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英作文でも使える?「皇位継承問題」

英作文でも使える?「皇位継承問題」

 皆さん、こんにちは、こんばんは。本日は円町校の江島がお送りさせていただきます。

 本日の「英作文でも使える?」ネタは、 “皇位継承問題” について。現在の上皇である明仁さまが天皇であらせられた頃から議論の的となっているテーマであるため、ホットな話題というわけではないのですが、「憲法改正問題」に対する議論も熱を帯びているなか、再び脚光を浴びる可能性もあります。この機会に今一度、皇位継承問題に対して整理をしてみようかなと思います。

皇位継承の現状

 現在、天皇の地位に就かれている(今上天皇といいます)のは、先代の明仁様のご子息である徳仁さまです。第126代天皇としてご活躍されています(言葉遣いあってるのかな?皇族についてお話をさせていただくときは本当に気を遣います)。ご子息かつ長男、いわゆる「皇太子」でいらっしゃった方なので、皇位を継がれたのは当然ですね。実は、皇位継承順位というものがありまして、新たな天皇が即位されたときに「次期天皇は誰になるのか」ということで、そこに優先順位をつけるのだそうです。

 現在、皇位継承第1位でいらっしゃるのは、今上天皇の弟にあたる秋篠宮さま、第2位は、秋篠宮ご夫妻の長男である悠仁さまとなっています(ちなみに第3位は、今上上皇さまの弟の常陸宮さまです。83歳のご高齢なのであくまで形式上第3位でいらっしゃるそうです)。ご存じの通り、今上天皇には敬宮(としのみや)愛子内親王殿下というご息女がいらっしゃいますが、皇位継承順位には入っていません。理由は女性だからです。これが皇位継承問題の根底にある部分ですね。

趣旨

 日本には、皇室に関する事項を定めた日本の法律である「皇室典範」というものがあります。日本国憲法に基づき制定されたものです。戦前の明治憲法下においても、皇室典範は存在したのですが、法律として定められたものではなく、国民が目にすることも叶わないものでした。憲法に基づいた「法律」なので、国会で可決されれば内容を変更することだってできるんですよ。これは意外にビックリですね。事実、2017年に改正され、「天皇の生前退位を認める」という旨を特例法として追加しています(本則を書き換えたわけではないので、特例法と呼ぶみたいです)。

 皇室典範の第1条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」とあり、男子のみに継承権があると明記されています。このたった1フレーズのために、愛子さまには皇位継承権がないのです。

 なぜここまでして、男系男子にこだわっているのか。これは、日本が「象徴天皇制」を採用していることに起因します。今日に至るまでの日本のすべての天皇陛下は、遡ること神武天皇の血筋を引いています(神武天皇とは、日本の初代天皇とされ、即位年は紀元前660年とされています。諸説ありますよ)。およそ2600年、その血統を絶やすことなく現代まで送り届けたという点が、世界的にも評価されており、日本としては何としてもこの系譜を守り抜きたいわけですね。「天皇陛下のお父さんをたどっていけば必ず行きつく先が、神武天皇なんだ」としておけば、日本のシンボルの偉大さをアピールしやすいですからね。もし女性天皇が即位することになれば、その旦那様はきっと「皇族ではない」人になるはず。そうなれば、いずれこの道しるべが途絶えるかもしれず、日本の誇りに傷がついてしまう恐れがある。そう考えているようです。

男系男子にこだわるメリット

  • 日本の威信を維持できる

 個人のレベルで考えると「そんなに大事かな」と思うかもしれませんが、国家レベルともなると、周りの国から一目置かれるのって大事なんです。このプライドを保持することで、国同士の関係が良好になることだってあり得ます。

  • 日本の皇位継承に関する伝統の重さ

 日本の象徴である天皇陛下の継承に関しては、慎重でなければならず、そこに伝統の重さを感じ守り抜いていかなければなりません。現代の価値観には見合わないという声もありますが、だからといって流行りに流されてはいけないものもあると考えている人もいるようです。一貫性がある行動って受験生にとっても非常に大事ですもんね。

男系男子にこだわるデメリット

  • 現代の価値観にそぐわない

 現代の価値観からすれば、「男女平等」というキーワードに真正面からぶつかりそうな感じですね。世論も、女性天皇に賛成という声が、7割以上あるようで、仮に憲法改正が実現すれば、この声はさらに強さを増すと考えられます。僕も正直なところ、女性天皇を見てみたいです。

※「男女平等」に関しては、皇族は「日本国民ではない」ので、憲法の定める「法の下の平等」という観点では、これを保障する根拠は実のところないんですけど、世界基準的に女子差別としてとらえられた場合、まずいですね。

  • 皇位継承に限界が生じるかも

 このままいけば、いつかは悠仁さま(皇位継承第2位の方)が天皇陛下となるわけですが、現行制度の下では悠仁親王さま以降は、皇族がいらっしゃらないことになってしまいます。皇太子もいらっしゃらない。これが日本の抱える「皇位継承の限界」とされています。「男系男子のみ」というルールを貫いた結果、次期天皇候補がいないとなれば本末転倒ですね。

最後に

なんとなくお気づきだとは思いますが、僕自身は「女性天皇の誕生」には大賛成です。その方が、世界に向けて革新的な日本をアピールできるので、長期的に見てもプラスなのではないかと考えていますが、皆さんはどうですか?

 本日はここまでにしておきます。以上です。お疲れさまでした。

  

投稿者:江島 祥人

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    7年
  • 出身大学
    大阪市立大学経済学部
  • 特技・資格
    特に目立ったものはないです
  • 趣味
    音楽鑑賞
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    武器としての決断思考

受験生への一言
初めて出会う事柄に対して、出来る限り「考えて」みてください。自分の価値観と照らし合わせてみて、ああだこうだと「腑に落ちる」まで考えてはじめてそれが知識となり、皆さんの力となります。