ホーム » 京都医塾公式ブログ » 医学部入試問題分析 » 帝京大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

京都医塾公式ブログ

帝京大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

帝京大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

 

京都医塾化学科です。
このページでは、2017~2021年度までの帝京大学の化学前期試験の入試問題について分析します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“帝京大学”の受験を考えている方
・“帝京大学の化学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より)
形式:記述
時間:理科2科目で120分
大問数:4題
配点:100点
(3日間の自由選択式ですが、この記事では赤本に掲載されている2日分の問題分析を行います。)

出題の傾向と特徴(5年分)

【全体の傾向】

出題形式は大問が4題で、理論1~2問、有機1~2問、無機0~1問のバランスで出題されています。①典型的な解法の計算問題、②細かい知識を問う選択式の小問、③発展的な内容についての長い文章題、が最近の傾向です。計算問題と選択問題のいずれも1題ごとの難易度は標準レベルですが、有効数字や解答の仕方などの指示が細かく、慎重に解答する必要がある上、分量が多いため、時間内に全問を解き切るのは難しいと考えられます。小問数が多いため、典型問題の解法と基礎知識は即座に引き出して使えるレベルまで仕上げた上で、発展的な内容の問題に対して、与えられた条件や式を読み解いてどれだけアプローチできるかがカギとなります。
以下、出題形式が現在と同じ形式になった2017年度~2021年度の5年分について、分野別の傾向をまとめます。

【①理論化学】

毎年、大問1~2問の分量が出題されています。
出題テーマは
・「物質量・原子量の定義と計算、電子軌道・輝線スペクトル・リュードベリの式(2021-①)」
・「空気亜鉛電池(2021-②)」
・「標準溶液の調製・逆滴定・pH計算、ケイ素の結晶格子(2020-①)」
・「気体と固体の溶解度(2020-②)」
・「電池(金属のイオン化傾向の理論的考察・標準電極電位・ネルンストの式・細胞膜の平衡電位)(2019-①)」
・「結晶の性質と単位格子、電子配置と分子の形状(VSEPR理論)・半減期」
・「酸化還元滴定(COD)、アルミニウムの結晶格子、浸透圧(2018-①)」
・「電気陰性度と化合物の結合性(ポーリングの定義とマリケンの定義、ケテラーの三角形)、アルミニウムの結晶格子、浸透圧(2018-②)」
・「塩化ナトリウム(化学結合・沸点上昇・溶解度・結晶格子)、(2017-①)」
・「同位体(半減期・化学平衡)(2017-②)」
です。

(講評)

幅広く様々な分野の問題が出題されるため、理論化学の典型問題の解法はどの分野が出題されても、すぐに立式・計算が行えるレベルまで仕上げておくべきです。基礎の理解があいまいだと解答時間が足りず、正誤問題にも太刀打ちできません。また、下線を引いて示したように、近年は発展的内容を題材にした出題が増えています。基礎概念の理解を徹底した上で、問題文で示されている情報を読み取って応用するための論理的な思考力が求められます。

【②有機化学】

毎年、大問1~2問程度が出題されています。
出題テーマは、
・「C4H10Oの構造決定(2021-①)」
・「フィッシャー投影式・DL表記法・メソ体(2021-②)」
・「ベンゼンの置換体と配向性、ゴム(2020-①)」
・「RS表記法、DNA・RNA・ADP・ATP(2020-②)」
・「異性体、合成樹脂(2019-①)」
・「6員環炭化水素の構造決定、高分子化合物(2019-②)」
・「芳香族化合物の性質、糖類・ポリエチレンテレフタラート(2018-①)」
・「有機化合物の性質、合成樹脂・陽イオン交換樹脂(2018-②)」
・「有機化合物の構造決定・ベンゼンの誘導体、アミノ酸の電離平衡と緩衝作用(2017-①)」
・「有機化合物の性質と計算・芳香族化合物の構造決定、高分子(2017-②)」
です。

(講評)

高分子の出題が多いのが特徴です。しっかり対策を取りましょう。また、異性体については発展的な内容も含めて、深く理解しておいた方が良いでしょう。知識問題・構造決定・芳香族化合物の分離などは、いずれも標準レベルなので、典型問題は時間をかけずに解けるように練習しておきましょう。

【③無機化学】

毎年、大問0~1題程度出題されています。
出題テーマは
・「出題なし(2021-①)」
・「ハロゲンの性質と塩素の実験室的製法(2021-②)」
・「ケイ素の化合物(2020-①)」
・「沈殿の性質(2020-②)」
・「陰イオンの同定(2019-①)」
・「出題なし(2019-②)」
・「アルミニウムの製法(2018-①)」
・「鉄(2018-②)」
・「マグネシウム・金属イオンの反応・ハロゲン化合物・合金(2017-①)」
・「元素の性質(2017-①)」
です。

(講評)

物質の性質・製法や金属イオンや陰イオンの同定など、基礎的な内容を問う典型問題です。基礎~標準レベルなので、背景にある理論化学の概念とともに理解を深めておけば得点源になるでしょう。

【制限時間に対する問題量】

問題の指示が細かく、問題の分量も多いため、時間は足りないと思います。典型問題の解答スピードを上げておくとともに、確実に解き切るべき問題とそうでない問題の見極めが大切です。

【まとめ】

問題数が多いため、典型問題の解法と基礎知識は即座に引き出して使えるレベルになるまで何度も練習したあと、大量の問題を短時間に処理する経験を積んでおきましょう。高得点をめざすためには、日頃から読解力と論理的思考力を鍛え、発展的な内容の問題に対しても臆せずに対処できるように準備しておく必要があります。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:安達 康明

  • 役職
    化学科統括/化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    8年
  • 出身大学
    京都大学工学部
  • 特技・資格
    バレーボール
  • 趣味
    ゲーム、アニメ鑑賞
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    ビーカーくんとそのなかまたちシリーズ

受験生への一言
なぜその思考が必要なのか、なぜこの解法なのかをキチンと理解できれば点数は必ずついてきます。その手助けをしていくことを最優先で考え、授業を進めています。合格のために出来るサポートは全力でやります。