医学部の受験にあたって一筋縄では行かないのが、小論文の試験です。
筆を執るのが得意な人にとっては得点源となりますが、そうでない人にとってはめっぽう苦手な分野になりがちでしょう。
そこで今回は、医学部の小論文試験に苦手意識を持っている人を対象に、医学部入試における小論文試験のポイントなどを徹底的に解説していきます。
なぜ医学部受験では小論文が課されるのか?
2020年度から導入された大学入学共通テストや各私立大学医学部が行う一般入試が、学力のみを受験生に問うのに対し、小論文試験は医学部における心構えや医師としての素質・適性を問うために実施されます。
例えば、昨今問題となっている医療ミスの増加や、医療界の不祥事など医療に携わっている人間のコンプライアンスを受験生がどのように受け止めているのかを、大学の医学部で確かめるために設問を設けています。
加えて、受験生が医師となるうえで患者と向き合える責任感や医師としての道徳的観念を、どの程度備えているかという点を試す観点でも課されます。
単純な一問一答形式の問題ではなく、「医療とは何か?」や「死生観について記せ」など抽象的な概念を評論することがあるのも、小論文試験ならではの特徴です。
小論文の5つの出題パターン
医学部の小論文は、大きく分けて5つの出題パターンに分けることができます。
どのようなものかひとつずつ見ていきましょう。
また、特殊な小論文を出題する大学についても紹介します。
1.課題文読解型
こちらのパターンでは、出題された課題文の要約や文章に対する意見論述が課されます。
課題文の読解を前提にしているため、課題文を読めていなければ求められている答案を作成できません。
例えば、最先端医療に関する資料を示された後に今後の現場医療の展望を求められたり、高齢化社会における医療問題や介護問題を論述する設問が出題されます。
2.テーマ型
テーマ型の設問では、基本的に資料から何かを読み取るのではなく「〇〇について述べなさい」といったように、シンプルな問いについて論述していくのが特徴です。
この設問では、単純な医療問題に関する設問のほか、自分の将来像や社会問題など色々な観点から論述を求められることが多々あります。
テーマ型の設問は問題がシンプルであることが難点で、該当するテーマの予備知識が無いと情報が少なすぎて論述できる幅が限られてしまいます。
日常的に時事ネタの解説本に触れるとともに、医療系のニュースをチェックするなど広範囲にアンテナを広げておく必要があるでしょう。
3.現代文型
現代文型の小論文試験は、一部の大学のみで課されるパターンです。
こちらのパターンでは主題に関する設問がなされ、それぞれに回答していく形式をとります。
小論文の試験というよりも、国語の現代文に近い形式なのが特徴です。
現代文型の小論文を課す大学を受験する際は、国語の学習とセットで小論文の対策を進めて行くと一石二鳥となるでしょう。
4.英文型
英文型の小論文試験では、英文の課題文から意見論述が求められます。
英文の読解力とともに英文作成能力が求められるのが特徴ですが、一般の学部と違い医療・科学雑誌などで使われる単語が用いられているため、それらを読み解く訓練をしていないと読解が追いつきません。
一見、非常に難しい出題パターンのように思えますが、テーマが類推できるとそれにともなって単語それぞれの意味も類推できますので、場数を踏んで解法を覚えていくとよいでしょう。
こちらの出題パターンは、群馬大学を始めとする国公立大学の後期日程の試験に多く見られます。
5.図表分析型
図表分析型は、その名のとおり図や表からデータを読み取り分析する出題型式です。
こちらのパターンでは、将来的な人口動向や高齢化率、感染症による重症・死亡率など様々なデータが出題されました。
特殊な小論文を出題する大学も
医学部を受験する人の中には、併願受験を希望している人も多く見られます。
併願受験を希望する場合、複数の医学部の対策を一度にしなければなりませんから、それぞれの大学の出題傾向についてもしっかり把握しておきたいところでしょう。
併願先の中に特徴的な小論文を課す大学があるのなら、なおさら出題傾向について熟知しておく必要があります。
そこでここでは、特徴的な小論文を出題する大学を2校取り上げて紹介していきます。
順天堂大学
最初に取り上げるのは、順天堂大学の小論文試験についてです。
順天堂大学では例年絵や写真を観て、そこから本人が考えたことを記す問題が出題されます。
愛知医科大学
愛知医科大学医学部の小論文試験のテーマは、毎年ユニークなことで有名です。
基本的には与えられた資料から情報を読み取り論述するパターンの試験が課されますが、物語を創作したり、川柳を解釈したり、イラストを見て考えさせたりと多様な問題が出題されます。
小論文の頻出テーマ
小論文の試験でよく出題されるのは、以下のようなテーマです。
ニュースなどで話題になることも多いので、日頃からアンテナを張って問題意識を持つようにしましょう。
医師の責務やあり方に関するテーマ
医師に求められていることや、働き方に関することは頻出のテーマです。
そもそも小論文試験の主な目的は、医師としての適性を問うものであることから考えると、当然と言えるでしょう。
日頃から「なぜ医師になりたいのか」「医師としてどのように生きて行きたいのか」を自問自答しておくことが大切です。
ただし試験では、個人的な思いを述べるだけではいけません。
出題意図を読み取り、客観的な事実を踏まえて説得力のある議論を展開することが求められます。
【キーワード】
- 医師の資質
- インフォームドコンセント
- チーム医療
- 女性医師の働き方
医療資源の配分に関するテーマ
限られた医療資源を社会全体でどう配分すべきかについてもよく問われます。
高齢化や地方の過疎化に伴う医療資源の逼迫や偏在は、現在の日本が抱える大きな社会問題の一つです。
医療従事者を目指す以上、当事者として意見を求められるのは当然です。
報道されることも多いので、日々チェックしておきましょう。
自分なりの意見を持つと同時に、様々な立場からの議論を押さえておくことも必要です。
【キーワード】
- 医師の偏在
- 少子高齢化
- 医療費高騰
- 混合診療
生命倫理に関するテーマ
医療と生命の尊厳に関わるテーマも頻繁に取り上げられます。
難しい問題ですが、医師が人の生死に関わる仕事である以上、避けては通れないテーマです。
個々の報道を見聞きするだけでは議論の全体像が分かりづらいので、解説記事などまとまった形で知識をつけておくことをお勧めします。
【キーワード】
- 安楽死や尊厳死
- 終末期医療
- 臓器移植
科学技術に関するテーマ
最先端の科学技術が医療にもたらす課題についての問題も頻出します。
科学技術の進歩は医療に大きな恩恵をもたらすと同時に、新たなリスクや倫理上の問題も産む可能性があります。
主な技術の内容とそのリスクや注意点について、論点をまとめておきましょう。
- AI診断
- 再生医療
- 遠隔医療やオンライン診療
小論文で大事なポイント
こちらの項では、小論文を書くうえで大切となる4つのポイントについて解説していきます。
普段から医療に関する情報を取り入れる
何かを論評し、表現するためには根源となる情報が必要となります。
医学部の小論文に関しても同様で、普段から医療に関する情報に触れていないと、いざ出題されたときに筆が止まってしまい窮してしまうでしょう。
そのため普段から医療に関する情報を仕入れておくことが、試験を突破するための最良の習慣となります。
医療系、介護系のニュースの中でもとりわけ大きな話題を呼んだニュースは、医学部の小論文でも出題されやすいので必ず押さえておきましょう。
適切な表現方法を身につける
適切な表現方法を身につけることも、小論文を書くうえで必要な要素です。
先ほど、小論文を書くためにはテーマに関する情報をしっかり仕入れておくことが必要だと説明しましたが、表現方法が稚拙だとその情報もきちんと伝わりません。
出題されたテーマを読み解く力や論評する力があっても、外部に上手に伝える力が足りないと評価につながりにくいのです。
小論文の書き方を練習するにあたっては、メディアから発せられるメッセージを読み解き論評する能力を磨くとともに、どうすれば自分の考えが他者に伝わるかまで考慮したうえで何度も訓練しましょう。
志望校の過去問に目を通しておく
続いて説明する小論文を書くうえで大事なポイントは、過去問に関する事柄です。
言うまでもありませんが、過去問は今後想定しうる試験問題の宝庫となります。
過去問を研究することで志望校の出題傾向が把握できるとともに、難易度についてもおおよそ掴むことができるでしょう。
また、上で取り上げた愛知医科大学のようなユニークな小論文試験を課している大学への対策としては、過去問にあたるのが手っ取り早く得点につながりやすいという見方もあります。
添削してもらう
最後に説明する小論文を書くうえで大事なポイントは、第三者に添削してもらうというものです。
小論文はあくまで自身の視点で物事を論評しますが、それゆえに不完全な部分が生まれてしまいます。
ひどいときには、論文の前後で矛盾が生まれてしまい、結局何が言いたいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
そういったときに助けになってくれるのが、第三者の視点です。
自分の小論文について、客観的な判断をもとに添削をしてもらうことで論述の精度が上がるとともに、論評のバリエーションも広がります。
医学部合格を目指すなら京都医塾
ここまで、医学部受験にまつわる小論文対策をテーマに解説してきましたが、論述するのはどうしても苦手という人や、文章を書く練習にはなかなか身が入らないといった人もいるでしょう。
なにかを志したものの、苦手な分野が足を引っ張ってしまうというのはよくあることです。
そういったときには、医学部受験に特化した予備校「京都医塾」に頼ってみてはいかがでしょうか。
京都医塾は医学部専門予備校として、毎年たくさんの受験生を医学部へ送り出しています。
ここでは、そんな京都医塾について紹介していきましょう。
小論文対策にも特化した個別指導
医学部入試では、学力試験だけでなく小論文や面接が合否を分ける大きな要素となります。
京都医塾では、こうした2次試験にも対応できるよう、小論文指導に力を入れています。
単なる添削指導にとどまらず、演習を重ねる中で見えてくる受験生それぞれの課題に対して、具体的な改善アプローチを提案します。
指導はいつでも繰り返し受けられるため、表現力や論理的な構成力に自信がつくまで、納得いくまで対策を深めることが可能です。
学びの場にはいつでも質問できる安心環境
わからないことをそのままにせず、その場で解決できることは、受験勉強において非常に重要です。
京都医塾では、校舎内に講師が常駐しており、授業の後や自習中であっても、疑問が生じた瞬間にすぐ質問できる体制が整っています。
特に小論文に関しては、曖昧な理解を放置すると全体の構成に影響が出やすいため、その場で指導が受けられるこの環境は大きな強みといえるでしょう。
疑問点をその日のうちに解消できることで、確実に理解を積み上げることが可能です。
週に一度のカウンセリングで悩みにしっかり寄り添う
京都医塾では、週1回の定期カウンセリングを通じて、受験生の学習進度だけでなく精神面にも寄り添っています。
勉強の計画が予定通りに進んでいるか、学習内容に不安がないかなどを丁寧に確認し、必要に応じて軌道修正を行います。
また、「小論文のネタが思いつかない」「医療知識をどうインプットすればいいかわからない」といった悩みには、書籍やニュースメディアの活用方法も含めた実践的なアドバイスを提供。
受験勉強における迷いを解消するためのサポートが、ここにはあります。
まとめ
医学部入試における小論文試験は、医師としての資質や思考力を測るための重要な選抜手段です。
そのテーマは広範囲にわたり、的確に意見を述べるには、事前の知識習得と文章表現の訓練が欠かせません。
特に独学では、何が正解なのか、どう書けばよいのか悩んでしまう受験生も多くいます。
そういったときに頼れるのが、医学部専門予備校の京都医塾です。
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