ホーム » 京都医塾公式ブログ » 医学部入試問題分析 » 防衛医科大学校の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語記述式編】

京都医塾公式ブログ

防衛医科大学校の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語記述式編】

防衛医科大学校の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語記述式編】

 

京都医塾英語科です。

このページでは「防衛医科大学校の英語(択一式)」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“防衛医科大学校”の受験を考えている方
・“防衛医科大学校の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

特に令和4年度より試験方式に変更があるので概要の項目は必読です!

◆概要◆

【形式・制限時間・配点】2021年度までの試験方式
形式: 記述式
制限時間:英100分(記述式)
配点: ?点(全科目非公表)

【注意事項】令和4年度入試より試験方式に大きな変更が発生!!

形式:記述式 ⇒ 択一式・記述式が複合(どちらの方式からも出るようです)

試験時間:英語100分(記述式) ⇒ 英語(択一・記述複合)90分

(参考:数学90分、国語(古文・漢文除く)45分、理科2科目120分、小論文45分)

配点:?点(全科目非公表)

【英語の得点率目安】
・英語を得点源にしている受験生の得点率…75~78%

・合格者の平均得点率(予想)…64~68%

・合格最低得点域(予想)…55~60%

◆出題の傾向と特徴◆

※以下の情報は令和4年度より変更される可能性があります

【恒例の出題形式】

※大問に大きな変移は見られませんが、小問は変わることがあります

記述式に関しては大問が6つ出題され、その内訳は

大問1:問1空所補充型並び替え問題(1問)

     問2下線部和訳(1問)

     問3下線部解釈(1問)…40字の文字数制限有り

大問2:パラグラフの並び替え(1問:おそらく完答)

大問3:問1並び替え問題(1問)  ※問題文に詳細な指示があることが多い

     問2空所補充(5問)…選択肢有り

     問3下線部和訳(1問)

大問4:問1パラグラフ挿入問題(1問)

問2英作文型空所補充(1問)

問3空所補充(1問)…選択肢無し

問4並び替え問題(1問)  ※問題文に詳細な指示があることが多い

大問5:問1空所補充(5問)…選択肢有り

     問2空所補充(5問)…選択肢有り

大問6:問1パラグラフ挿入問題(1問)

     問2空所補充(8問)…選択肢有り

     問3空所補充(1問)…選択肢無し

の計35問が問われます。

【頻出の出題単元】

文法の観点からは、総合力が試されるため単元を絞った学習はしないほうがいいでしょうが、関係詞や分詞、接続詞は特に入念に見直しておくとよいでしょう。ただし、語彙・慣用表現は難易度の高いものが多く出題されますので、語彙力の強化を徹底しましょう。医学的な専門用語も出題されています。標準的な語彙力では文章の解釈ができなくなる可能性が大いにあります。空所補充にせよ、下線部解釈・和訳にせよ、パラグラフリーディング(段落全体から文意を推測する)のスキルが必要となりますので、普段の学習から「その段落では筆者が何を伝えたがっているのか」等を意識する必要があります。

【制限時間に対する問題量】

旧式では制限時間が100分と比較的長く、問題数、文章ともに標準的なので時間配分は余裕をもって設定できます。ただし、新形式より90分に時間が短縮されるので、択一式にいかに時間をかけず、且つ記述式で効率よく本文を読めるかが重要になってくるでしょう。語彙力がなければ本文解釈に詰まり、時間が足りなくなる可能性もあるので注意してください。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の大まかな傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:やや難)

問1前後の文章では、「アルキメデスが残した2つの引用句(quotes)」を引き合いに出し、下線部を解かせようとしています。前後文自体を直訳することは難しくないのですが、受験英語の文脈では対応しにくいsubmergeという語が選択肢に登場し、且つandを使用しなければならないため、普段から文章をざっくりと訳しながら解いている受験生ほど核心がつかめず失点してしまうでしょう。しかし、明らかに分かるものから品詞を捉え、構文を取ったうえでアプローチすると、訳す必要もなく解くことができます。基本に忠実な解法が求められていると言えますね。下線訳や下線解釈でも語彙が難しく、人によっては見たことのない専門用語に挑まなければなりません。そこで必要となるのがパラグラフリーディングの視点です。段落ごとでは大きく話が変わることはなく、一文目の内容をそれ以降で詳しく説明しているという基本構造を捉えられると、文章中のわかる単語から下線部の単語を推測することができます。普段から意識して段落の構造を把握する練習をすることが肝要です。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…3問中2問
他教科を得点源にしたい受験生…3問中1問

【第2問 段落を並び替える問題】(難易度:標準)

段落を文意に合わせて並び替える問題は医学部受験ではあまり見ないかもしれませんが、大問1と同様にパラグラフリーディングのスキルが求められるので英文読解の基本的な視点を習得すれば解くことができます。特に、文章や段落の意味関係を表す語(ディスコースマーカー)や指示語、冠詞(特にthe)などに着目することで、ただ訳しながら読むのとは理解に雲泥の差が出ます。合格するためには英語が苦手な人でも避けては通れない、習得必須の解法でしょう。「67%」や「NBC」などの具体表現も出ていますがそれだけでは段落はとらえられません。「In this case」が何を指しているのか、この段落の具体例はどの段落を説明しようとしているのか、といった広い視点で文章にアプローチしてみましょう。ちなみに、関西大学に類似した大問があるのでこの形式が苦手な方は練習教材に活用してください。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…1問中1問
他教科を得点源にしたい受験生…1問中1問

【第3問】(難易度:標準)

 本年の大問6つの中では最も解きやすい大問です。問1の並び替えは訳出からアプローチする必要はなく、構文を完成させることを意識すれば自ずと答えにたどり着けます。ただし、onlyは修飾する対象により置くべき位置を考えなければならないので注意しましょう。問2の空所補充は、まず確実に埋められるものから解いていきましょう。アはplayの目的語となる名詞を、イはandによる並列関係から、というように訳に頼りすぎずに関係性や品詞からアプローチするといいでしょう。問3の下線訳は事実上の指示語特定問題です。指示語に対して、普段から「なんとなく前のほうにあるものから、訳が通りそうなものを選ぼう」という雑な考えで取り組んでいると医学部レベルの問題にはまず太刀打ちできません。例えば今回であれば、まずは「theyの候補が、指示語は繰り返しの言葉なのでテーマに関連しやすいから本文中で重要性の高い語句だ」という視点からravensではないかと考え、「じゃあカラスがこの文章でしてきたことってこれだったよな」というように論理的な根拠に基づいて特定するようにしましょう。普段の学習からどれだけ訓練を重ねてきたかが明確になってしまいますね。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…7問中6問

他教科を得点源にしたい受験生…7問中5問

【第4問】(難易度:難)

 10段落構成の文章に対して、最後の3つの段落に問題を集中させるという、一見どこから読み進めたらいいのか悩んでしまいそうになる構成ですが、まずは落ち着いて問題を見てみましょう。問1のパラグラフ挿入問題は挿入するパラグラフの役割を考えてみると、具体的な単語を使っているように見えて、実は内容は抽象的で捉えどころがありません。ということは、この段落の内容を具体的に説明・展開してくれる段落を探してみるといいですね。問2と3は自信を持って解き切るのが難しいかもしれませんが、選択肢がないからといって諦めず、空所がある段落の内容に関連する他の段落を探して精読してみましょう。並び替えはこの間と同じアプローチで確実に得点しましょう。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…4問中2問

他教科を得点源にしたい受験生4問中2問

【第5問】(難易度:標準)

 問1の選択肢にあるheftyは見たことがない受験者のほうが多いでしょう。「非常に重い/強烈な」などと訳されますが、このようなわからない語句に固執するよりも他の選択肢から積極的に考えてみましょう。実際、(1)、(2)、(4)、(5)は見た瞬間に品詞がわかるはずです。選択肢の知っている語句の品詞を考えると、一つまた一つと候補が絞られていきますよね。問2の空所補充は、パラグラフの文意をまとめながら解く問題です。選択肢が簡単だからと安心せずに、集中して話の流れを整理しましょう。gunとshellの位置さえ把握できれば残りは容易く正解できます。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…10問中7問

他教科を得点源にしたい受験生…10問中6問

【第6問】(難易度:標準)

 問1は、第4問の問1と解く流れは一緒ですが、挿入文の役割がかなり具体的ですね。ということはこの段落が他の段落を説明している可能性が高いと考えて読み進めるといいでしょう。問2はmuzzleがわからない人が出てしまうかもしれませんが、文章が銃に関する話が出てくるので推測も可能とは言えます(筆者はFPSが大好きなのでゲームの知識がこんなところで役立つのかと驚きました笑)。残りの選択肢は平易なので得点できないと他の受験生と差が開くことになるでしょう。問3は動詞の補充ですが、直前のasが「ように」と訳す関係代名詞(主節全体を先行詞として受ける)であることが見抜ければ、「dogsに何をしないと繰り返し言っていたか」を探ることで解くことができます。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…10問中8問

他教科を得点源にしたい受験生…10問中7問

【総評】

防衛医大の記述式は文章全体を考えれば、内容が分からなくなるほど難しいとは言えません。かといって時間に余裕を持って解くためにはパラグラフリーディングが欠かせませんし、とにかく使われている語彙が難しいことが多いので、普段からよく分からない単語が出てきても文脈から推測したり、あるいは分からないところは飛ばしながらでも読んでいける訓練をしておくべきでしょう。他の大学で練習教材としておすすめなのは大阪市立(理系)の大問1・4や順天堂の大問3・4です。解法を確実なものにするために活用してください。

まとめ

というわけで、今回は防衛医科大学校の英語(記述式)についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:吉田 恒

  • 役職
    英語科統括/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    25年
  • 出身大学
    京都大学文学部
  • 特技・資格
    英検1級、TOEIC満点※3~4年前
  • 趣味
    読書・音楽を聴く・自転車(休眠中)など
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    貴志祐介か小川洋子の本を読んで下さい

受験生への一言
京都医塾には個性的で優秀な英語の先生が揃っています。英語が苦手な人、どうやっても英語の成績が上がらない人、英語の勉強法が分からない人、そんな皆さんに来て頂きたいです。