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2022年度帝京大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度帝京大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾生物科です。

このページでは「帝京大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“帝京大学医学部”の受験を考えている方
・“帝京大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式:記述式
時間:選択2科目120分
配点:選択2科目200点

出題の傾向と特徴

 仮名指定の問題やすべて選び番号の小さい順で答える問題など解答に注意が必要な問題が多く、文字数制限こそ少ないものの論述問題も出題されることがあります。
 選択科目だけあって、高得点を取ることは難しい内容になっているため、基本問題は確実に得点できるよう注意深く取り組む必要があります。また、日程により多少の取り組みやすさの違いがあり、別の日と内容が重複することもあります。

【頻出の出題単元】

 代謝、遺伝情報、恒常性、などの出題がやや多く、腎臓や免疫に関しては計算問題の形で扱われることも多い傾向にあります。少しの偏りはあるものの、出題されない分野があるわけではないため、どの分野から出題されてもよいように対策しておく必要はあります。

【制限時間に対する問題量】

 問題の数が多いわけではないものの、1つ1つの問題が決して易しくはないため、思考にかかる時間を考えると時間的に余裕はありません。教科書レベルの知識を問われる問題をいかに素早く解いて考察問題に時間を割り当てるか、という戦略が必要になってきます。

2022年度(最新の過去問)の分析

 2020年度までは大問4題の出題が続いていましたが、2021年度からは大問3題になり、複数の分野にまたがった内容が出題される傾向が強くなっているようです。さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
 ※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。帝京大学の入試は3日間ありますが、以下の分析は赤本(教学社)に収録されている問題①(1/24実施分)②(1/26実施分)についての内容です。
 

①(1/24実施分)

【第1問】 

 免疫についての出題でした。
 新型コロナウイルスを題材に、検体の抗体量から感染歴やワクチン接種の効果について分析する、という、この時期ならではの問題になっていました。それぞれの実験で分かる内容が全て異なるため、何を目的として行われた実験なのかを正しく読解した状態からでないと考察が難しかったでしょう。抗体の構造や関わる細胞の機能などについては知識を問われましたが、該当するものを全て選ぶという形式であったため選択肢の精査には時間がかかったものと思われます。

【第2問】 

 眼について、発生と構造・機能に関する出題でした。
 知識問題については、基本的な内容が多かったため特に問題なく解答することができたものと思われます。スマートフォンの見過ぎによる視力低下のしくみや、網膜剥離が起きた際の見え方など、生活の中で出会う可能性がある事象についても触れられています。

【第3問】 

 植物の環境応答についての出題でした。
 光受容体についてはタンパク質の名称と機能だけではなく、細胞内でのはたらき方についても正しく理解していないと選択肢を絞ることが難しかったものと思われます。病原体感染に対する抵抗性については、教科書ではあまり詳しく扱われていないことが多いため、図説等で詳しい内容にまで触れておくことが求められました。重力感知に関わる構造やしくみについては、他の大学でも扱われることが多いため必ず確認しておくようにしましょう。

②(1/26実施分)

【第1問】 

 細胞と遺伝情報、免疫についての出題でした。
 ①の第1問と同様に新型コロナウイルスを題材として扱っており、注目度の高さが窺えます。遺伝子発現やウイルスの特徴についての知識問題はさほど難しいものではありません。ワクチン接種後の発症予防効果について推定する問題ではグラフの内容を正確に読み取ることが必要でした。PCRでのゲノム増幅と検体中のウイルス量との関係は、実際の医療現場で起きている変異株の検出の難しさを推測させる内容になっていましたが、PCRの原理さえ分かっていれば特に問題なく正答できるでしょう。

【第2問】 

 体内の代謝を題材に、呼吸と解糖、骨格筋におけるATP再生、尿生成、と多岐に渡る内容についての出題でした。
 呼吸の各段階で何の分子がどのように変化するか、ATPは何分子生成されることになるか、という詳しい内容が問われました。特にクエン酸回路で起こる細かい反応について問われる問題が他の私立医学部の入試問題でも増えていますので、詳細な内容についても丁寧に学習しておきましょう。計算問題が少し解きづらかったものと思われますので、問題の指示する内容を正しく反映させることに注意して立式しましょう。

【第3問】 

 植物の組織・器官についての出題でした。
 組織・器官については、動物も植物も特別に注力して復習することがあまりなく、知識としては盲点になっていた部分もあるかもしれません。扱われている内容自体は難しいものではありませんので、見落としがないように丁寧に学習して内容を身につけ、確実な得点源にしましょう。

【総評】

 基礎的な問題でしっかりと得点を確保した上で、計算問題や考察問題に注意深く取り組む必要がある大学です。特に近年は難しい内容を問われることも多いため、教科書レベルの知識を完璧にしておくことはもちろん、過去問を通して新しい知識や考え方を身につけて対応できる問題の幅を広げて臨むことが大切です。帝京大学を受験する場合には、他の科目についても一通り解いてみた上で、安定して得点できる科目を選択するようにしましょう。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 7.5割
他教科を得点源にしたい受験生… 6.5割

まとめ

というわけで、今回は帝京大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。