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杏林大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【生物編】

杏林大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【生物編】

 

京都医塾生物科です。
このページでは「杏林大学医学部の生物」についての過去問を分析します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“杏林大学医学部”の受験を考えている方
・“杏林大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 

形式:マークシート式
時間:理科2科目100分
大問数:4
配点:理科2科目150点

出題の傾向と特徴(6年分)

2016年度以降の6年分について、分野別の傾向をまとめます。

以下に示す【1.~5.】のミクロ分野は、医学部に進学すればさらに詳しく学ぶ分野でもありますので、「入学後の勉強が少し楽になるから、今のうちに頑張っておく」くらいの意気込みで、やや難しめの問題集で問題をたくさん解いておくことをお勧めします。

【1 細胞と分子】

 頻出分野であり、生物のミクロ分野を理解するために最も基本となる分野です。他の分野の問題の中で小問として扱われることも多いため、他分野と関連付けて理解しておきましょう。

【2 代謝】

 頻出分野であり、計算問題もよく出題されます。基本的な代謝経路は白紙に何も見ずに書けるくらい習熟しておき、また、その反応が起こることが「その生物にとってどのような意味を持つのか」を理解しておきましょう。ここで「意味を持つ」とは、その生物の生存率を上げる(少なくとも下げない)、ということです。知識を羅列的に丸暗記するのではなく、「その生物が生きていくために、どのように役立っているのか」という観点から知識を整理すると良いでしょう。

【3 遺伝情報の発現】

 頻出分野であり、難度もやや高いです。セントラルドグマや選択的遺伝子発現の理解は生物のミクロ分野の全領域の理解を深めてくれますので、他分野との関連を意識しながら勉強すると良いでしょう。教科書レベルを超えた、やや難しめの問題集で問題をたくさん解いておきましょう。

【4 生殖・発生・遺伝】

 頻出分野であり、少しややこしいメンデル遺伝も出題されています。メンデル遺伝では、まず「染色体上に遺伝子が存在する」という基本的なイメージを押さえましょう。そして、連鎖や伴性遺伝などの問題を素早く解くためには表記法を工夫する必要がありますので、やや難しめの問題をたくさん解いて「上手い表記法」をマスターしておきましょう。
 発生に関しては近年、研究レベルでの発展がすさまじく、入試問題にも反映される話題が多くあります。教科書レベルの知識はもちろん、遺伝子レベル、分子レベルでの理解が伴っていると得点力が上がりますので、やや難しめの問題をたくさん解いておくと良いでしょう。

【5 生物の生活と環境】

 頻出分野であり、かつ、グラフ読解・計算・実験考察も多く出題されます。酸素解離曲線や尿生成などのグラフ読解や計算問題は必須です。
免疫に関しては、他の私立医学部のように教科書レベルを大きく超えた知識は要求されていませんが、実験結果を示すグラフや数表から「何が起こっているか」を考察させる問題が出題されていますので、教科書レベルの知識を押さえつつ、免疫に関する実験考察問題に習熟しておくと良いでしょう。

【6 生態と環境】

 教科書レベルの出題がほとんどですが、簡単なグラフ読解や計算問題も出題されているので、標準的な問題集で一通りの典型問題は解けるようにしておきましょう。特に、勉強を後回しにしてしまいがちな「バイオームの樹種名」や「物質生産の計算問題」で失点しないように、抜かりなく対策をしておきましょう。

【7 生物の進化と系統】

 この分野の出題頻度は低いですが、生物が進化してきた時期と順番や、動物門の名称なども出題されていますので、教科書レベルの知識でライバルに差を付けられないようにしておきましょう。また、分子進化に関する問題は出題頻度が高いので、解けるようにしておきましょう。ハーディー・ワインベルグの法則は他の私立医学部では頻出であり、もし杏林で出題された場合には解けるライバルが多いと考えられますので、これも抜かりなく対策しておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

 理科2科目100分なので、総合問題の小問で熟考している余裕はありません。基礎的な典型問題は即答できるように、標準的な問題集を繰り返し解き、解答速度を上げておきましょう。
 また、短い制限時間内に一問でも多く目を通し、解ける問題で確実に得点するためには、正答を出せない問題で時間を空費するより、「飛ばす(後回しにする)」判断力も必要になってきます。入試レベルの問題をたくさん解いておけばこの判断力は身に付いてきますので、秋以降、早めの時点から「時間を計って過去問を解く」練習をしておくと良いでしょう。

【まとめ】

 2018年度以降、3~4つある大問のうち一部または全部が小問集合となっており、生物基礎と生物の全範囲からバランスよく出題されています。
ただし、動物行動、生態、進化、分類などの「マクロ分野」から出題されている問題に関しては、教科書レベルの知識と考え方を身に付け、基礎的な典型問題を標準的な問題集で解いておけば合格点は取れるでしょう。
 それに対して、大学の医学に直結する分野、つまり代謝や細胞、遺伝子発現やメンデル遺伝、人体に関する「ミクロ分野」は頻出かつ難易度も比較的高いので、難しめの問題まで解けるように習熟しておきましょう。
 問題形式としては、教科書レベルの知識で答えられる問題の他、グラフ読解や計算問題が比較的多いので、グラフ読解や計算問題から逃げていては、生物で合格点を取ることは難しいと思われます。苦手な人は徹底的に練習して解答力を上げておくべきでしょう。代謝やDNAに関する計算は、特によく出題されています。
 また、全問マークシート式なので、正解となる選択肢について自信が持てなくても、その他の選択肢について自信をもって不正解であると判断できれば、消去法によって正解を選ぶことができます。マーク式ならではの解法テクニックに習熟しておくことも、杏林大学合格のために役立つでしょう。

■まとめ

いかがだったでしょうか?今回の記事が少しでも皆さんの参考になれば幸いです!

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投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。