山梨大学医学部医学科は、一般選抜を後期日程のみで実施する、全国でも数少ない国立大学の医学部です。
前期日程を行わず後期日程に特化している点が大きな特徴です。
2026年度入試の時点では、一般選抜を後期日程のみで行う国公立大学の医学部は山梨大学しかありません。
前期日程で別の大学を受験したうえで挑戦できるため、国公立大学医学部の受験機会を増やしたい再受験生にとって、貴重な選択肢となります。
ただし、前期日程で合格して入学手続を完了すると、システム上、後期日程の合否判定対象から外れます。
山梨大学の後期日程に挑戦できるのは、「前期で不合格だった場合」や「前期の合格校への入学手続を行わず、後期に賭ける場合」に限られる点に注意が必要です。
一方で、志願者が集中して第1段階選抜が行われるうえ、二次試験では理科だけで1,000点という独自の配点への対策が不可欠です。
本記事では、山梨大学の入試制度の詳細から、偏差値・倍率などの難易度データ、理科を中心とした科目別対策、学費や修学資金制度まで詳しく解説します。
再受験を検討する際の判断材料として、ぜひ参考にしてください。
目次
山梨大学医学科の特徴と再受験者に関わる入試制度
山梨大学医学部医学科は、山梨県中央市に医学部キャンパスを構える県内唯一の医学部です。
まずは再受験生が把握しておくべき入試制度の基本から整理します。
一般選抜が後期日程のみという大きな特徴
国公立大学の一般選抜は、前期日程と後期日程に分けて実施する分離分割方式が一般的です。
山梨大学医学部医学科はこのうち前期日程を導入せず、一般選抜を後期日程のみで実施しています。
後期日程を設置している国公立大学医学部は他にも存在しますが、前期を行わず後期一本で募集するスタイルは同大だけです。
さらに、試験が3月中旬の2日間にわたって行われ、合格発表もさらに1週間ほど先になる点に注意が必要です。
国公立入試の最終盤まで合否が決まらないため、結果を待つ期間も含めた年間スケジュールを立てなければなりません。
それでも「前期で別の国公立医学部を受け、後期で山梨大学を狙う」という併願が可能なため、実質2回の受験チャンスを確保できます。
この独自の日程設計こそが、再受験生から絶大な支持を集める理由です。
募集人員と年齢制限の有無
山梨大学医学部医学科の入学定員は105名で、内訳は一般選抜(後期日程)が90名、山梨県内の高校出身者を主な対象とする学校推薦型選抜II(地域枠)が15名以内です。
後期日程に90名もの枠を割り当てている点は、全国的にも極めて異例です。
一般選抜の出願資格は高等学校卒業(見込み)などの標準的な要件のみで、年齢や卒業年度に関する制限は記載されていません。
大学を卒業してからの再受験や、社会人経験を経てからの挑戦でも、出願段階で不利になることはありません。
なお、医学科では総合型選抜や学士編入学は実施されていません。
学校推薦型選抜IIも現役・1浪の県内高校出身者などに限られるため、多浪や社会人の再受験者が挑戦できるルートは実質的に一般選抜の後期日程一本です。
2027年度入試からは学校推薦型選抜IIに全国募集枠(10名以内・2浪まで)の新設が予告されていますが、3浪以上や社会人は引き続き対象外です。
出典:山梨大学 令和9年度入学者選抜の変更について(予告・PDF)
山梨大学の入試制度と再受験者の選択戦略

後期日程のみという日程は、出願戦略に直結します。配点バランスを確認し、対策の軸を定めましょう。
共通テストと二次の配点バランス
山梨大学医学部医学科の後期日程は、共通テスト1,000点、二次試験2,300点の合計3,300点満点で評価されます。
二次試験の配点比率は約70%と高く、共通テストで第1段階選抜を通過したあとは、二次試験での得点力が合否を大きく左右する構造です。
共通テストは6教科8科目で、理科は物理・化学・生物から2科目を選択します(基礎科目は選択不可)。
二次試験は数学600点・理科1,000点・英語600点の3教科に加え、面接100点が課されます。
最大の特徴は、二次試験の理科だけで1,000点という配点です。
2科目合計で数学や英語の各600点を大きく上回り、総得点3,300点のうち約3割を理科が占めます。
山梨大学の攻略にあたっては、「理科の出来栄えが合否を直結する」という意識を強く持つことが不可欠です。
| 区分 | 教科・科目 | 配点 |
| 共通テスト | 国語 | 200点 |
| 共通テスト | 地歴・公民(1科目) | 100点 |
| 共通テスト | 数学(2科目) | 200点 |
| 共通テスト | 理科(2科目) | 200点 |
| 共通テスト | 外国語(英語) | 200点 |
| 共通テスト | 情報I | 100点 |
| 二次試験 | 数学 | 600点 |
| 二次試験 | 理科(2科目) | 1,000点 |
| 二次試験 | 外国語(英語) | 600点 |
| 二次試験 | 面接 | 100点 |
| 合計 | — | 3,300点 |
偏差値・倍率から見る山梨大学医学科の難易度
合格可能性を客観的に測るために、最新の難易度データと、大学が公表している入試結果・第1段階選抜のデータを確認します。
二次偏差値と共通テストのボーダー
大手予備校の公表データによると、山梨大学医学部医学科(後期日程)の2027年度入試における難易度は、ボーダー偏差値67.5、共通テストのボーダー得点率85%(1,000点満点中850点)とされています。
国公立大学医学部の後期日程は前期日程より水準が上がる傾向があり、山梨大学も全国トップクラスの学力層が集まる入試です。
あわせて参考になるのが、大学が公表している第1段階選抜合格者の実際の得点です。
2026年度入試では、第1段階選抜合格者の共通テスト平均点は843.9点、最低点は803点でした。
前年度の最低点は828点で、通過ラインは年度によって変動します。
通過者の平均が84%台にあることをふまえると、ボーダーの85%前後まで得点を積み上げてはじめて合格圏での勝負になります。
倍率と「実質倍率」の捉え方
2026年度入試(後期日程)は、募集人員90名に対して志願者1,320名、志願倍率は14.7倍でした。
ただし、共通テストの成績などによる第1段階選抜で913名まで絞られ、前期日程合格者の抜けもあって、実際の受験者は234名でした。
合格者は90名に追加合格21名を加えた111名で、実質倍率は2.1倍です。
志願倍率と実質倍率の差がきわめて大きい点が、後期日程のみで実施される山梨大学の入試の特徴です。
14.7倍という数字だけを見て挑戦を避けるのは早計で、第1段階選抜を通過すれば、実際の競争は2〜3倍程度に落ち着きます。
一方で、第1段階選抜は志願者が募集人員の約10倍を超えた場合に実施され、直近2年はいずれも実施されています。
共通テストの得点が届かなければ二次試験に進めないため、まずは第1段階選抜の通過が最初の関門です。
山梨大学医学部の理科重視の配点に対応する科目別対策

二次試験で突出した配点を持つ理科の対策は、合格の成否を分ける最重要項目です。
二次の理科を中心とした対策方針
二次試験の理科は、物理・化学・生物から出願時に2科目を選択します。
再受験者はまず基礎事項の総点検から始めて、標準問題の解法を固めたうえで過去問演習に進む段階的な計画が有効です。
ここで注意すべきは2科目のバランスです。
配点の規模が大きいぶん、得意な1科目で稼いで苦手な1科目は最低限に抑えるという戦略が取りにくく、片方の失点が総得点に大きく響きます。
2科目とも合格水準まで引き上げる前提で、学習時間を配分してください。
理科に自信がある方には実力を反映しやすい配点であり、逆に理科にブランクがある方は、他の科目より優先して立て直す必要があります。
山梨大学医学部の学費と再受験後の生活設計
合格後の6年間を見据えた資金計画も、再受験を成功させるための重要な要素です。
6年間の学費と山梨での生活設計
山梨大学は国立大学のため、学費は全国共通の標準額です。
学費は国立大学の標準額で、入学料が282,000円、授業料が年額535,800円、6年間で約3,496,800円になります。
私立大学医学部の学費が6年間で2,000万円から4,000万円台に達することと比較すると、再受験で一定期間収入が途絶える場合でも、資金計画を立てやすい水準です。
経済面では、山梨県の医師修学資金制度も選択肢になります。
第二種は月額130,000円(6年間で936万円)の貸与を受けられ、一般選抜(後期日程)で入学した学生も対象です。
医師免許取得後に山梨県内の指定医療機関で一定期間勤務するなどの要件を満たすと、返還が免除されます。
貸与型の制度のため、勤務要件を満たさない場合は利息を付して返還する必要があり、将来のキャリアプランと照らして慎重に判断してください。
医学部キャンパスは甲府市に隣接する中央市にあり、最寄りの常永駅から徒歩約15分です。
周辺は生活費を抑えやすい環境です。
| 項目 | 金額 |
| 入学料 | 282,000円 |
| 授業料(年額) | 535,800円 |
| 6年間の学費総額(概算) | 約3,496,800円 |
※国立大学の標準額に基づく概算です。在学中に授業料が改定された場合は、改定後の額が適用されます。
出典:山梨大学 入学料・授業料
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遠方での2日間受験も宿泊から当日の動線までトータルサポート
山梨大学の後期日程は多くの受験生にとって遠征となり、試験も2日間に及ぶため宿泊が前提となります。
慣れない土地での滞在や移動による疲労・リズムの乱れは、本番でのパフォーマンス低下に直結します。
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当日だけ特別な動きにならないよう、普段どおりの状態で試験に向かえる仕組みがあるため、試験前の余計な消耗を減らして平常心で臨めます。
3月中旬まで続く長丁場になる後期受験でも、最後まで集中力を切らさずに挑み続けることができます。
年度途中でも合格から逆算して組み直せる
再受験は、退職や卒業のタイミングによって学習を始められる時期が人それぞれです。
年度の途中から挑戦する場合、残り期間で何を優先すべきか判断できず、焦って手を広げてしまうケースが少なくありません。
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今の地点から何を優先し、何を後回しにするかが明確になるため、限られた期間でも得点につながる学習を積み上げられます。
残り期間から逆算するこの計画づくりは、後期日程一本で挑む山梨大学の受験で特に重要になります。
まとめ

山梨大学医学科の再受験は、「後期日程のみ」という独自の入試枠を活用しつつ、共通テストの高得点と理科の完成度をどこまで高められるかが勝負の分かれ目となります。
年齢制限がなく社会人や他大学出身者にも広く開かれている一方、高い倍率と偏重配点を突破するための戦略的な準備が欠かせません。
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