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順天堂大学医学部の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語編】

順天堂大学医学部の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語編】

 

京都医塾英語科です。
このページでは「順天堂大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“順天堂大学医学部”の受験を考えている方
・“順天堂大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 

形式: マークシート形式
制限時間: 80分
配点: 200点

出題の傾向と特徴

2017年以降では、出題形式は長文4題、自由英作文1題の形式で固定されています。同様の出題構成が今後も続く可能性があります。

【2021年度の出題形式】

① 長文問題(4題)
② 自由英作文(200語程度)

【制限時間に対する問題量】

大問1~3は800語前後の長文3題、大問4は600語程度の長文1題です。それに加えて、自由英作文は200語程度書くことのできるスペースが与えられていますから、一見したところ、時間に対して分量は多く感じられかもしれません。ただし、問題の難易度自体はやや易しいものから標準的なレベルのものでまとまっており、処理速度がある程度早ければ解ききることも十分可能です。英語が苦手な受験生は大問1つ分を「捨て問」として、解きやすい問題を素早く拾っていくことで他の科目での挽回を期待してもいいでしょう。ただし、他科目と比べると英語の配点は高く設定されているので、やはり英語対策(単位時間当たりの処理速度を上げる学習)にある程度時間を割いておくほうが、全体としては得点の底上げをしやすくなるはずです。

2021年度(最新の過去問)の分析

さらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:易) 

宇宙開発企業スペースXのCEOイーロン・マスクの、宇宙開発に関するインタビュー。2017年以降、第1問はインタビュー形式の長文が出題されるので、会話形式の問題が苦手な人は対策をしておく必要があります。また、宇宙開発についてのイメージが全然わかない人にとっては取り組みづらい内容かもしれませんが、ここで語られている内容はテレビニュースや新聞などでも目にするものであるので、受験生にもとめられる一般常識があれば十分対応できるでしょう。問いは、本文中で下線が引かれた語句と意味の近い語句を選ぶ問題、内容一致問題からなります。前者は間違いの選択肢に紛らわしさがないので、直感的に答えを選んでいけるレベルです。後者も、それほど長くない文章のなかから根拠となる箇所を手際よく探せば、間違う可能性は低いです。英語が非常に得意な人は落ち着いて解くことができれば9割以上の得点も望めるでしょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…9割以上
他教科を得点源にしたい受験生…7割

【第2問】(難易度:易) 

前頭側頭型認知症frontotemporal dementiaがテーマの長文。内容は、医学的・専門的な部分も多分にあるものの、難易度や専門性の高い語については豊富に注がつけてあり受験生にたいする配慮がなされています。また、設問自体も平易であるため、大問1と同様、本文中に対応する根拠となる箇所を見間違えなければ、高得点が狙えます。1点注意するとすれば、長文の冒頭がMr. Karger氏の個別具体的な例から入るため、状況をつかむのに少し手間取る可能性があることぐらいです。しばらく読み進めるうちにMr. Kargerが患っている病気について見えてくるはずです。場面を思い浮かべながら読むのが苦手な人は、最初で引っ掛かりをおぼえて躓かないよう、すこしこらえて後ろまで読んでいってほしいです。とはいえ、全体的な設問は平易ですから、英語の苦手な人も、全文を読み通そうとせずに関係のある箇所だけを拾って効率よく解答していけば得点自体はさほど悪くならないはずです。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…9割以上
他教科を得点源にしたい受験生…7割

【第3問】(難易度:やや易~標準) 

先延ばしする習慣と健康との関係がテーマの長文です。一見悪いイメージのある「先延ばし」について、プラスの側面とマイナスの側面の双方に言及しながら話が展開します。語彙レベルは高くなく、また論旨も比較的追いやすいため高得点が狙えます。問題形式は、大問2とほぼ同じ構成です。大問2と同様、最後に文補充問題があるため、文章を読むまえに、補充すべき文を先に読んでおくと解きやすくなるでしょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…8割
他教科を得点源にしたい受験生…6割以上

【第4問】(難易度:やや易) 

進化論から見る顎鬚(あごひげ)の効用がテーマの長文です。出題形式は前3問をほぼ踏襲していますが、文補充問題が2問になっているところが大きな違いです。やはり補充すべき文を先に読んでおくと解きやすいでしょう。語彙レベルも高くありませんし、語句注も豊富です。仮に、この長文を解きづらく感じる受験生がいるなら、beard「顎鬚(あごひげ)」という語彙がわからない人かもしれません。この語には注がついていないため、Full, luxurious beards are a sight to behold, and they may also serve a practical purpose – softening the impact of a punch to the jaw.という冒頭の文から顎鬚のことだと見当をつけられない場合、苦戦する可能性があります。beardがわからない受験生はjawもなおさらわからない可能性が高いです。とはいえ、beardは大学受験生なら知っておくべき語彙に含まれているはずです。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…9割
他教科を得点源にしたい受験生…7割

【第5問】(難易度:標準) 

「医療分野以外で、人類にとって生活を有益なものになるように世界を変える力を与えられるとしたら、どんなことを変えたいか、理由とともに書け」という自由英作文です。19.8cm×22行の解答欄が与えられています。1行あたり10語程度書けると仮定すると、200語前後の英作文を求められていることになります。比較的書きやすいテーマではあるものの、普段から一定の速度で正しい英文を書く練習をしていない受験生にとっては、分量が多く感じられるかもしれません。大問1~4までをどれだけ効率よく解き進めてこられたかが鍵にもなります。採点は、質・量の両方の観点から行われると明記されているため、最低でも20分、できれば25分はかけて、段落構成にも配慮し、答案を作成しましょう。採点者にとって、読みやすい(採点しやすい)解答を心掛けましょう。
≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…8割
他教科を得点源にしたい受験生…6割以上

【総評】

制限時間に対して一定の分量はあるものの、長文問題については小問一つひとつの難易度は平易だと感じられるものが大半です。これらで取りこぼさない正確さが問われています(これだけ平易だと、合格点に達する人のうち大半が間違いようのないレベルなので、数問のミスが大きく合否を分ける可能性があります)。同時に、ディスコースマーカーやパラグラフ構成に注意して、必要な箇所を効率よく読み進める速読力も必要でしょう。これらを駆使してある程度の速度と得点を長文問題で稼ぎ、時間的な余裕を十分確保したうえで英作文に進むことができれば、英語の得意な人は8割後半を超える高得点も十分望めます。

まとめ

というわけで、今回は順天堂大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

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投稿者:野口 剛

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    9年
  • 出身大学
    京都大学教育学研究科
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    愛媛県
  • お勧めの本
    最高の任務

受験生への一言
ぜひ、京都医塾へお越しください。