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2022年度東海大学医学部の化学過去問対策・分析

2022年度東海大学医学部の化学過去問対策・分析

 

京都医塾化学科です。
このページでは「東海大学の化学」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“東海大学”の受験を考えている方
・“東海大学の化学がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度
形式:記述式・マークシート方式併用
制限時間:70分
配点:100点

出題の傾向と特徴

【毎年恒例の出題形式】

例年、5、6題の出題で、そのうち理論化学分野からの出題の割合が多いです。標準的な難易度の問題が多いですが、理論化学分野のなかで「気体・化学平衡」の単元からの出題では応用的な内容が出題されることが多く、計算もやや煩雑なものが多いので、しっかりと対策しておく必要があります。

【制限時間に対する問題量】

大問数が5~6題ですので、一問あたり平均で10~14分で解答する必要があります。上記のとおり「気体・化学平衡」ではやや難易度の高い問題が出題されることを考えると、それ以外の単元からの出題について、大問1つあたりを10分程度と考えておくのが良いでしょう。時間配分をきちんと考えて取り組まないと、時間が足りなくなるので、過去問を使って時間配分の練習をきちんと行ったうえで本番に臨む必要があります。

2022年度の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(原子の構造と結晶)

問1:原子説にまつわる文章の空欄補充問題でした。登場する科学者とその法則名はよく聞かれるので、確実に押さえておきましょう。
問2:放射線に関する正誤問題でした。やや細かい知識が問われており、解答しにくかったものと思われます。
問3:電子殻に関する空欄補充問題でした。基本問題です。
問4:電子対反発則に関する問題でした。問題文に考え方が書いてあるので、そこから各化合物の電子式と合わせて考えられたかどうか。
問5:ケイ素の結晶格子に関する問題でした。密度から原子量を計算する問題でしたが、計算がやや煩雑でした。

【第2問】(鉛蓄電池を用いた並列回路の電気分解)

問1:電気分解の反応式を答える問題でした。基本問題です。
問2:発生した気体から、流れた電気量を計算する問題でした。水素と酸素が2対1で生成することがわかれば平易です。
問3:塩素に関する正誤問題でした。無機化学で学習する基本的な知識をしっかりと押さえておきましょう。
問4:電気分解後の水溶液のpHを計算する問題でした。並列回路なので、電解槽を流れた電気量を求めるのに手間取った方も少なくなかったのではないでしょうか。
問5:鉛蓄電池の極板の質量変化に関する問題でした。全体を流れた電気量から計算すればよいので、問4よりも解きやすい問題でした。

【第3問】(化学平衡と反応熱)

問1:反応した黒鉛の割合を求める問題でした。発生した一酸化炭素の物質量を状態方程式から求められれば平易でした。
問2:水素のモル分率を求める問題でした。「気体の」モル分率なので、黒鉛の物質量を誤って使わないように注意したい。
問3:圧平衡定数を求める問題でした。全圧一定なので、問2のモル分率が正しく求められていれば、計算はやや煩雑ですが難しくありません。
問4(1):与えられた反応熱から、問題の反応で発生する熱量を求める問題でした。基本問題です。
問4(2):平衡の移動に関する問題でした。黒鉛の扱いを間違えなければ平易な問題です。

【第4問】(酸素を含む有機化合物)

問1:アセトアルデヒドに関する問題でした。性質・製法に関してしっかりと押さえておきましょう。
問2:条件にあてはまり化合物の構造を答える問題でした。各種検出反応については確実に覚えておきましょう。
問3:問題文の中から反応が進行しないものを選択する問題でした。エステル化、加水分解・けん化について、しっかりと押さえられていれば平易でした。
問4(1):油脂に関する正誤問題でした。基本的な用語と合わせて、けん化価・ヨウ素価といった油脂の構造を決めるのに必要な数値についても習熟しておきましょう。
問4(2):ヨウ素価から油脂に含まれる炭素間二重結合の数は基本的な方法で求められるのですが、選択肢に記されている各脂肪酸の割合から何を求めればよいのかがわかりにくい問題でした。各割合から、油脂に含まれる炭素間二重結合の数の平均が求められたかどうか。

【第5問】(ポリ乳酸とポリビニルアルコールの合成)

問1:乳酸のジラクチドの構造を答える問題でした。やや細かい知識まで知っておく必要がありました。
問2:上記ラクチドの光学異性体に関する問題でした。メソ体の存在に気付けたかどうか。
問3:ポリ乳酸の用途に関する問題でした。機能性高分子はその用途がよく聞かれるので然りと押さえておきましょう。
問4(1):ホルムアルデヒドの性質に関する問題でした。基本問題です。
問4(2):ポリビニルアルコールからビニロンへの合成において、質量変化からアセタール化の割合を答える問題でした。高分子化合物分野では頻出の問題なので、解法をしっかりとマスターしておきたい。

【総評】

全体的には標準的な難易度の問題が並んでいましたが、第4問の問4(2)のように思考力を要する問題も出題されており、問題数も加味するとあまりじっくりと解答する時間は無かったのではないでしょうか。また、第1問の問2や第5問の問1・問2などやや細かい知識を必要とする問題もありましたので、基本的な問題をどれだけ確実に得点できたかで合否がわかれたのではないかと思われます。

≪2022年度の目標値≫

化学を得点源にしたい受験生…7~8割
他教科を得点源にしたい受験生…6~6.5割

まとめ

というわけで、今回は東海大学の化学についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:安達 康明

  • 役職
    化学科統括/化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    8年
  • 出身大学
    京都大学工学部
  • 特技・資格
    バレーボール
  • 趣味
    ゲーム、アニメ鑑賞
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    ビーカーくんとそのなかまたちシリーズ

受験生への一言
なぜその思考が必要なのか、なぜこの解法なのかをキチンと理解できれば点数は必ずついてきます。その手助けをしていくことを最優先で考え、授業を進めています。合格のために出来るサポートは全力でやります。