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2022年度久留米大学医学部の生物過去問対策・分析

2022年度久留米大学医学部の生物過去問対策・分析

京都医塾生物科です。

このページでは「久留米大学医学部の生物」についての過去問分析コメントを紹介します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“久留米大学医学部”の受験を考えている方
・“久留米大学医学部の生物がどのような問題か知りたい”という方

にオススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2022年度 

形式:記述式
時間:理科2科目120分
配点:理科2科目200点

出題の傾向と特徴

 記述式で文章は単文~100字程度まで。記号式、語句記入、計算も出題されるが図表の描画はありません。教科書レベルの知識があれば、4分の3ほどの問題には対応可能です。しかし盲斑の位置を答えさせたり成人と胎児の酸素解離曲線の差を説明させたりというように、普段から医療ないしは人体に興味を持っていないと知らないような内容を問う問題も出題されています。

【頻出の出題単元】

 細胞・代謝・遺伝子といったミクロ分野、体内環境・動物の反応などの人体に関わる分野の出題頻度が高くなっています。

【制限時間に対する問題量】

 時間が不足するということはないと思われますが、問題によって難度や分量が違うのでまず全体を俯瞰して解きやすい問題から素早く解いていくことが重要です。

2022年度(最新の過去問)の分析

 さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。
 

【第1問】 

 PCR法を素材とした問題ですが、各段階の温度をどのように決定するか?という詳細に踏み込んだやや難度の高い出題になっています。基本的にはDNAの構造や相補的塩基対の形成に関する知識を利用して解くことができますが、例えば「温度が低いほど塩基対が形成しやすくなる」という事実から「温度が低いほど誤った位置にプライマーが結合してしまうので目的の長さ以外のDNAが増幅される」・「温度が高いほど塩基対が形成されにくくなるのでDNAの増幅が起こりにくくなる」という2つの現象を思い描き、高温と低温の中間に最適温度があることを理解しないと正解には至りません。このような実験とその結果の持つ意味を素早くとらえられるように類題演習を行っておきましょう。

【第2問】 

 2種の自己免疫疾患の起こる仕組みについての出題です。どちらも受容体に対する自己抗体が作られるのですが、バセドウ病では自己抗体が受容体に結合する結果甲状腺の活動が昂進するのに対して、重症筋無力症ではアセチルコリン受容体に自己抗体が結合して受容体が抑制されるという、逆の作用が起きていることを理解しないと正解には至りません。もちろん、ホルモンの作用・負のフィードバック調節・バセドウ病の症状など基本事項の理解が必要であることは言うまでもありません。基礎知識の確認と類題演習を重ねておきましょう。

【第3問】 

 第1問・第2問に比べると難度の低い問題となっています。昆虫の気管呼吸は中学校でも学習します。各種動物の基本的な体のつくり、呼吸法、体液の循環、神経系などは理解しておきましょう。問3のような問題では「肺胞で結合した酸素に対する割合」なのか「ヘモグロビンが結合できる最大量に対する割合」なのかを常に注目するようにしましょう。問4は胎児ヘモグロビンの性質ですが、子宮内という環境や母親から酸素・養分をもらって発育するという状況を考えると正解に達するのは難しくないでしょう。

【第4問】 

 目の構造と機能についての出題です。図がないので、各部の名称を記入するときには簡単な図を描くといいでしょう。「脈絡膜が暗い理由」なども尋ねられているので単に各部の名称を暗記するのではなく、そのはたらきの理解が必要です。また遠近調節や明暗順応という基本的な目の調節機構についてかなり細かく答えさせられています。同様な設問に対応できるように教科書レベルの知識は整理しておきましょう。落ち着いて解けば困難ではありません。

【総評】

 大問ごとに難易度の差があり、ミクロ系(第1問・第2問)はマクロ系(第3問・第4問)より難しくなっています。ミクロ系については実験考察・記述問題が多いので類題を演習して実験操作の「意味」を素早く理解できるようにしましょう。また理解した内容を正確な文章で記述する練習も必要です。マクロ系に関しては今年の出題では教科書内容以上の知識は不要です。むしろ細かい語句や各部の構造を問われますから、それらをテキストに当たって整理し確実に暗記しておくことが重要です。

≪2022年度の目標値≫

生物を得点源にしたい受験生… 8割
他教科を得点源にしたい受験生… 7割

まとめ

 というわけで、今回は久留米大学医学部の生物についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

 京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。