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2022年度大阪医科薬科大学医学部の英語過去問対策・分析

2022年度大阪医科薬科大学医学部の英語過去問対策・分析

 


京都医塾英語科です。

このページでは「大阪医科薬科大学の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“大阪医科薬科大学”の受験を考えている方
・“大阪医科薬科大学の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度(最新の問題より) 
形式: 記述
制限時間:80分
配点:一次試験…100点、二次試験…不明

出題の傾向と特徴

2018年度以降の5年分についての傾向をまとめます。

【毎年恒例の出題形式】

①長文中の和訳問題(2題)

②英作文(1題)

【制限時間に対する問題量】

長文はそれぞれ700前後であり、下線部がとりわけ長いわけでもないため、一見分量は多くなさそうに感じますが、一つひとつの問題の難易度は標準~やや難しいと感じられるものです。また、名詞構文や無生物主語などの文法を反映する必要があり、推敲に時間がとられることからも、英語を特に得意としている受験生を除けば、10分以上の時間的余裕が生まれることはないでしょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:標準) 

人類史と社会の長寿化、技術的進歩を関連させながら現代社気が抱える新たな問題に言及する抽象的なテーマの長文です。和訳問題3問と、説明問題1問の合計4問で構成されています。各和訳問題の狙いは明確です。共通するのは、名詞構文、無生物主語、同格関係、並列関係など、意識しておかないと見逃してしまいがちな文法が高い確率で出題されている点です。各和訳問題でも、関係代名詞の非制限用法の訳出(下線部1)、カンマの判別やnot butの関係性(説明問題2)、指示代名詞とそれに伴う無生物主語の処理(下線部4)などが問われています。ただし、説明問題は、カンマさえ判別できれば、下線部の直後から解答の該当箇所が続くため、得点は容易です。

和訳問題として、どの問題も下線部訳を解くうえで定番の知識を問うものですから、典型問題の添削指導を受けて和訳テクニックを磨くことが有効です。これは現役生であれば、学校の教科書などでも磨くことができますので、目の前の文章にどんな文法が使用され、その結果どんな訳をする必要があるのか意識して取り組むことが肝要です。しかし、漠然と単語の意味だけ取ってしまう人(言い方を変えれば、文意を把握せずに辞書通りに訳をしようとする人)にとっては、得点しにくい英文です。例えば、下線部1では主文動詞がcreatedで目的語がa dropですが、これを「下落を生み出した」などと訳すことは典型的な失点につながります。Dropはそもそも動詞の要素を含むため、名詞構文を「適用することができ、結果、「下落へとつながった」などと訳すことができます。名詞構文は難しいと思われがちですが、品詞を意識するだけで訳を劇的に美しく変えてくれる便利な文法です。そういった文法を意識せず、「なんとなく訳してしまう」人と、品詞や文法に基づいた知識を「正確に運用できる」人とを識別し、後者がより得点できる良問になっています。藤田医科大学や福岡大学、昭和大学などを受験される方の練習問題としてもよく機能してくれるでしょう。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…82%以上
他教科を得点源にしたい受験生…73%

【第2問】(難易度:やや難)

「調査や研究が歴史的に蓄積されてきたことの意義」がテーマの長文です。大問1同様、狙いの明確な和訳問題のみ3題で構成されています。指示代名詞の内容を特定(下線部1、2)、分詞の形容詞用法の処理(下線部1)、分詞の省略(下線部1)、修飾関係の並列を紐解く(下線部1)、形式主語の訳出(下線部3)、―の用法の識別(下線部2)、カンマの有無にかかわらない挿入の処理(下線部3)などが問われています。

大問1と同様、いまいちつかみどころのない抽象的な話なので、解きにくいと感じる受験生も多いと思います。しかし、和訳問題ですから、細かいところまで注意を怠らないようにしましょう。具体的には、下線部1では分詞・関係詞の修飾が4か所出てくるため、日ごろ無根拠に訳順を決めている受験生はどこから訳していいのかわからないということになりかねません。特に、下線部2は修飾関係を読み解いても筆者が伝えたい内容が正確に把握できないと、直訳しても点数が入りにくい問題です。言語・文章とは書き手と読み手、受取り手の間のキャッチボールですから、常に読み進める中で文意を整理する習慣をつけておく必要があります。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…74%以上
他教科を得点源にしたい受験生…68%

【第3問】(難易度:やや難)

「茶道文化の特性」について、和文英訳させる問題が3題あります。英作文を通じて標準的な英語の知識を運用する力を問う問題になっています。文章内容こそ難しいですが、和文の文構造は単純ですので、英文でも2文型や3文型のシンプルな構造で書くことができます。しかし、「精神的交流」や「瞑想」など要求される語彙レベルが相当高いため、語彙力ない受験生は手も足も出ないか、回りくどい表現を使用せざるを得ないでしょう。また、例年の通り、「空間」(下線部1)や「やりとり」(下線部2)、「思想」(下線部3)などと表記されているように、受験生が迷いがちな可算・不可算名詞の処理についても課しています。和文をそのまま書き上げることは難しいので、「一連の厳格な作法に則って」(下線部1)、「瞑想のために心を鍛錬する」(下線部3)などをうまく表現できるかが勝負の分かれ目でしょう。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…75%以上
他教科を得点源にしたい受験生…65%

【総評】

上記の目標点を足すと、英語を得点源にしたい受験生で77%以上、英語が苦手な受験生で68%という結果になりました。1次合格の最低点は全体の400点満点中255点(=63.75%)と公表されているので、英語68%だとすると、5%程度の貯金はできますが、数学と理科2科目のマイナスを補填するには心もとない状態となります。

全体的に見ると、どれも奇をてらうことのない良問ぞろいで、真面目に努力している受験生がそのままきちんと評価されやすい出題になっています。長文の出典は、インターネット上のジャーナリスティックな記事や、ベストセラーとなった一般書籍からも出題されており、リアルタイムで書かれている英語にもある程度慣れておくとよいでしょう。

まとめ

というわけで、今回は大阪医科薬科大学の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:吉田 恒

  • 役職
    英語科統括/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    25年
  • 出身大学
    京都大学文学部
  • 特技・資格
    英検1級、TOEIC満点※3~4年前
  • 趣味
    読書・音楽を聴く・自転車(休眠中)など
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    貴志祐介か小川洋子の本を読んで下さい

受験生への一言
京都医塾には個性的で優秀な英語の先生が揃っています。英語が苦手な人、どうやっても英語の成績が上がらない人、英語の勉強法が分からない人、そんな皆さんに来て頂きたいです。