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2023年度近畿大学医学部の化学過去問対策・分析

2023年度近畿大学医学部の化学過去問対策・分析

京都医塾化学科です。
このページでは「近畿大学医学部の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“近畿大学医学部”の受験を考えている方
・“近畿大学医学部の化学がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2023年度

形式:記述式
制限時間:理科2科目で120分
配点:理科2科目で200点

出題の傾向と特徴

【毎年恒例の出題単元】

例年、大問3問の出題になっています。理論化学、無機化学、有機化学がバランスよく出題されているので、どの分野も満遍なく学習しておく必要があります。

【頻出の出題単元】

上述のとおり、単元の偏りはありませんが、計算問題が頻出で計算過程も要求されることがあります。その対策として途中過程を丁寧に書く練習は必須となります。また、その計算も煩雑なものが多いので、計算を工夫して行う意識は普段の演習の時から持っておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

上述のとおり、煩雑な計算も多いので、計算問題に時間を掛け過ぎるとあっという間に制限時間を超えてしまいます。無機化学分野において、基本的な知識を問う問題も出題されるので、それらを手早く解答し、計算に時間を割けるようにするなど、時間配分を工夫する必要があるでしょう。

2023年度(最新の過去問)の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】アンモニアソーダ法、電池・電気分解

問(1)(a)~(c):アンモニアソーダ法に関する化学反応式を答える問題でした。物質の工業的製法に関する反応はどの物質を出題されても大丈夫なように知識定着を行っておきましょう。
問(1)(d):アンモニアソーダ法で得られる炭酸ナトリウムの量を原料の塩化ナトリウムの量から求める問題でした。(c)で求めた化学反応式を使ってmol計算すれば求めることができます。

問(2)(a)~(c):極板、電解質水溶液の組み合わせを変えて組み立てた電池それぞれについて、放電時の極板の質量変化を求める問題でした。電池の基本が押さえられていれば難易度は高くない出題でした。
問2(d)~(f):極板、電解質水溶液の組み合わせを変えて電気分解を行い、それぞれについての極板の質量変化を求める問題でした。こちらも電気分解の基本が押さえられていれば難易度は高くない出題でした。

≪2023年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生…10割
他教科を得点源にしたい受験生…9割

【第2問】気体、反応熱

問(1)(a):密閉容器内の気体の反応に関して、反応後の気体のmolを求める問題でした。反応の係数から反応前の気体のmolと等しいことが読み取れれば状態方程式から求められる。
問1(b)~(c):(a)で求めたmolと問題の条件から反応前の気体のモル質量を求め、物質を推定する問題でした。計算はやや煩雑なので手早く解答したい問題でした。
問1(d):(b)、(c)が正答できていれば反応後の物質は容易に推定できるので、ここまでの問題が解けていれば平易でした。
問1(e):問題文の条件から液体になった反応後の物質の質量が計算できるので、そこから気体の質量→mol→圧力、と求める問題でした。ここまでの問題を正答して、かつ問題の状況も把握しなければならなかったので、やや難しい問題でした。

問(2)(a):与えられた熱化学方程式を使って、指定の反応熱を求める問題でした。基本的な問題ですので、手早く解答したい問題でした。
問(2)(b):アセチレンからシクロヘキサトリエンが生成する際の反応熱を求める問題でした。聞きなれない物質が登場しますが、問題文に書いてある通りに熱化学方程式が書ければ、難しくない問題でした。
問(2)(c):ベンゼンとシクロヘキサトリエンの安定性を比較する問題でした。それぞれがアセチレンから生成する反応を使えば、平易に求められる問題でした。

≪2023年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生…7.5割
他教科を得点源にしたい受験生…6割

【第3問】C9H12の芳香族炭化水素とその一置換体の構造異性体、ルミノールの合成と反応

問(1)(a):C9H12の芳香族炭化水素の構造異性体の数を求める問題でした。ベンゼン環に炭化水素基が結合するパターンを漏れなく数え上げ、正解したい問題です。
問(1)(b):混酸、という名称を答える問題でした。基本知識です。
問(1)(c):(a)で求めた異性体のうち、次のニトロ化で3種類の生成物が考えられる構造を答える問題でした。こちらも(a)同様落ち着いて漏れなく解答したい問題でした。
問(1)(d):(a)で求めた異性体にさらに塩素置換が起こった場合の構造異性体の数を答える問題でした。考え方は難しくありませんが、異性体の数が多いので、漏れなく数えるように工夫が必要でした。

問(2)(a):質量パーセント濃度から、水溶液の作成に必要な溶質の質量を求める問題でした。濃度計算に慣れていれば平易な問題です。
問(2)(b):ガスバーナーの使用法に関する問題でした。基本的な知識で正解できます。
問(2)(c):実験で用いる溶媒を選択した理由を答える問題でした。問題文中に書かれている溶媒の性質と、実験内容とを結びつけることができると正解が導ける問題でした。
問(2)(d):ろ過に関する操作方法を答える正誤問題でした。基本知識です。
問(2)(e):実験で生成する物質の質量を求める問題でした。反応物、生成物いずれも1対1対応なので、立式までは手早く行いたい問題です。
問(2)(f):血液中に含まれる金属元素を答える問題でした。基本知識です。

≪2023年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生…8割
他教科を得点源にしたい受験生…7割

【総評】

全体的には難易度の高い問題はあまり多くありませんでした。いずれの単元も取りこぼししないように苦手を作らない学習を心掛けましょう。また、計算問題は例年通り、途中が煩雑になるものがあるので、普段の学習から計算の工夫や、ミスを減らすことを意識して問題に取り組むようにしましょう。

まとめ

というわけで、今回は近畿大学医学部の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:安達 康明

  • 役職
    化学科統括/化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    8年
  • 出身大学
    京都大学工学部
  • 特技・資格
    バレーボール
  • 趣味
    ゲーム、アニメ鑑賞
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    ビーカーくんとそのなかまたちシリーズ

受験生への一言
なぜその思考が必要なのか、なぜこの解法なのかをキチンと理解できれば点数は必ずついてきます。その手助けをしていくことを最優先で考え、授業を進めています。合格のために出来るサポートは全力でやります。