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2022年度埼玉医科大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度埼玉医科大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾生物科です。

このページでは「埼玉医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“埼玉医科大学医学部”の受験を考えている方
・“埼玉医科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式:マークシート式
時間:理科2科目90分
配点:理科2科目200点

出題の傾向と特徴

 基礎的な知識を問われる問題が多いものの、計算問題も欠かさず出題されるほか実験考察問題などの出題も見られます。実験考察問題は最新の研究内容に触れるものなど非典型の内容が出題されることが多く、初見の題材であっても与えられた情報から合理的に考えて考察する力が求められます。

【頻出の出題単元】

 総合問題の出題があるため、出題分野には特に偏りは見られません。どの分野をどのような形で問われても対応ができるように、教科書レベルの知識は幅広く定着させておく必要があります。

【制限時間に対する問題量】

 問題の数そのものが多いというだけでなく、複雑な計算や細部までの読解を要求する問題が多く見られるため、演習経験が十分でなければ時間に追われることになるでしょう。知識問題を手早く解き切って、計算や読解・考察に多くの時間を割り当てることを意識して問題に臨むことが大切です。

2022年度(最新の過去問)の分析

 2021年度までは大問5~6題の形で出題されていましたが、2022年度は大問3題の出題でした。ただ、大問数が少なくなったものの、解答する問いの数はむしろ増えており、制限時間と問題量との関係などが例年と大きく変化したというわけではなさそうです。
 ※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

【第1問】 

 筋肉についての出題でした。
 筋節の長さと発生する張力のグラフから各フィラメントの長さを求めたり、収縮速度を求めたり、と計算問題も含めて典型的な題材ばかりでしたので、時間をかけずに素早く解き進めたいところです。問1(2)の「明帯の幅」が指す範囲は筋節が連続している構造を基準にしている事には注意する必要があります。

【第2問】 

 ゾウリムシを題材に、種間関係、繊毛の成分、細胞分裂の周期、走性に関する実験、と問いごとに扱う分野が変化していく形の出題でした。
 問5、問6の計算問題は考え方に工夫が必要となるものでした。文章で与えられている情報を整理して、問われた値とどのような関係性があるか、を明らかにしてからでないと計算には取り掛かることができません。過去問などで類似した形式の計算問題に触れ、考え方を身につけておきましょう。
 問7は仮説を誤りと判断するために必要な実験の条件や結果を考える問題でした。このような実験の条件や結果を推定するような問題は、共通テスト開始以降、多くの大学で出題されるようになってきています。実験計画の立て方なども含めて学習しておきましょう。

【第3問】 

 植物を題材にして、進化・系統、環境応答、遺伝、と扱う分野が多岐に渡る出題でした。
 文章Bで扱われた気孔の開閉については、植物ホルモンの影響と光の影響と、を区別して考える必要があるため、実験条件と結果を丁寧に読解して利用することが必要です。基本的な知識とも関連付けて合理的に考えましょう。
 文章Cで扱われた発芽率と遺伝子の関係は、後半の計算が非常に煩雑なものでした。4つの遺伝子を全て同程度に扱って考えると作業量が膨大になるため、重要な遺伝子1つに着目して、ある程度問題を単純化してから取り組むことで解きやすくはなるのですが、時間はどうしても一定以上かかってしまいます。解答時間と解答速度との兼ね合いから考えると、早めに切り上げて他の確実に得点できる問題に労力を割く方が有益になったかもしれません。

【総評】

 問題を処理する速度と基礎的な内容に対する安定感が求められます。2022年度は総合問題という形式の出題がありませんでしたが、過去にも2020年度に総合問題の形が無くなったものの2021年度には出題された、といった具合に年度によって形式が細かく変化している例があることから、2023年度の出題形式も2022年度とはまた変わってくることも想定しておいた方がよいでしょう。そのため、総合問題が復活する可能性に備えて、全ての分野について知識を確認・理解し、弱点を残さないようにしておくことが望ましいです。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 7.5割
他教科を得点源にしたい受験生… 6割

まとめ

というわけで、今回は埼玉医科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。