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世界の「〇〇主義」 第1弾

世界の「〇〇主義」 第1弾

 皆さん、こんにちは。本日は円町校の江島がお送りさせていただきます。

 本日は、 “世界の「〇〇主義」” というタイトルでお送りしたいと思います。

 タイトルだけ見てもさすがにピンと来ないでしょうが、皆さんは「資本主義」や「共産主義」という言葉を聞いたことがありますよね。「そんなもの知っているよ」という声が聞こえてきそうですが、それではこれらの意味をちゃんと説明できますか。他にも社会、特に政治経済の分野を学習していると、「自由主義」や「全体主義」など様々な “〇〇主義” が登場します。今回はこれらを簡単に紹介したいと思います。

資本主義≠自由主義?

 たとえば「資本主義の国々は、資本をやりくりして自由競争をしていくので自由主義だ」と言われて皆さんはどう感じますか。一般的な感覚としてはこれで良いのかもしれませんが、ここから「資本主義=自由主義」と考えてしまうのは乱暴なんです。なぜかというと “資本主義” と “自由主義” は似て非なるもので、前者は「経済形態」を指し、後者は「社会(政治)形態」を指すものだからです。特に資本主義を “政治を指す言葉” だと勘違いしている人が多い印象ですね。同様に「資本主義=民主主義」もやっぱりダメなんです。

 といった感じで誤解されていることが多い用語なので、これから整理していきます。この時点でもう拒否反応を示している人もたくさんいそうですが、頑張ってください。

「経済体制」を表す〇〇主義

  • 資本主義

 「自由」を合言葉とする経済体制(生産形態)を指すもので、ここにおける「自由」とは「市場での自由競争」を意味します。頑張る人はより良い結果が得られるし、頑張らない人は良い結果が得られない。そう、まるで “受験勉強” そのものですよね。あとは “恋愛” なんかも発想自体は資本主義なんですよね。少しでも良い結果を出したいから、頑張る。他人に負けたくないから努力するし、互いに切磋琢磨できる。その中で個人の幸福を実現していくという思想なんです。コンビニに行けばたくさんの種類のチョコレートが並んでいるのも、資本主義だから。各社がより高い品質を求めてしのぎを削っている証なんですね。しかしデメリットもあって、このシステムでは必ず「社会的格差」を生み出してしまう(チョコの売れ残りが生じてしまう)のです。結局、幸福を実現できるのは勝ち組だけというのが現実のところなんですね。

  • 社会主義

資本主義が「自由」を強調しているのに対し、こちらは「平等」を合言葉とする経済体制なんです。先ほど挙げたような資本主義のデメリットから、平等な社会を求めるようになった結果、生まれた思想だと思ってください。生産手段は「公有」つまり、私有財産は否定され、生産はすべて「計画経済」によってなされる。チョコレートの例を持ち出すとすれば、チョコレートの売れ残りや売り切れは絶対にない。ちゃんと皆に「平等に」分け与えられる。さらに、最大多数者である労働者を幸福にすることが平等の実現には不可欠なので、共産党(労働者の利益を最優先にする党)の一党支配である、そんな世の中を理想化しています。ちなみに社会主義思想を支持する層のことを「左翼」とか「左派」と表現することが多いですね。

 ロシア革命の末に誕生した、初の社会主義政権であるソ連が掲げているだけに、壮大な思想だなと思いますが、デメリットに気づきましたよね。そうです。この体制下では、「誰も頑張らない」んです。皆に等しくチョコレートが行き渡るのなら、その品質を向上させる意味がありませんね。質を上げようと頑張るのは、あくまで競争を勝ち抜くための手段だということ。勉強してもしなくても、みんなが同じ大学に行けるのなら、そりゃ「頑張り損」って考える人も少なくないでしょう。結局、1991年のソ連崩壊をもって、東欧諸国で社会主義を掲げる国はなくなりました。

※ちなみにアジアには中国やベトナムという社会主義国がありますが、「頭の中は社会主義、でも経済は資本主義」という合わせ技を駆使して凄まじい発展を遂げています。

  • 共産主義

 一言でいうと、「社会主義の最終理想形」というイメージで大丈夫です。社会主義が浸透していき、より発展していけば、最終的には階級もいらないし、規律を正す政府も国家もいらない「完全平等」な社会が形成される。そんな理想状態を「共産主義」としました。現代においてはその差はほとんど意味をなさず、「社会主義=共産主義」と認識していても問題はないのですが、本来は違うものなのです。

最後に

 この道のプロフェッショナルの方からすると、「違うんだよな…」と思われるかもしれませんが、大まかに理解していただく分には十分だと思います。「資本主義=アメリカ」であったり「社会主義=ソ連」というように国と結びつけて語られることが多いため、本日紹介させていただいたものが “経済体制を指すもの” なんだって認識しにくいのだろうなあと思います。次回は “社会・政治体制” を表す〇〇主義について整理したいと思います。

 本日はここまでにしておきます。以上です。お疲れさまでした。

  

投稿者:江島 祥人

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    7年
  • 出身大学
    大阪市立大学経済学部
  • 特技・資格
    特に目立ったものはないです
  • 趣味
    音楽鑑賞
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    武器としての決断思考

受験生への一言
初めて出会う事柄に対して、出来る限り「考えて」みてください。自分の価値観と照らし合わせてみて、ああだこうだと「腑に落ちる」まで考えてはじめてそれが知識となり、皆さんの力となります。