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東京医科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

東京医科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

 

京都医塾数学科です。このページでは「東京医科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“東京医科大学”の受験を考えている方
・“東京医科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度 
形式:マーク式
※年度により各大問の解答形式が大きく異なります。

制限時間:60分
配点: 100/400点

出題の傾向と特徴(6年分)

【出題内容と問題の難易度】

「循環小数の考察」や「3次方程式の無理数解の有理化」、「極方程式を活用した曲線の図示」など、他の私立医学部では見られないような特殊な問題からの出題が見られます。また、オイラーの多面体定理や定積分と不等式の関係など、細部の知識まで習得しているかが問われる問題もよく出題されます。各年度の問題の難易度の差は大きく、典型的な問題から非常に難解な問題まで出題される可能性があります。なお、近年は平易な問題が多くなっています。

【頻出の出題単元】

ベクトルの問題がよく出題されます。ただし、極限や最大値・最小値の問題との融合問題として出題されることが多いです。2020年度までの5年間は微分積分を中心とした数学Ⅲの出題は毎年のようにありました。大問の後半部分は難解な問題も含まれることがありますが、典型的な設問が多く、得点源にしやすい傾向にあります。

【制限時間に対する問題量】

2020年度以前は数学を得点源にする受験生であっても制限時間内に到底解き切れない問題量で、数学が苦手な受験生は「いかに解きやすい問題を選んで解くか」が問われる内容でした。一方で2021年度はある程度計算量があるものの適切な問題量です。しか今後、再び問題量が増加する可能性は十分にあります。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 小問集合】(標準)

(1)は二重根号に関する計算問題です。
(※問題文の不備があり、「正の整数」とすべきところを「正の正数」としていたため全員正解扱いとなっています。)

(2)は凸多面体の頂点、辺、面の数を計算する問題です。オイラーの多面体定理など、教科書の細部の知識まで習得しているかが問われる問題です。

(3)は多項式の割り算における余りに関する問題です。標準的かつ典型的な問題です。

(4)は整数を \(9\) で割った余りと \(11\) で割った余りから \(99\) で割った余りを求めるという典型的な問題です。不定方程式の問題に落とし込めるかがカギとなります。

(5)は絶対値を含む関数の微分係数を求める問題ですが、「出題者側が複数の罠を仕込んでいる」問題であり、正答にたどり着くには状況を整理しながら計算を進める必要があります。

2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生… (1),(3),(4)を正答したい。

【第2問 三角関数】(やや難)

三角関数の周期を考察する問題ですが、最初から最後まで集合の用語や記号を用いて設問が構成されています。また後半では「常に \( f(x)\leq A\) が成り立ち、かつ \(f(x)=A\) となる実数 \(x\) が少なくとも一つ存在する」ことを「 \(f(x)\) の最大値が \(A\) である」ことの必要十分条件として問題に取り組むなど、普段から「最小値を求める問題で相加平均、相乗平均の大小関係を利用する際に等号が成立する条件を確認する理由は何か」といったように細部まで注意を向けられているかが問われます。ただし、マーク式のため、問題を100%理解していなくても流れに乗って解答を埋めていくことも可能です。

2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生…(アイ)、(ウエ)、(ク)を正答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…(アイ)および(ウエ)を正答したい。

【第3問 ベクトル】(標準)

全体を通して、特別な解法を必要としない問題です。そのため、完答することはもちろん、素早く解き切ることが求められます。なお(3)の線分 \(\mathrm{OQ}\) の長さを求める問題は正射影を活用するという解法も考えられます。

2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生…10分以内に完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…完答したい。

【第4問 高次方程式】(やや難)

4次方程式の解と係数の関係を考察する問題です。ヒントが無い状態で2次方程式や3次方程式の場合の考え方を応用するか、 \(x\) の4次方程式の解と置換 \( \displaystyle t=x+\frac{1}{x} \) で得られる \(t\) の2次方程式の解の関係性を考察する必要があります。そのため、公式や定理の丸暗記では到底太刀打ちできません。


2021年度の目標値
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…(アイ)~(オカキ)を正答したい。

【総評】

2021年度の問題は東京医科大学の問題としては簡単なものが多いです。そのため、第1問や第3問といった解きやすい問題から優先的に解き進め、着実に得点を積み重ねる必要があります。また数学を得点源にする場合は、高得点を狙うために「より早く正確に」解くことを日頃から意識する必要があります。そのため普段の学習から、一つの解法だけを知って満足するのではなく、複数の解法から最善の解法を選ぶ姿勢が求められます。
 また、2021年度は数学Ⅲの出題はほとんどありませんでした。

まとめ

東京医科大学は、ここ数年で問題の難易度や問題量が大きく変化している大学の一つです。また、特殊な問題が出題されることが多々あり、対策は非常に難しいと言えます。ただ、まずは最低限の得点を確保するためにも、全ての単元の典型的な問題を解けるようにすることが必要不可欠です。そのうえで、問題の取捨選択や時間配分といった実戦的な訓練を積んでいくことが効果的な学習となるでしょう。

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投稿者:福居 宏大

  • 役職
    数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    7年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    数学
  • 趣味
    数学
  • 出身地
    数学
  • お勧めの本
    Rational homotopy theory (Graduate Texts in Mathematics) ※数学科に進学した人向けです。

受験生への一言
数学をしましょう。