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英作文でも使える?「憲法改正問題」

英作文でも使える?「憲法改正問題」

 皆さん、こんにちは。本日は円町校の江島がお送りさせていただきます。

 本日の「英作文でも使える?」ネタは、 “憲法改正問題” について。先日7月10日に参議院選挙が行われました(参議院は任期6年で、3年に1度、議員の半数を改選します)。安倍晋三元首相の訃報を受け、自民党がどこまで議席数を伸ばすのか注目された選挙ですが、125議席が争われたうち、自民党は63議席を獲得し、公明党の13議席と合わせると、与党(現在は自民党+公明党の連立政権)は76議席と圧勝と呼べる結果となりました。さらに、日本維新の会、国民民主党も含めた4党の議席数は93議席と、全体のうち「3分の2」以上の議席数を確保しました。

 なぜ、この4党の議席数にこだわっているのか?それは、この4党が「憲法改正」に前向きな党だからです。また、「3分の2」という数字もとっても大切なので、頭の片隅において先を読み進めてください。

憲法改正問題について

 文字通り、「憲法を改正するか否か」という問題なのですが、まず前提として皆様に押さえておいていただきたい知識としては、「憲法改正の条件」が挙げられるでしょう。日本国憲法第96条にはこのように規定されています。

 「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会がこれを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。」

 かなり重い条件が課されているのだなと思っていただければ大丈夫です。まあ国の最高法規たる日本国憲法の内容が、そう簡単に変えられてしまうのも、日本国の威信にかかわるので、この面に関しては納得かなという感じです。そして、先ほど申し上げた「3分の2」という数字は、この条文の内容ゆえに非常に大切になってくることがお分かりになると思います。憲法改正の主導権を握るために、各政党は、出来ることならこの「3分の2」以上を目指して議席数を確保したいわけです。逆に言えば、他の政党からすると、ある政党に「3分の2」以上の議席数を確保されるのを何としても防ぎたいということになります。

趣旨

 日本国憲法が公布されたのは1946年11月3日(だから現在でもこの日は「文化の日」として大切にされています)、そこから本日この日まで、一度も改正されずに国の最高法規として存在してきたのですが、「70年以上も前に作られたルールが、中身を一回も変えずにここまで来ているなんでどうなの?」という疑問は当然に湧いてくるものだと思います。現代になじまない部分が多くあるのではないか、いろんな所にほころびが生じるのではないか。こうして、与野党を含めて、憲法を総合的に見直す動きが活発化しています。

 意外に思われるかもしれませんが、実は憲法制定時から、改憲をめぐる動きはありました。日本国憲法は、マッカーサー元帥(当時のGHQ総司令官)の草案をもとに作られたものです。ということは「日本が自主的に作ったものとは言い難い」とは思いませんか。ですが、当時の改憲論の多くは、いわば「復古主義的」なもので、再軍備や天皇主権というワードがちらつく、みんなに受け入れられるようなものではなかったのです。その結果、ややグレーなことは解釈改憲(憲法改正の手続きを経ることなく、憲法の条項に対する解釈を変更することによって、憲法の意味や内容を変えること)という形で何とかその場を凌いできました。

 しかし現在では、改憲をタブー視せず、「増やすべきものは増やし改めるべきものは改めていこう」という考え方が主流になりつつあります。そもそも憲法第96条(先述)の内容すら変えたほうが良いのではないかという議論もあり、これからどのように憲法改正についての議論が展開されていくのか気になるところですね。

憲法改正のメリット

  • 時代に合った法作りができる

 憲法改正賛成論の主な視点となっているところです。21世紀に入り、時代の移り変わりは待ったなしに進んでいきます。大昔に作ったルールを現代に無理やり当てはめれば、必ず齟齬が生じます。

  • 自国を守る力を手に入れたい

 日本は現状、憲法第9条によって「戦争放棄」および「戦力の不保持」を謳っています。確かに戦争の傷跡がいまだ多く残る日本にとって、戦争は勧められたものではありませんが、いざとなったときに「自分で自分を守れない」国はちょっと辛いですよね。いつまでも誰かに守られてばかりの存在というのは、個人的にはイヤです。

憲法改正のデメリット

  • 世界に誇る「平和憲法」というステータスを捨て去ることになる

 やはり憲法第9条関連の事項に偏ってしまいますね。日本国憲法は、徹底した非戦・非武装主義と平和的生存権の承認を宣言している点で、世界に誇る画期的な平和憲法といえます。それが、 軍事力を持ち合わせ、一般的な諸外国と同じになれば、信頼性が失われることになるかもしれません。また、もし日本が憲法 9条を改正すれば、アメリカと他国との戦争に派遣を要請される可能性があり、再び戦争の恐怖を呼び起こすことになりかねません。この部分はどうあっても譲れません。

  • 日本の威信がゆらぐ

 例えば、憲法第96条が改正され、憲法改正がこれまでに比べ容易になされるようになれば、ルールを安易にコロコロと変えてしまうという懸念が生じ得ます。そんなことになれば、当の日本国民は指針を失うことになるかもしれないし、憲法の持つ国家のパワー抑制機能が崩壊するかもしれない、ひいては、諸外国から向けられる目が冷ややかになるかもしれません。体裁をとりわけ気にする日本にとって、耐えられない苦痛かもしれませんね。

最後に

 「これからの日本を変えたいひと」もいれば、「これまでの日本を守りたいひと」もいるので、急速に何か事態が変わることはなさそうですが、参議院において、改憲に前向きな党が多くの議席数を獲得した今、私個人としては、憲法改正へドンドン突き進んでいってほしいなと思っている次第です。

 本日は以上です。お疲れさまでした。

  

投稿者:江島 祥人

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    7年
  • 出身大学
    大阪市立大学経済学部
  • 特技・資格
    特に目立ったものはないです
  • 趣味
    音楽鑑賞
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    武器としての決断思考

受験生への一言
初めて出会う事柄に対して、出来る限り「考えて」みてください。自分の価値観と照らし合わせてみて、ああだこうだと「腑に落ちる」まで考えてはじめてそれが知識となり、皆さんの力となります。