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東海大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

東海大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

 

京都医塾数学科です。

このページでは「東海大学医学部の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“東海大学医学部”の受験を考えている方
・“東海大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】

形式:穴埋め式
制限時間:70分
配点:100点
2日間の日程で、どちらを受験してもよい(両方受験も可能)という形態をとっています。
両日ともに受験した場合は、偏差値換算で高い方が採用されます。

出題の傾向と特徴(5年分)

2017年度以降の5年分についての傾向をまとめます。

【問題の出題範囲】

2022年度までは、数学ⅠA、ⅡB(数列・ベクトル)、Ⅲの単元から、幅広く出題されてきました。2022年5月現在、大学ホームページの「受験・入学案内ページ」に掲載されている医学部医学科・一般選抜の入試情報によると、第一次選考では数学はⅠAⅡB(数列・ベクトル)のみとなり、数学Ⅲは出題範囲から削除される見込みです。

【頻出の出題単元】

場合の数・確率の単元は頻出です。
過去には、数列や複素数など、他単元との融合問題も出題されており、全体的に難易度は高めです。頻出の解法を身につけるのはもちろんのこと、自分で表や図を書いて調べ上げる練習が必要です。他大学の過去問なども利用して、確率の融合問題に慣れておきましょう。

【問題量と難易度】

70分間で大問3題、計算量は多いですが、医学部として考えると、時間的にはそこまで厳しい試験ではありません。
問題自体の難易度は、全体的に標準~やや難レベルです。特に大問1の小問集合は、例年基礎~標準レベルの問題がほとんどですから、1つの間違いで他の受験生との差が付いてしまう可能性があります。解ける問題を、ミスなく確実に取り切りましょう。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここからはさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
*以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 小問集合】(1日目:やや易 2日目:標準)

第1問は小問集合で、複数の単元から満遍なく出題されます。基礎~標準レベルの問題がほとんどですが、それだけに基本事項の理解度が試されるところでもあります。1日目よりも2日目の方が、計算量は多くなっています。

(1日目)
(1) 自然数と無理数の性質を用いた、方程式の解の絞り込み
(2) 2つの自然数の最大公約数(ユークリッドの互除法)
(3) 三角形の辺の内分点・外分点(メネラウスの定理)
(4) 示された2つの領域について、一方がもう一方の部分集合になるための条件を考える問題
(5) 無限等比級数の計算

特に、(4) 領域に必要条件、十分条件を絡めた問題などは、苦手な生徒は多いでしょう。\(p \Rightarrow q\) のとき、\(p\) の示す領域が \(q\) の示す領域に完全に収まる(もしくは一致する)ことを確認しておきましょう。

(2日目)
(1) 3直線によって作られた三角形に内接する円の座標を求める問題
(2) 2つの自然数の最大公約数(素因数の個数の数え上げ)
(3) 複素数平面上の点の回転
(4) 極限(導関数の定義式の利用)
(5) ベクトルと線分の比
(6) 置換積分の計算

出題単元、問題で扱われている数式から見て、1日目よりも明らかに計算の難易度は上がっています。(1) は、いくつものルートが考えられる問題ですが、最短で解ける解法を選択しましょう。(2)(4)は計算量が多く、時間内にどれだけ正確に解けるかが問われる問題です。

2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生
2日間とも、完答したい。

他教科を得点源にしたい受験生
1日目:(4)以外は解きたい。
2日目:(2)(4)以外は解きたい。

【第2問 複素数平面(1日目・標準)、関数と空間図形(2日目・やや難)】

(1日目)
小問3題の構成で、いずれも複素数 \(\alpha\) について、\(|p+\alpha q|=1\) と、与えられた各条件を満たす \(p,q\) を求める問題です。いずれの問題も、それ単体であれば解ける受験生も多いと考えられます。計算量が多いため、作図も利用して、効率的に解き進めたい問題です。

(2日目)
(1) 与えられた関数の最大・最小を求める問題です。ミスなく確実に得点しましょう。
(2) 座標空間上の四面体の切断に関する問題です。元となる四面体が、\(x,y,z\)軸上の点および原点を頂点とする、分かりやすい図形です。正確に作図を行い、解き進めていきましょう。

2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生
1日目:(1)(2)+(3)のクケは正解したい。
2日目:(1)(2)(ⅰ)(ⅱ)は正解したい。

他教科を得点源にしたい受験生
1日目:(1)(2)は正解したい。
2日目:(1)(2)(ⅰ)は正解したい。

【第3問 微分積分、極限(1日目・やや難)、漸化式(2日目・標準)】

(1日目)
区分求積と関数の最大最小に関する問題です。
(1)(2) 区分求積を用いて計算する問題です。誘導で式変形が与えられていますので、区分求積であることには気づけるはずです。
(3) (ⅰ)(ⅱ) は、与えられた関数の、特定の区間における最大値・最小値を求める問題です。ここは(1)(2)が解けていなくても解けます。関数の単調性を考えるだけでよいので、素早く解答しましょう。(ⅲ)は、誘導は与えられているものの、はさみうちの原理を用いて極限を求める、というところにまで行きつくのは困難であると思われます。解ける問題を確実に解きましょう。

(2日目)
関数+漸化式の問題です。誘導が丁寧に与えられているので、それに従って解答していきましょう。
(1) 少し複雑ですが、数列の第2,3項を求めるだけの問題です。計算ミスなく、かつ素早く解きましょう。
(2) 与えられた条件式から漸化式を作る問題です。穴埋めの答えだけを考えるのであれば、単純な代入でしかありません。計算がかなり複雑でミスをしやすくなっていますので、手順を整理しながら解き進めましょう。
(3) 隣接3項間漸化式の問題です。(2) で出した漸化式をもとに計算を行いましょう。解法自体は基本通りではありますが、やはり計算が複雑ですので、注意深く解きましょう。
(4) 極限計算ですが、(3) が解けていれば、そこまで苦労せずに解ける問題です。

2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生
1日目:(1)~(3)(ⅰ)(ⅱ) は正解したい。
2日目:完答したい(時間がない場合でも(3)までは正解したい)。

他教科を得点源にしたい受験生
1日目:(3)(ⅰ)(ⅱ)は正解したい。
2日目:(1)(2)は正解したい。

【総評】

全体的にみて、2日目の方が難易度は高いと考えられます。標準的な解法をそのまま用いて解く問題がほとんどですが、計算量が多いです。正確に、かつ速く解く練習を日頃から重ねておきましょう。また、数列や微分積分などの単元では、一見すると複雑な数式が初めに出てくることがあります。このような場合にも気後れすることなく、問題文をしっかりと読み、誘導に従って1点でも多く得点していくことが大事です。

まとめ

他の医学部と比べると、時間あたりの問題数は少ないですが、計算量が多いため、「じっくり考えて」解いていると時間切れになってしまいます。医学部受験のセオリーに漏れず、高い計算力は必須となりますので、日頃から計算量の多い問題をこなし、慣れておきましょう。
知識面においては、特別なものはほとんど必要なく、基本的な解法を取ることが多いです。標準レベルの問題を多くこなして、解法の定着を行いましょう。複数の解法が取れる場合には、どれを選択するのが最短で解けるか、といったことまで考えて演習することが大事です。
数学Ⅲが抜けることによる影響は未知数ですが、これまでにも頻出であった場合の数・確率や、数学Ⅱ微積分の単元における整式の扱い方などについては、しっかりと対策をしておくと良いでしょう。

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