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川崎医科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

川崎医科大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【化学編】

 

京都医塾化学科です。

この記事では「川崎医科大学」の化学の過去問を分析します。

・“医学部受験に興味がある”という方

・“川崎医科大学”の受験を考えている方

・“川崎医科大学の化学がどのような問題か知りたい”という方

におすすめです。興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より)

形式:マーク式

時間:理科2科目で120分

大問数:3(※実際は小問集合)

配点:75点

出題の傾向と特徴(6年分)

【全体の傾向】

出題形式はマーク式の小問集合で、理論:有機:無機=55:35:10くらいのバランスで出題されている印象です。非常に基礎的な問題が多いですが、毎年1問程度、高分子など有機化学の発展的な内容を含む大問が出題されています。

以下、2016年度以降の6年分について分野別の傾向をまとめます。

【①理論化学】

毎年、全体の55%程度の分量が出題されています。

出題テーマは

・「分子の極性と用語、結晶の分類、炭素の同位体、元素の分類と価電子、物質量の比較(単位変換・密度)、濃度の変換、酸化銀電池、中和反応の滴定曲線、化学平衡、過酸化水素水の酸化還元反応、水のイオン積とpH、酸化還元滴定、エタンの生成熱、溶液の凝固点降下と会合度(2021)」

・「原子の電子配置、物質量の新しい定義、溶液の濃度、溶液のpH、溶液の調製、中和の量的関係、酸化数、イオン化傾向、沸点上昇、浸透圧、ボルン・ハーバーサイクル、塩の分類と液性(2020)」

・「同位体の存在比、元素と単体、共有結合、分子の極性、溶液の濃度、モル分率、実験器具、中和滴定、酸化還元反応、混合気体の圧力、熱化学方程式、蒸気圧曲線、電気分解、弱酸の電離度、アミノ酸の電離平衡と緩衝液(2019)」

・「イオン結合、イオンの名称、単体の性質、原子の構造、電解質、水の状態図、塩の水溶液の性質、酸化還元反応、ルシャトリエの原理、電離平衡(2018)」

・「分子の結合、元素の周期律、混合物の分離、錯イオンの配位子、原子量、原子番号と質量数(人工元素とα崩壊)、中和滴定曲線、イオン化傾向、熱化学方程式、ルシャトリエの原理、反応速度、浸透圧(2017)」

・「化学史、原子の構成、イオン式、酸化還元反応、電子配置、リン酸のモル濃度、化学反応式の量的関係、分子の極性、イオン結晶、混合気体、コロイドの性質、メタノール燃料電池、化学平衡(2016)」

です。

(講評)

小問集合であり、非常に基礎的な理解を問う問題が多いです。発展的内容を題材にした問題も毎年1問程度出題されますが、題材に惑わされず、注意深く問題文を読めば、基礎知識で容易に解ける問題がほとんどです。出題範囲は広いため、理論化学の全範囲について基礎理解を徹底することが必要です。また、難易度は低いものの計算問題が多いため、典型問題に対してすばやく確実に立式・計算を行う力が求められます。

【②有機化学】

毎年、全体の35%程度の分量が出題されています。

出題テーマは、

・「有機化合物の用途と電子対の数、芳香族化合物の反応(フェノールの製法)、有機化合物の立体構造、エステルの構造決定、界面活性剤(2021)」

・「アルケンの酸化開裂、アセチレンの反応、ベンゼンの反応、酵素の性質(2020)」

・「アミノ酸の電離平衡(等電点)と緩衝液、炭化水素の反応、高分子化合物の構造、アセチルサリチル酸の反応と性質、エステル結合とRNAの構造(2019)」

・「構造決定、エステルの加水分解、セッケンと合成洗剤、アドレナリンの反応、芳香族化合物の分離、イオン交換樹脂、アミノ酸と脱水縮合(2018)」

・「芳香族化合物の反応、芳香族化合物の構造決定、エステル、有機化合物の推定、芳香族化合物の分離、アミノ酸とタンパク質(2017)」

・「元素分析と分子式、異性体、アルコール発酵、アミノ酸の分類、単糖類の立体異性体(2016)」

です。

(講評)

知識問題・構造決定・芳香族化合物の分離などは、いずれも基礎~標準レベルであり、時間をかけず確実に得点したいところです。毎年1題程度、主に高分子の分野から発展的内容を含む大問が出題されていますが、題材や長い文章に惑わされず、問われている内容をしっかり読み取れれば、基礎的な知識や解法で解ける問題となっています。

【③無機化学】

毎年、全体の10%程度の分量が出題されています。

出題テーマは

・「試薬の性質と保存法、2族元素の性質、金属イオンの系統分離(2021)」

・「銅とその化合物の性質、金属イオンの反応(2020)」

・「気体の製法、金属イオンの系統分離(2019)」

・「オキソ酸、ハロゲンの反応、オストワルト法(2018)」

・「アセチレンの製法と量的関係、アルミニウムの融解塩電解、イオンの推定、塩化水素の製法、塩素の製法と量的関係(2017)」

・「気体の製法、ナトリウムの反応(2016)」

です。

(講評)

物質の性質・製法や金属イオンの系統分離など、基礎的な内容を問う典型問題です。細かい知識は問われないので、基礎事項を確実に理解し、即答できるようにしておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

基礎問題は手際よく対処して、文章題に時間を残しておきましょう。全体的に基礎~標準レベルの問題であり、余裕をもって解き切り、計算間違いなどの見直しをしたいところです。

【まとめ】

1問1問は易しいレベルですが、制限時間内に確実に解答して高得点を取るためには、基礎知識の穴を作らず、典型問題の解法は即座に出てくるようにしておくことと、特に高分子の分野に関しては、ある程度発展的な内容が出題されても臆せずに対処できるように経験を積んでおくことが大切です。

京都医塾ではご相談・体験授業を随時募集しています。下記リンクからお気軽にお問い合わせください。

投稿者:神谷 遼太

  • 役職
    化学科講師
  • 講師歴・勤務歴
    3年
  • 出身大学
    京都大学農学部
  • 特技・資格
    マッサージ
  • 趣味
    ヴァイオリン、読書、将棋
  • 出身地
    大阪府堺市
  • お勧めの本
    『大気を変える錬金術 - ハーバー、ボッシュと化学の世紀』、『風の谷のナウシカ』

受験生への一言
現役のときは化学がキライでしたが、勉強し直して好きになりました。「なぜそうなるのか」がわかると、世界が変わって見えますよ。