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2022年度久留米大学医学部の英語過去問対策・分析

2022年度久留米大学医学部の英語過去問対策・分析

 


京都医塾英語科です。

このページでは「久留米大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“久留米大学医学部”の受験を考えている方
・“久留米大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度(最新の問題より) 
形式: マークシート・記述
制限時間:90分
配点: 100点

出題の傾向と特徴

2019年は下線部和訳や与えられた日本語をそのまま英作する問題が出題されましたが、それらは2020年以降無くなっています。2020年度入試からは、それらに変えて新たに、①不要文削除問題と、②簡単な日本語の文章を英語で要約する問題(語数30語程度)と、③短い英文の文章を日本語で要約する問題とが加わりました(文字数50字程度)。2020年度以降の入試は下記の形式になっています。また、選択肢を含めて求められる語彙レベルは若干高めです。

【毎年恒例の出題形式】

①語彙問題

②不要文削除問題

③語句整序問題

④長文読解(2題)

⑤英作文

⑥日本語による要約問題

【制限時間に対する問題量】

一見たくさんの長文があるように思えますが、語句整序問題では全文を読む必要がありません。また、長文中の空所補充問題もその前後を読めば解ける問題のため、結果としては、見た目ほどの圧迫は感じません。ただし、語彙レベルは高めです。平均的な高校生が使う市販の単語帳には掲載されていないような単語も、本文や選択肢に注なしで入っています。ですので、語彙力が弱点の受験生は、読解や解答をするうえで苦労する可能性があり、結果として制限時間が足りなくなる、あるいは短く感じるかもしれません。

2022年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:標準~やや難) 

単文中の空所を4択の選択肢から埋める語彙問題です。問題文や選択肢に使われている単語を受験生が知らない可能性が高く、読める語を拾い読みして意味を推測したり、プラスやマイナスのニュアンスで判断したり、知っている単語を消去法で消したりと、単に知識だけではなく、合理的な推論をしたうえで答えに辿りつかねばなりません。もちろん全てがそのような解法を求めているわけではなく、discourage O from Vingなど、語法から判断しやすい問題も含まれています。語彙力の高い生徒にとってはほぼ問題ないでしょう。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…8問中6問以上
他教科を得点源にしたい受験生…8問中4問以上

【第2問】(難易度:やや易) 

短い文章からなるパラグラフから、不要文を削除する問題です。2題出題されています。テーマは「日本の医療制度の問題点」「外国人患者への対応と留学経験との関係」と、いずれも医療関連の話題で、一見難しそうに見えます。しかし、削除すべき文は、前後の文意さえつかめれば唐突な流れの文となっているので、問題解答自体は難しくありません。見かけに騙されないように冷静に解答すれば2問とも正解できる可能性は十分あります。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…2問中2問正解
他教科を得点源にしたい受験生…2問中1問以上正解

【第3問】(難易度:標準~やや難) 

「砂糖摂取の脳機能への悪影響」を扱った長文のなかで、比較的長めの語句群を並び替える語句整序問題が4題出題されています。長文の内容が専門的で、どのようなことを研究者たちが行っているかをうまくイメージしないと非常に難しく感じられると思います。必ずしも全文を理解する必要はありませんが、前後の内容や言い回しには注意する必要があります。また、選択肢一つひとつが、他大学で出題される語句整序問題のものよりも長く、解きづらさを感じるかもしれません。過去問を何年分か解いて、久留米大学医学部独特の問題形式に慣れておくとよいでしょう。基本的な解き方は一般的な語句整序問題と変わりませんが、正答にたどり着くには時間は必要でしょう。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…4問中3問以上正解
他教科を得点源にしたい受験生…4問中2問以上正解

【第4問】(難易度:標準) 

「バンドエイドの発明」がテーマの長文です。問題は、空所補充が6問、内容一致問題が8つの選択肢から3つ本文内容と合致するものを選ぶ形式です。空所補充問題はどれも語彙問題ですが、比較的選択肢の絞りやすいものが多く、医学部受験に必要な語彙がついていればほぼ問題なく解くことができます。内容一致問題については、本文中で使われている語句がやや専門的で難しく見えるかもしれませんが、落ち着いて主旨をつかめれば、それほど難しくはありません。冷静かつ丁寧に選択肢の誤りを探せれば、ほぼ答えが見つかるので、全問正解することも可能です。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…語彙6問中4問以上、内容一致3つ全て正解
他教科を得点源にしたい受験生…語彙6問中3問以上、内容一致2つ正解

【第5問】(難易度:標準) 

「神経疾患の前兆としての嗅覚障害」がテーマの長文です。設問は、本文に書かれてある順に並んでいるので解きやすいです。ただし、ここまでの大問と同様に、医療的に難しい(と一見思える)テーマと語彙ゆえ、落ち着いて問題に取り組む必要があります。解き方としては、基本的には、正答の根拠となる該当箇所を本文中から探して、選択肢とその部分とを照合する作業が中心となります。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6問中5問以上正解
他教科を得点源にしたい受験生…6問中4問以上正解

【第6問】(難易度:標準) 

前半は、短めの日本語の文章を読み、それを30語程度の英語でまとめる英作文で、後半は、短めの英語の文章を読み、それを50字程度の日本語でまとめる要約問題です。

前者の英作文は、書かれている日本語の文章自体は平易ですので、不要な箇所(譲歩や具体例)を削り、書き手の要旨をつかむことはすぐできるでしょう。ただ、要約する際に、30語という制限が少しきつく感じられるかもしれません。与えられた指示が「この職員の職務内容」とあり、冒頭で簡単に「音楽療法士」と肩書が示されたあと、一つの具体事例が述べられています。まとめの英作文では、肩書を短く紹介し、事例を手際よくまとめる必要があります。

後者の要約問題は、英作文と同じ要領で、不要な箇所を削り、重要な骨子をうまく抜き出して50字程度の日本語でまとめます。こちらは、英文の内容は「月と睡眠の関係」で最終的に記事が伝えたいことは平易ですが、語彙や言い回しが特に前半は難しくなっています。ただ、前段は話題への導入であり、後段も実質的には”But”以降が書き手の主張と見抜ければ、それ以降をまとめればよいだけです。あまり文章の体裁に惑わされず、ディスコースマーカーを手掛かりに主旨を捉えることを心がけましょう。

≪2022年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…英作文70%以上、要約満点を目指す
他教科を得点源にしたい受験生…英作文50%以上、要約7割を目指す

【総評】

医療的な内容を含む文章が多い出題となっていますので、日ごろから新聞や雑誌などで医療情報に触れておき、背景知識を強化しておくと解きやすさが増すでしょう。また、全体的に語彙レベルが高めなので、標準的な単語帳を終えた後は、もう一段階レベルが上の単語帳や、資格試験(英検準1級程度)で問われるレベルの語彙習得に挑戦しておけば、ますます解きやすく感じられるはずです。

長文の内容を問う問題(内容一致を含む)は、一定レベルの語彙力さえクリアしておけば、比較的簡単に正答にたどり着けるものが多いので、選択肢と本文の根拠となる該当箇所とを粘り強く照合しましょう。

全体として、英語が得意な受験生は高得点を目指せます。80点以上をとることも十分可能です。一方で、他科目を得点源にしたい受験生も、難しそうな語彙問題や英作文などにはある程度見切りをつけて、そのぶん作り出すことのできた時間を内容一致問題の選択肢の検討などに使えれば、60点ほどは十分得点可能でしょう。そこに届かない場合には、解き方の問題ではなく、語彙力をはじめとした英文読解の基礎力が不足している可能性がありますので、まずは語彙力強化を心がけてください。

まとめ

というわけで、今回は久留米大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:吉田 恒

  • 役職
    英語科統括/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    25年
  • 出身大学
    京都大学文学部
  • 特技・資格
    英検1級、TOEIC満点※3~4年前
  • 趣味
    読書・音楽を聴く・自転車(休眠中)など
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    貴志祐介か小川洋子の本を読んで下さい

受験生への一言
京都医塾には個性的で優秀な英語の先生が揃っています。英語が苦手な人、どうやっても英語の成績が上がらない人、英語の勉強法が分からない人、そんな皆さんに来て頂きたいです。