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福岡大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

福岡大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

 

京都医塾数学科です。

このページでは「福岡大学医学部の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“福岡大学医学部”の受験を考えている方
・“福岡大学医学部の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 
形式: 記述式
*大問3題のうち、前半の2題が解答だけを答える空所補充形式。第3問が途中式も答える論述形式です。
制限時間:90分
配点: 100点(筆記試験の総得点は400点)

出題の傾向と特徴

形式に加え、2016年度以降の6年分についての傾向をまとめます。

【毎年恒例の出題単元】

数学Ⅲ範囲の微分法(接線や極値)・積分法(面積が多いが、体積が出題されることも)
論述形式になっている第3問が、微積分法の問題になっているのが大きな特徴です。数学Ⅲの微積分としてはそこまで難しくありませんが、立式のために、グラフを描く必要があることが多く、トータルでの計算量はそれなりに多くなります。微積分の計算を手早く正確にできるよう、普段から計算練習をしっかりとしておきましょう。

【頻出の出題単元】

恒例の単元を除くと、図形問題と整数問題、最大・最小に関する問題が頻出です。
図形問題は2021年がベクトル、2020年が複素数平面と、定番の2単元から出題されることもありますが、2021年の第2問の(ⅰ)の様に、最大・最小の問題と絡めて出題されることもあります。グラフや図を正確に描く練習をしておきましょう。

整数問題も、約数の個数や和、あるいは最大公約数・最小公倍数といった定番の出題だけでなく、2020年のように、m!をnで何回割れるかのような問題も出題されます。基本的な整数問題は、どれが出題されてもいいように対策をしておきましょう。

最大・最小の問題は置き換えなどの工夫ができることが多く、いきなり微分して増減表に持ち込むのではなく工夫を検討するようにしましょう。もちろん、置き換えた場合は、必ず置き換えた文字の変域を確認して下さい。

【制限時間に対する問題量】

大問3題に対して90分ですので、私立医学部としては時間にゆとりがある方です。とはいえ、積分を中心に計算量は多いため、計算力は求められます。また、第1問、第2問はマークシート形式ではないので、マークシートから答えを推測することはできませんし、解答だけを答える形式ですので部分点はありません。こちらの見直しにもしっかりと時間を割けるようにしましょう。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 小問集合】(難易度:易)

(ⅰ) 指数を含む連立方程式。底にも指数部分にも変数があるので、両辺対数をとることからはじめる問題。
(ⅱ) 2つの2次関数を用いた最大・最小の問題。慣れていないと「大きくない方」という表現に戸惑うかもしれません。しかし、基本的に2次関数の最大・最小の問題なので、グラフを描いてしまえば解答にたどり着くことは容易です。途中式の記述が必要な問題ではないので、増減表よりもグラフの方が素早く答えを導けます。
(ⅲ) 平面ベクトルの問題。基準のベクトルを用いて強引に計算しても答えは求められますが、図を描いて、辺の比と面積の比を上手く対比させるとそこまで計算量は多くなりません。この問題に限らずベクトルの問題で面積や体積の比が問われている時は、上手く図形の性質を利用すると計算量を減らすことができます。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…慣れていないと試行錯誤が必要かもしれないが、完答したい。

【第2問 小問集合】(難易度:やや易)

(ⅰ) 絶対値を含む不等式で表された領域を描き、曲線や直線を領域上で動かして考える問題です。慣れている受験生であれば、領域は定番の形なのでスムーズに描けると思います。慣れていない受験生の方は、丁寧に場合分けをして領域を描いて下さい。動かす方の式が放物線になるので、領域の尖ったところ(境界線の端の点)だけでなく、接するところも確認することを忘れないようにしましょう。

(ⅱ) 整数問題。(3)は教科書レベルの問題ですので、とくにひっかかるところはないかと思います。(4)を解く時に、「上の2条件に加えて」という言葉から、(3)の答えを利用してa、bの値を絞れるかがカギになります。絞れれば後は、条件の2つ目、3つ目を利用してcを見つけ、b>cの条件をチェックすれば答えにたどり着けます。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい
他教科を得点源にしたい受験生…時間をかけてでも丁寧に計算し、完答したい

【第3問 微積分法(数学Ⅲ)】(やや難)

(ⅰ) いわゆる「減衰曲線」の問題。最大値・最小値を問われているので微分して増減表を書きます。慣れている方は最初から減衰曲線のグラフのイメージができていると思いますが、慣れていない方もこの増減表を書くための計算をしているなかで、極大値、極小値がそれぞれ等比数列になること、しかもその公比がで1より小さい正の数であることに気付けるかがポイントになります。いきなり、一般項として表せなくても、はじめの数項を書き出していくなかで等比数列であることに気付ければ、最大値・最小値を求められます。

(ⅱ) は(ⅰ)以上にグラフのイメージが大切で、y=f(x)のグラフとx軸で囲まれた図形の面積が順番に等比数列になっていることに気付けるかがキーになってきます。これは、数学を得点源にしたい生徒の方は知っておくべき知識と言えるでしょう。1つ1つの面積は積分をして求めます。このとき、指数関数×三角関数型の積分になるので、部分積分を2回繰り返して同じ形がでてくることを利用して計算します。

ポイントは、上手く関数の形で式を作ってあげることです。後は部分積分を繰り返して面積を求めていきます。ただ、そこまで難しく考えずに、増減表をいつもより長めに書いて、面積の数列が初項がいくらで、公比がいくらの等比数列だから、求める面積の和は無限等比級数で、公比の絶対値が1より小さいから収束すると考えてもよいでしょう。(この場合は時間との勝負になります)

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(ⅰ)を取りきった上で、(ⅱ)でどこまで戦えるか。
他教科を得点源にしたい受験生…時間をかけて書きだして、(ⅰ)を答えたい。

まとめ

小問集合は、経験が足りないと考え方で戸惑ったり、計算量が多くなってしまったりしますが、どれも取り切りたい問題です。他教科を得点源にしたい受験生は、ここに多くの時間を割いてでもしっかりととりきるようにしましょう。減衰曲線の問題は受験問題としてはそれなりによく見るパターンの一つです(2015年熊本大学理系など)。数学を得点源にしたい受験生の方は、グラフのイメージ、途中の計算の流れなどしっかりと復習しておきましょう。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:山本 靖

  • 役職
    数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    17年
  • 出身大学
    京都大学法学部
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書、散策
  • 出身地
    山口県
  • お勧めの本
    「銃・病原菌・鉄」 中野好夫さんのエッセイ

受験生への一言
受験全体でもそうですし、数学の問題を解くときもそうですが、冷静に状況を判断することと、いざやると決めたら目標に向かって突っ走る気持ちとのバランスや切り替えが大切です。