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2022年度自治医科大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度自治医科大学医学部の生物過去問対策・分析

 

京都医塾生物科です。

このページでは「自治医科大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“自治医科大学医学部”の受験を考えている方
・“自治医科大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式:マークシート式
時間:理科2科目80分
配点:25点

出題の傾向と特徴

 理科は一次試験でのみ実施されます。全てマーク式の問題で、毎年25題の問題が出題されています。出題分野は多岐に渡り、知識を問われる問題の他、計算問題や実験考察問題も多く含まれています。出題形式がかなり独特であるため、受験を考えている場合は過去問の演習による対策が必須であると言えます。

【頻出の出題単元】

 各分野から満遍なく出題されますが、遺伝情報、生態、進化と系統、が少し多めです。

【制限時間に対する問題量】

 制限時間が短く、読解・考察や計算には時間が必要となるため、とにかく時間が不足しがちです。理科2科目を連続で解くことから考えても、非常に慌ただしい80分になることと思われます。

2022年度(最新の過去問)の分析

 2022年度は計算問題が少なかったものの、グラフなどのデータ読解と考察が複雑になったものが多く、例年より少し難しかった印象です。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

問1 

 酵素の反応速度の問題。問題文中の条件が非常に重要なので、読み落とさないように注意が必要です。

問2 

 PCR法を用いる際のプライマー設計の問題。「終止コドンまで」の範囲を間違えないように指定する必要があります。更に相補鎖を設計することにも注意しましょう。

問3 

 免疫の知識問題。個数を考える、のではなく、1つ1つの文章の正誤を判断しましょう。

問4 

 ABO式血液型推定の問題。素早く判断して正答すべき問題です。

問5~7 

 植生に関する問題。遷移とバイオームを扱う題材として大島の例は頻出。図説などで内容を確認しておきましょう。

問8・9 

 細胞膜を介した物質輸送の問題。膜タンパク質を介するものか、膜自体が変形するものか、を正確に覚えておきましょう。細胞内外のイオン濃度については、近年他大学でもよく出題されています。

問10~12 

 コドン推定に関する問題。問12が少し目新しい切り口の出題で戸惑ったかもしれません。ここに時間を使うために他2題は手早く済ませたいところです。

問13 

 家系図から遺伝様式を推定する問題。可能性がない選択肢を手早く切り捨てる判断基準を理解しておきましょう。

問14 

 三点交雑法を用いた計算問題。組換え価の求め方さえ分かっていれば難しい問題ではありません。

問15 

 発生に関する問題。選択肢の日本語の詳細な部分まで読み込んで、誤りを見抜くことが必要です。

問16~18 

 受容器と神経系に関する問題。実験の条件が独特なため、文章やグラフから内容を理解する部分で時間がかかったものと思われます。内容を正しく読み取ることができれば判断は難しいわけではないのですが、この辺りは時間との兼ね合いで取り組むかどうかを判断するべきでしょう。

問19 

 植物の環境応答に関する問題。知識問題ですから素早く判断しましょう。

問20 

 生物多様性に関する問題。「種の」多様性を見ているもの、を選択するべきものなので、調査内容が何を対象にしたものかを丁寧に読みましょう。

問21 

 種間関係に関する問題。観察結果と矛盾のない選択肢を見つける、というだけですから取りこぼさないようにしましょう。

問22 

 生産構造図の問題。それぞれの型の特徴を理解していれば難しくありません。実際の植物の種類と共に改めて確認しておきましょう。

問23 

 適応放散に関する問題。誤りが分かりやすい文章なので迷わず正答を選びましょう。

問24 

 脊索動物の特徴を選ぶ問題。系統分類の問題のように見えますが、判断の上ではエディアカラ生物群との関係や顎の有無など、進化の知識も必要になります。

問25 

 系統樹推定の問題。制限酵素の切断領域を共有しているかどうか、が互いの種の類縁関係を推定するために利用されています。類題を解いていれば判断しやすかったものと思われますが、初見では少し迷いやすい問題かもしれません。

【総評】

 簡単な基礎知識だけを問われる問題もある一方で、読解にも考察にも時間がかかる問題も混ざっています。基本的には他の問題との間に関連性が無いので、時間がかかりそうな問題を飛ばして、解ける問題を確実に解いて解答数を増やしていきましょう。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 8割
他教科を得点源にしたい受験生… 7割

まとめ

 というわけで、今回は自治医科大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

 京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。