ホーム » 京都医塾公式ブログ » 医学部入試問題分析 » 2022年度京都府立医科大学医学部の英語過去問対策・分析

京都医塾公式ブログ

2022年度京都府立医科大学医学部の英語過去問対策・分析

2022年度京都府立医科大学医学部の英語過去問対策・分析

 

京都医塾英語科です。

このページでは「京都府立医科大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“京都府立医科大学医学部”の受験を考えている方
・“京都府立医科大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式: 記述
制限時間: 120分
配点: 200点

出題の傾向と特徴

ここでは2次試験の問題のみを扱います。

【2022年度の出題形式】

① 長文問題3題
② 自由英作文

【制限時間に対する問題量】

日本の入試問題の中でも最も時間に対する問題量が多い大学ではないかと思われます。本文自体の長さもそうですが、記述問題の多さ、200語ほど書かなければならない自由英作文など、どれをとっても大変です。特に英語が苦手という人にとっては到底処理できる量ではありませんので、解答には相当工夫が必要でしょう。

2022年度(最新の過去問)の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:難) 

1,200ワードほどの長文問題です。テーマは「中流階級の子どもの教育と言語使用」です。もうこの時点で「無理」と感じる受験生も多いのではないでしょうか。しかし、本気で府立医大を考えるなら、この長さを処理していかなければならないのです。ちなみに、この後出てくる第2問、第3問も1,000語ほどの量になります。


テーマは「中流階級の子どもの教育と言語使用」で、一見とっつきやすそうですが、読んでみるとかなり難解です。抽象的な議論が長く続き、筆者が言いたいことがピンと来そうでピンと来ません。自分が正しく論理を追えているのか自信が持てません。
さらに設問も日本語での説明問題が多く、非常に難度が高いものばかりです。問3は「take second placeが意味することを明らかにして説明しなさい」、問4は「thisが意味することを明らかにして説明しなさい」、問5は「筆者がthere is not a serious conflict of expectations between the school and the middle-class child.と言える理由を明らかにして説明しなさい」など、本文の内容が前後も含めて理解できていないと自信を持った解答作成が困難です。


さて、このように分量・内容・設問のあらゆるレベルで難易度マックスと言える長文問題ですが、どのように対応すればよいのでしょうか?


府立医の長文を解くためのヒント
①答えは下線部の前後から探し出せ
  この問題に関して言うと、記述問題が5個出題されているうち、3問はヒントが前後にあったり、場合によっては下線部をほぼ訳せば点がもらえそうなものもあります。すごく雑な話ですが、特に英語が苦手な人は下線部の前後を読んで、解答とつながりそうなところを訳してまとめておくのが1つの解答方法です。もちろん、全ての問題でこのやり方をしなさい、ということではありませんが、もし何を答えていいか分からなければ、こういう割り切った判断でもいいから解答を書いておくべきだと思います。


②解答は案外シンプル
 「とにかく解答を書いておくべき」というのには、理由がありまして、それは「模範解答を見ると案外解答はシンプルだ」ということです。赤本の解答はものすごくしっかり解答が書かれているのですが、正直「こんな解答俺には書けない」と思うものがあったりします(そのくらいレベルが高い解答を書かれている赤本の執筆者には脱帽です)。そこで、府立医大がホームページで公表している模範解答を見ると拍子抜けするほどあっさりした解答が模範として掲載されているのです。ですから、そこまで難しいことを長々書かなくても、何かを書いておけば部分点くらいは取れる可能性もあるわけです。よって、可能な限り解答欄を(無理やりにでも)埋めるのは正義だと思われます。


③この長さに慣れよう
  この文を全部読むのかどうかは生徒さんによって分かれるところです。本当に高い英語力がある生徒はざっとでも全文に目を通しますし、「英語が嫌いで仕方ない」という生徒さんの中には「どうせ読んでも分からないから解答に関係しそうなところだけ読む」と割り切っている人もいます(どちらのパターンでも合格する生徒は合格します)。とはいえ、他の問題も含めて大量の英文を処理していかなければならないのは間違いありませんから、長い文に慣れておくに越したことはありません。筆者は府立医大向けの練習として府立医大の過去問以外に、一橋大学の後期の問題を勧めています。これも1,600ワードくらいという大学入試としては最長レベルの文が出ますので、こういった問題も解きつつ、長さに対する恐怖心は克服しておかなければなりません。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6割
他教科を得点源にしたい受験生…4割

【第2問】(難易度:やや難) 

1,000ワードほどの長文問題です。内容は「マハトマ・ガンジー」の話です。世界的な偉人ですからガンジーについては知らない人の方が少ないでしょうが、英文の内容は馴染みが薄い部分もあり、背景知識だけを頼りに読むと思わぬ誤読につながってしまうかもしれません。設問の難易度はバラバラで、容易に解ける問題もあれば、該当箇所が分かりにくいなど非常に難度の高い問題もあります。例えば、問2、6、8、9は本文全体の理解度が低くても、その前後さえ読めていれば容易に解答を導けるはずです。一方で、問3や問4はそれまでの内容が全体的に理解できてまとめられないと、正しく答えることが困難です。また問10の問題は、解答根拠となる箇所の英文が構造的にも意味的にも非常に難しくなっています。問い自体も漠然としており、何を答えればいいのか分からない受験生も多かったでしょう。そもそも時間もないはずなので、第1問の項目でも述べましたが、「ヒントは前後にある」と「解答は以外にシンプル」という法則で、どんどん解答を書いていくべきだと思います。真剣に悩み過ぎて時間をかけ過ぎたり、解答欄を空白にしてしまうのは避けたいところです。


あと、言い忘れましたが、この問題は解答を英語で書く必要があります。本文から拝借して答えられる部分もありますが、自分でまとめて英作文しなければ答えられない問題もあります。やれやれ。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6割
他教科を得点源にしたい受験生…4割

【第3問】(難易度:標準)

 1,000ワードほどの長文問題です。「フランス語習得の困難」について筆者の体験を基に書かれている英文です。第3問は伝統的に内容一致で、本文と合っていればT、本文と合っていなければF、そして本文から正誤が判断できないならNを書くという問題です。別に珍しくはない形式なのですが、従来府立医のこの問題は「FなのかNなのかよく分からない」という選択肢があり、なかなかの難問が出題されることが多かったのですが、少なくとも2022年度入試に関しては非常に解きやすいです。本文の内容は理解がしやすく、選択肢の正誤を決めるヒントがどこにあるのかも分かりやすいですし、何とか解けるはずです。選択肢は全部で8つありますが、ここで点を落とすと差をつけられる可能性があり、できるだけ多く正解したいところです。


≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…1問ミス
他教科を得点源にしたい受験生…3問ミス

【第4問】(難易度:標準)

 2019年度から「200語前後で書け」という指示になりました(それまでは150語)。常識的には最低180語は書かないと駄目でしょう。2022年度のテーマは「日本の公立図書館はオンラインサービスを拡大すべきだと思うか。」というものです。そもそも200ワードの自由英作文を破綻なく書き切るためには、それなりに訓練をしておかなければなりません。また、第1問から第3問までの難易度が相当高いことを考えると、実はこの自由英作文こそ得点源にすべき問題なのです。ですから、京都府医科大学を本気で考えている受験生の皆さんは、ぜひ自由英作の練習を十分行って下さい。ちなみに、200語の自由英作というと、現在英検1級で200-240語の作文が出題されています。英検は問題集も充実しているので、大学の入試問題だけでなく、英検の問題も活用されることをお勧めします。

≪2022年度の目標値≫

英語を得点源にしたい受験生…8割
他教科を得点源にしたい受験生…6割

【総評】

日本の大学入試の英語で最難関はどこですか、と聞かれたら筆者は京都府立医科大学を挙げると思います。正直、全ての大学の入試問題を見たことがわるわけではないですし、「難しさ」にも様々な難しさがあることは十分に分かっています。しかし、分量、本文の内容、設問のレベルを考えると最も難しい英語を出題する大学の1つと言って間違いないでしょう。とはいえ、今まで私が教えて京都府立医大に合格した生徒が全員英語がものすごくできたか、というとそういうわけでもありません。苦手な人には苦手な人なりの英語への取り組み方がありますし、受験全体として戦略があります。どうしても府立医大で医師になりたい!と強く思う人は、ぜひ夢を実現できるよう努力して下さい。

まとめ

というわけで、今回は京都府立医科大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!
京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:野口 剛

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    9年
  • 出身大学
    京都大学教育学研究科
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    愛媛県
  • お勧めの本
    最高の任務

受験生への一言
ぜひ、京都医塾へお越しください。