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2022年度東京慈恵会医科大学医学部の英語過去問対策・分析 

2022年度東京慈恵会医科大学医学部の英語過去問対策・分析 

京都医塾英語科です。
このページでは「東京慈恵会医科大学の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“東京慈恵会医科大学”の受験を考えている方
・“東京慈恵会医科大学の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度(最新の問題より) 

形式: マークシート(一部、長文の設問の解答で英作文あり)
制限時間:60分
配点: 100点

出題の傾向と特徴

形式に加え、大問数も固定されてきた2018年度以降の5年分についての傾向をまとめます。

【毎年恒例の出題形式】

長文問題(3題)
2019年までは、長文読解3題、英作文1題の合計4題でしたが、2020に英作文が長文読解の中の小問として出題される形式に変更されました。2022年も前年度と同様の出題形式を踏襲しています。また、設問文はすべて英文です。

【制限時間に対する問題量】

長文1つあたり20分前後で解答していくとすると、東京慈恵会医科大学を目指すレベルの受験生であれば、分量自体は適度あるいは余裕のあるものです。ただし、選択肢はよく練られており、迷うものも含まれているので、決断よく先々進んでいくことが鍵になるでしょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:標準~やや難) 

疫学の祖であるスノー博士と感染源であるコレラ菌の発見の過程について書かれた長文読解問題です。2021年度の過去問では、天然痘とワクチン接種開発の歴史についての長文読解問題が出題されていたので、医学関連の話題は他大学も含めて過去問に触れるなかである程度慣れておき、出題頻度が高いテーマについてはおさえておくのがよいでしょう。問1は語彙レベルの多少高く感じられる選択肢があります(tainted, belittling,など)。もっとも、文脈や関連語から推測は可能になっていますので、丁寧に読めばそれほど大きく解釈を外れることはありません。小問1(本文中に下線を引かれた単語を近い意味をもつ語を選ぶ問題)は比較的正解しやすいです。小問2(内容に関する問いについて本文中に根拠のあるものを選択肢から選ぶ問題)は、選択肢それぞれが紛らわしく、細かい検討も要するため、60分の制限時間の中で正しい選択肢を選ぼうとすると難しく感じられるでしょう。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…7割以上
他教科を得点源にしたい受験生…5割

【第2問】(難易度:標準~やや難) 

途絶えたままになっている関係を修復することの効果に関する長文読解問題です。第1パラグラフで、“reactivate their dormant ties”「眠っている紐帯を復活させよ」というフレーズがあり、以降、そうすることがいかに有用かについて文章が続いていきます。dormantという語彙自体がやや難易度が高く感じられるので、この語について全く知識がなければ推測しながら読み進めねばならず少し負荷がかかるでしょう。設問は、長文中の空所になっている部分に入る適切な選択肢を選ぶ問題が4問出題されています。選択肢の吟味には大問1ほどのややこしさはありませんが、そうはいっても前後の内容から妥当なものを推測したり、また意味的には可能そうに見えても文構造上選べないものを排除したりと、考えるべき要素は多岐にわたります。結果として思ったほど正答率が上がらないかもしれません。こうした、様々な側面から考えないと正答にたどり着けない問題については、時間を浪費してしまうことのないよう、ある程度割り切って飛ばしてしまうのも仕方ないでしょう。また、本文中の文脈に合うように、1文だけ内容を推測して自由に作文させる問題も含まれています。出題形式自体はあまり見かけないものですが、前文の内容に続くよう文法的に正しい英文を書けばよいので、自由度が高いぶん見かけ以上に解きやすいでしょう。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…8割
他教科を得点源にしたい受験生…6割

【第3問】(難易度:標準~やや難) 

埋没費用の誤謬について書かれた長文読解問題です。“sunk cost fallacy”「埋没費用の誤謬」というフレーズにはなじみがない受験生が大半でしょうが、本文を読んでいけば比較的平易な英語で説明があるので、それほど難しくは感じないでしょう。語彙問題、本文の内容について問う問題がバランスよく出題されています。語彙問題については、語彙・語法ともに標準的なものが大半ですので、なるべくここで得点を落とさないようにしましょう。英語の得意な人は、問1のA~Dは内容理解の問題については全問正解を目指しましょう。本文の内容について問う設問は、他の大問同様、どれも紛らわしく感じられます。本文中の根拠になりそうな箇所を的確に見つけて、選択肢と丁寧に照合する作業が求められています。また、本文中に書いてあることが選択肢になっていても、当然のことながら、それが設問に対する答えになっているか否かまで吟味しましょう。最後の小問は、英作文となっています。「埋没費用の誤謬に陥ることは否定的なものであると考えられている。もはや利益を生み出さないようにみえる埋没費用を回収しようとすることが、最終的にプラスになることはありうるだろうか」という問いが英文で書かれており、それに答えるのは残り時間を考えるとなかなか大変です。設問文には、「架空の例でも構わない」とありますから、その場で書きやすそうな事例を思いついたら、細かな文法的ミスを避けて一気に書き上げられるよう、日ごろから一定量の英文を論理的に書く練習をしておく必要があります。
≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…7割以上
他教科を得点源にしたい受験生…5割

【総評】

東京慈恵会医科大学の英語は、前提としてある程度の速読力が必要です。一定以上の速度で英文を読むことを苦にしない受験生ならば、時間的には間に合うでしょう。問題では、選択肢の正確な読み取り、英検準1級程度までの語彙力、標準的な動詞の語法の知識、複数の節が絡む文構造の正しい把握、難問の見極め(と回避)を、バランスよく求めています。そのぶん小手先のごまかしがきかない試験となっていますので、日ごろからバランスよく英語を学習していく必要があるでしょう。

まとめ

というわけで、今回は東京慈恵会医科大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
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投稿者:野口 剛

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    9年
  • 出身大学
    京都大学教育学研究科
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    愛媛県
  • お勧めの本
    最高の任務

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