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大阪医科薬科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

大阪医科薬科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【数学編】

 

京都医塾数学科です。このページでは「大阪医科薬科大学の数学」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“大阪医科薬科大学”の受験を考えている方
・“大阪医科薬科大学の数学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 
形式:記述
制限時間:100分
配点:100点(筆記試験全体の配点は400点)
大阪医科薬科大学の数学は「100分・記述式」という形式が続いています。

出題の傾向と特徴(5年分)

直近5年分の出題の傾向と特徴をまとめます。

【頻出の出題単元】

直近5年では、毎年「確率」が出題されています。内容は基本的なものが多く、問題文を正確に読み取れれば完答できるようになっています。条件付き確率に関する出題も多いです。教科書レベルの問題を繰り返し練習し、基本的な考え方を身につけておきましょう。
また、数Ⅲの「微分法・積分法」からも毎年出題されています。
「微分法・積分法」は、グラフの概形から面積や回転体の体積を考える、オーソドックスな問題はあまり出題されません。「微分法」では、平面図形・空間図形の面積や体積に関する最大値・最小値を求める問題、「積分法」では、定積分と不等式や漸化式を絡めた問題が出題されています。図形の体積を求める問題は立体の切り口を考えるなど、図形的なセンスが必要となることが多いです。また、図形を考える際に三角比を利用することが多いので、計算を素早く処理するために、三角関数の微分・積分はよく訓練しておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

大問5題に対して試験時間が100分であり、正確な記述・証明が必要とされるため、あまり時間に余裕はありません。それほど複雑な計算は要求されませんが、図形や式の対称性を利用するなどして、テキパキと問題をこなしていくことが大事になります。

【証明問題に関して】

整数や有理数・無理数、不等式などに関連する証明問題は毎年出題されています。各大問の後半部の証明問題は難度が高くなる傾向にありますが、前半部は、受験生ならば一度は経験したことのある証明問題が多いです。普段の学習から、整数に関する証明問題や図形の証明問題に数多く触れておきましょう。また、後半部の証明問題は、前半部の結果を用いて証明できるようになっていますので、誘導に乗れるように各大問の流れを意識しながら解きましょう。また、文字が多い証明問題では、対称性を利用することで記述量を減らすことができます。証明問題だけでなく求値問題でも、対称性を利用することで計算量を減らせますので、文字の対称性に注目するようにしましょう。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問 定積分と不等式の証明】(易)

(1) 不等式の証明の基本に則って解答できます。
(2) (1)の利用法が分かりやすい形になっているので、証明問題と言うよりは定積分の計算問題と言えるでしょう。部分積分を丁寧に計算する必要があります。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…完答したい。

【第2問 確率】(易)

(1) 赤札3枚・青札3枚から3枚取り出したとき、赤札の枚数が0,1,2,3枚になる確率を求める、基礎的な問題です。
(2)(3)(4) (1)で取り出した3枚を箱の中に入れ、そこから1枚取り出し色を確認して箱に戻すことを繰り返す試行に関する問題です。(1)で計算した確率に基づいて、場合分けを丁寧に行えば解ける問題です。(4)の条件付き確率では、試行をn回行ったときのことを考えるので、少し難しいかもしれません。条件付き確率の定義に従って、丁寧に計算する必要があります。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…完答したい。

【第3問 複素数に関する漸化式と有理数・無理数に関する証明】(標準)

(1) 複素数に関する漸化式についての特性方程式を解く問題です。
(2) (1)の漸化式を解くことによって複素数の一般項を求められるので、証明の方針は立てやすいでしょう。
(3) 背理法を用いることを思いつけば(2)の結果を利用して証明できます。有理数・無理数に関する証明は、有理数=無理数の形を作って矛盾を導くことが基本方針となります。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…完答したい。
他教科を得点源にしたい受験生…(2)までは解きたい。

【第4問 球に外接する直円錐の側面積の最小値】(標準)

(1) 直円錐の断面を考えることで、与えられた角θを用いて直円錐の側面積つまり扇形の面積を求められます。図形の知識・公式を用いて解くことができますが、必要に応じて断面図や展開図を考える必要があり、図形的な考察が重要になります。
(2) 半角公式を上手く運用することができるかがポイントです。半角公式を用いて、(1)で求めた側面積を式変形できれば、あとは微分して増減を考える問題になります。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(1)は解きたい。
他教科を得点源にしたい受験生…できなくても良い。

【第5問 二項係数に関する証明】(標準)

(1) 単純な不定方程式を解く問題です。
(2) 二項係数を階乗表示し、式変形すれば証明は容易です。
(3) 二項係数が互いに素でないことを背理法で証明する問題です。背理法を用いることは問題に明記されているので、(1)(2)の結果をどう利用するかがポイントです。

≪2021年度の目標値≫
数学を得点源にしたい受験生…(2)まで。
他教科を得点源にしたい受験生…(2)まで。

【総評】

第1問・第2問は完答できるでしょう。第3問以降の各大問の後半部をどれだけ解けるかが差を分けます。証明問題が多く出題されているので、標準的な問題を解ききる力だけでなく、高い思考力と論証力が必要な試験になりました。

まとめ

まずは、解けるべき問題を確実に解くことが重要です。その上で、計算を素早く処理し、的確な記述・証明をできるようになりましょう。証明問題では高い論証能力が必要となりますので、普段の学習から正確な考察ができるように心がけましょう。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:杉多 孝文

  • 役職
    数学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    5年
  • 出身大学
    京都大学医学部
  • 特技・資格
    柔道初段
  • 趣味
    スポーツ観戦、読書
  • 出身地
    兵庫県
  • お勧めの本
    神様のカルテ

受験生への一言
「分かるとできるは全然違う。できるようになるまでやる。」それが大事です。