬、合金に関する空欄補充問題。いずれも基本事項なので、知識の確認はしっかりと行っておきたい。
問2:Cuの関連物質の化学式を答える問題。酸化生成物が温度によって変わることに注意。
問3:錯イオンの名称を答える問題。基本。
問4:Cuが属するグループを答える問題。基本。
問5:電解精錬に関する問題。
(1) 電解液中のイオンの濃度増減を答える問題。基本。
(2) 流れた電気量から、析出する銅の質量を答える問題。基本。
(3) 陽極側の沈殿の名称を答える問題。基本。
(4) 陽極から溶け出した不純物の濃度を答える問題。陽極泥になる金属には電気量が影響しないことに注意。
問6:面心立方格子の密度の式を導出する問題。平易。
問7:銅と希硝酸の化学反応式を答える問題。基本。
問8:錯イオンの異性体の個数を答える問題。この問題の正方形や、正八面体について考えさせる問題は近年頻出なので、押さえておきたい。
問9:硫酸銅の結晶に関する問題。色から五水和物と答えられるようになっておきたい。
問10、問11:グラフから、加熱により脱離した水和水を求める問題。硫酸銅結晶と水和水のモル比を落ち着いて求められれば、正答できる。

【総評】

第1問はいずれも標準的な出題であったが、計算が多く、手前の問題の答えを直後の問題に使う必要があるため、得点差が大きくなったものと思われる。また、制限時間のうちの25分で解答しようと思うと、煩雑な計算を手早く片付ける必要があるため時間配分がうまくいかなかった生徒も多かったと思われる。
第2問は基本的な知識で答えられる問題が多かったので、知識の定着度が得点差に直結しただろう。基本的な知識がきちんと定着できている人は第2問で満点近い点数が取れたものと思われる。

≪2022年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生…8~9割
他教科を得点源にしたい受験生…6.5~7.5割

まとめ

というわけで、今回は愛知医科大学の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:安達 康明

  • 役職
    化学科統括/化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    8年
  • 出身大学
    京都大学工学部
  • 特技・資格
    バレーボール
  • 趣味
    ゲーム、アニメ鑑賞
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    ビーカーくんとそのなかまたちシリーズ

受験生への一言
なぜその思考が必要なのか、なぜこの解法なのかをキチンと理解できれば点数は必ずついてきます。その手助けをしていくことを最優先で考え、授業を進めています。合格のために出来るサポートは全力でやります。