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自治医科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

自治医科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

 

 京都医塾化学科です。

 このページでは「自治医科大学の化学」についての過去問を分析します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“自治医科大学”の受験を考えている方
・“自治医科大学の化学がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 
形式:マークシート方式
時間:理科2科目で80分
問題数:25題
配点:25点

出題の傾向と特徴(6年分)

 2016年度以降の6年分について、分野別の傾向をまとめます。

【理論化学】

 毎年、10題前後、出題されています。出題テーマは
・「蒸気圧降下、水溶液の冷却曲線、実在気体、浸透圧、分子の形と極性、濃硫酸と希硫酸の性質、燃料電池、圧平衡定数、化学平衡の移動、酸化アルミニウムの融解塩電解 (2021)」
・「周期表、コロイド、塩化ナトリウム水溶液の蒸留、熱化学、鉛蓄電池、固体の電気伝導性、酸化還元滴定 (2020)」
・「面心立方格子、炭素のアモルファス、水上置換と水蒸気圧、ルシャトリエの原理、硫化物沈殿と溶解度積、混合水溶液のpH、燃料電池、ヨウ化カリウム水溶液の電気分解 (2019)」
・「硫酸銅(Ⅱ)の溶解度と再結晶、コロイドの電気泳動と凝析、混合気体の溶解度、タンパク質水溶液の浸透圧と分子量、理想気体と実在気体、酸化還元反応の量的関係、アルミニウムと塩酸の反応、鉛蓄電池、反応速度式、 (2018)」
・「加熱による物質の状態変化、周期表、コロイド溶液の分類と性質、混合気体の分圧と全圧、イオン化傾向、電気分解、平衡定数の温度による変化、理想気体と実在気体、緩衝液の性質、酸化数、 (2017)」
・「同位体と同素体、配位子と非共有電子対、単位格子の充填率、希薄溶液の性質、一酸化炭素と酸素の燃焼反応、イオン結合と共有結合、アンモニアの合成反応、混合気体と平均分子量、硫酸銅(Ⅱ)水溶液の電気分解、気体発生反応と気体の密度、沸点と水素結合 (2016)」
です。

(講評)

 理論分野内での出題の偏りはなく、毎年満遍なく出題されています。苦手分野を作らないことと、教科書の例題レベルの知識は即答できることが要求されるので、受験本番までに基本を計画的に習得していきましょう。また、計算問題に時間を取られると、制限時間内に解き切れないので、計算問題については手早く解き切るための訓練を早期から積んでいきましょう。

【無機化学】

 毎年、5題前後、出題されています。出題テーマは
・「アンモニアソーダ法、金属イオンの系統分離と沈殿物の性質、カルシウムとマグネシウムの性質 (2021)」
・「ハーバーボッシュ法、金属元素 (2020)」
・「ハーバーボッシュ法、オストワルト法、アルミニウムの製法と性質、アルカリ土類金属 (2019)」
・「NOとNO2の性質と反応、同素体の性質と反応、金属イオンの分離、鉄イオンの反応と検出、アンモニアソーダ法 (2018)」
・「ナトリウムとその化合物の反応 (2017)」
・「肥料の硫酸イオンの定量、オストワルト法、遷移元素を含む触媒、金属と水および酸との反応 (2016)」
です。

(講評)

 出題数は多くありませんが、物質の工業的製法を中心に満遍なく出題されています。典型元素、遷移元素の単体や化合物の性質と製法を体系的に学習し、知識に穴がない状態を目指しましょう。

【有機化学】

 毎年10題前後、出題されています。出題テーマは、
・「フェノールと安息香酸の性質と反応、アセトアルデヒドと酢酸の性質と反応、有機化合物の組成式、マレイン酸の性質と反応、二糖類の性質と反応、合成繊維の製法、ポリビニルアルコールのアセタール化、ペプチドのアミノ酸配列、アミノ酸の性質と反応 (2021)」
・「単糖と二糖の性質、エステルの元素分析・加水分解、2-プロパノールの性質と反応、油脂の性質と反応、RNAとDNAの構成要素、アミノ酸の性質と反応、タンパク質の構造と性質、ベンゼン環を含む付加重合体、タンパク質の三次構造、アミノ酸の検出 (2020)」
・「炭化水素の元素分析、アルコールの性質と反応、サリチル酸メチルとアセチルサリチル酸、二糖類の加水分解、デンプンの構造と性質、アミノ酸とタンパク質の呈色反応、ナイロン66の重合反応、ヨードホルム反応、フタル酸の脱水反応、ポリエチレンテレフタレートの単量体、エチレングリコールの性質、 (2019)」
・「構造異性体、エタノールの反応経路、油脂のけん化価とヨウ素価、トレハロースの還元性、芳香族化合物の性質と反応、ペプチドの検出反応、合成樹脂・繊維、ゴム、高密度と低密度のポリエチレン、高分子化合物の単量体 (2018)」
・「フェノール類の検出、サルファ剤の特徴、熱硬化性樹脂、ポリプロピレンの燃焼反応、アミノ酸の特徴、還元等と加水分解、ペプチドのアミノ酸配列、グリシンの電気泳動 (2017)」
・「ヒドロキシ酸の元素分析と構造決定、油脂のヨウ素価と光学異性体、ポリビニルアルコールとビニロン、酵素と基質、アミノ酸とポリペプチド、陽イオン交換樹脂によるアミノ酸の分離、天然ゴムと合成ゴム、イオン交換膜による海水の濃縮 (2016)」
です。

(講評)

理論分野に次いで出題が多い分野です。各物質の性質、反応、検出は確実に抑えておきましょう。また、各物質同士の相互関係も重視されるので、反応系統図をきちんと埋められるように、基本的な物質についてはしっかりと押さえておきましょう。さらに高分子化合物では糖類、ペプチドの出題が多くみられるので、これらの対策もしっかりと行っておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

 理科2科目で80分という他の大学には見られない短さなので、25問の問題をいかに手早く解き切れるかが合否を分けます。基本的な知識については即答できるようになるまで繰り返し定着を図るとともに、計算問題については、計算過程で時間を取られないように日々の学習から制限時間を意識した学習を行っていきましょう。場合によっては時間のかかりそうな問題は後回しにしたほうが良い場面もあるので、そうした問題に見切りをつける練習も直前期には行っていきましょう。

まとめ

 一問一答形式で25問という特殊な出題形式なので、出題形式に慣れていないと実力が十分には発揮できないでしょう。また、制限時間がかなり短いので、その意味でも過去問を使った練習は必須です。各問題の難易度自体は高くないものがほとんどなので、基本的な問題に素早く解答する訓練を日々の学習に取り入れていきましょう。

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投稿者:安達 康明

  • 役職
    化学科統括/化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    8年
  • 出身大学
    京都大学工学部
  • 特技・資格
    バレーボール
  • 趣味
    ゲーム、アニメ鑑賞
  • 出身地
    岡山県
  • お勧めの本
    ビーカーくんとそのなかまたちシリーズ

受験生への一言
なぜその思考が必要なのか、なぜこの解法なのかをキチンと理解できれば点数は必ずついてきます。その手助けをしていくことを最優先で考え、授業を進めています。合格のために出来るサポートは全力でやります。