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久留米大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語編】

久留米大学の一般入試の過去問対策・出題傾向まとめ【英語編】

 


京都医塾英語科です。

このページでは「久留米大学医学部の英語」についての過去問分析コメントを紹介します。
・“医学部受験に興味がある”という方
・“久留米大学医学部”の受験を考えている方
・“久留米大学医学部の英語がどのような問題か知りたい”という方
におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 
形式: マークシート式と一部記述式
制限時間:90分
配点: 100点

出題の傾向と特徴

2019年は下線部和訳や与えられた日本語をそのまま英作する問題が出題されましたが、それらは2020年以降無くなっています。2020年度入試からは、それらに変えて新たに、①不要文削除問題と、②簡単な日本語の文章を英語で要約する問題(語数30語程度)と、③短い英文の文章を日本語で要約する問題とが加わりました。2020年度、2021年度入試は下記の形式になっています。また、選択肢を含めて求められる語彙レベルは若干高めです。

【毎年恒例の出題形式】

①語彙問題

②不要文削除問題

③語句整序問題

④長文読解(2題)

⑤英作文

⑥日本語による要約問題

【制限時間に対する問題量】

一見たくさんの長文があるように思えますが、語句整序問題では全文を読む必要がありません。また、長文中の空所補充問題もその前後を読めば解ける問題のため、結果としては、見た目ほどの圧迫は感じません。ただし、語彙レベルは高めです。平均的な高校生が使う市販の単語帳には掲載されていないような単語も、本文や選択肢に注なしで入っています。ですので、語彙力が弱点の受験生は、読解や解答をするうえで苦労する可能性があり、結果として制限時間が足りなくなる、あるいは短く感じるかもしれません。

2021年度(最新の過去問)の分析

ここまでは近年の傾向を見てきましたが、ここではさらに踏み込んで、最新の入試問題を具体的に分析したいと思います。
※以下、過去問をお手元にご覧になるのが理想的ですが、過去問がなくても問題なくお読み頂けます。

【第1問】(難易度:標準~やや難) 

単文中の空所を4択の選択肢から埋める語彙問題です。問題文や選択肢に使われている単語を受験生が知らない可能性が高く、読める語を拾い読みして意味を推測したり、プラスやマイナスのニュアンスで判断したり、知っている単語を消去法で消したりと、単に知識だけではなく、合理的な推論をしたうえで答えに辿りつかねばなりません。もちろん全てがそのような解法を求めているわけではなく、at the mercy of ~「~のなすがままに」や、exert a powerful influenceなど、比較的すぐ解ける問題も含まれています。語彙力の高い生徒にとってはほぼ問題ないでしょう。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…8問中6問以上
他教科を得点源にしたい受験生…8問中4問以上

【第2問】(難易度:やや易) 

短い文章からなるパラグラフから、不要文を削除する問題です。2題出題されています。テーマは「日本におけるトリアージ」「日本における医療保険制度」と、いずれも医療関連の話題と、一見難しそうに見えます。しかし、削除すべき文は、前後の文意さえつかめれば唐突な流れの文となっているので、問題解答自体は難しくありません。見かけに騙されないように冷静に解答すれば2問とも正解できる可能性は十分あります。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…2問中2問正解
他教科を得点源にしたい受験生…2問中1問以上正解

【第3問】(難易度:標準~やや難) 

「人の皮膚細胞をラットの大脳に移植して機能回復させる実験」を扱った長文のなかで、比較的長めの語句群を並び替える語句整序問題が4題出題されています。長文の内容が専門的で、どのようなことを研究者たちが行っているかをうまくイメージしないと非常に難しく感じられると思います。また、選択肢一つひとつが、他大学で出題される語句整序問題のものよりも長く、解きづらさを感じるかもしれません。過去問を何年分か解いて、久留米大学医学部独特の問題形式に慣れておくとよいでしょう。基本的な解き方は一般的な語句整序問題と変わりませんが、正答にたどり着くには時間は必要でしょう。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…4問中3問以上正解
他教科を得点源にしたい受験生…4問中2問以上正解

【第4問】(難易度:標準) 

「AIを用いた脳腫瘍診断の正確さの改善」がテーマの長文です。問題は、空所補充が6問、内容一致問題が8つの選択肢から3つ本文内容と合致するものを選ぶ形式です。空所補充問題はどれも語彙問題ですが、比較的選択肢の絞りやすいものが多く、医学部受験に必要な語彙がついていればほぼ問題なく解くことができます。一方で、内容一致問題は、本文中で使われている語をわずかに入れ替えて誤答の選択肢が作られているなど、比較的細かいところまで注意して選択肢と本文とを照合する必要があります。雑な処理をして、「何となく本文にあった」というレベルで正誤を判断してしまうタイプの人は、大きく失点してしまう可能性があります。ただし、丁寧に選択肢の瑕疵を探せば、ほぼ答えが見つかるので、粘り強ささえあれば全問正解することも可能です。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…語彙6問中4問以上、内容一致3つ全て正解
他教科を得点源にしたい受験生…語彙6問中3問以上、内容一致2つ正解

【第5問】(難易度:やや易~標準) 

「家畜に対する抗生物質の過剰投与」がテーマの長文です。設問は、本文に書かれてある順に並んでいるので解きやすいです。また、ここまでの大問に見られるような医療的に難しい(と一見思える)テーマから離れて一般的な背景知識で内容が推測できるテーマでもあるので、解きやすさは増すかもしれません。基本的には、正答の根拠となる該当箇所を本文中に探して、選択肢とその部分とを照合する作業が中心となります。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…6問中5問以上正解
他教科を得点源にしたい受験生…6問中4問以上正解

【第6問】(難易度:標準) 

前半は、短めの日本語の文章を読み、それを30語程度の英語でまとめる英作文で、後半は、短めの英語の文章を読み、それを50字程度の日本語でまとめる要約問題です。

前者の英作文は、書かれてある日本語の文章自体は平易ですので、不要な箇所(譲歩や具体例)を削り、書き手の要旨をつかむことはすぐできるでしょう。要約する際に、30語という制限が少しきつく感じられるかもしれません。ダラダラ書いてしまうとすぐに字数オーバーとなるでしょう。例えば、無生物主語を用いて引き締まった文体で書く、be able toではなくcanを使うなど、語数を節約する書き方を工夫する必要があります。設問文はスマートフォンの「功罪」とありますので、大まかにいって、「功」にあたる部分を15語程度、「罪」にあたる部分も15語程度で要約しましょう。いずれもほぼ1文ずつ書かねばなりません。

後者の要約問題は、英作文と同じ要領で、不要な箇所を削り、重要な骨子をうまく抜き出して50字程度の日本語でまとめます。こちらは、書かれてある英文自体は高校1年生レベルのものに見えますので、読むのに支障は全くありません。字数のみ大幅にオーバーしてしまわないように気をつけてあまり時間を書けずに解答しましょう。

≪2021年度の目標値≫
英語を得点源にしたい受験生…英作文70%以上、要約満点を目指す
他教科を得点源にしたい受験生…英作文50%以上、要約7割を目指す

【総評】

医療的な内容を含む文章が多い出題となっていますので、日ごろから新聞や雑誌などで医療情報に触れておき、背景知識を強化しておくと解きやすさが増すでしょう。また、全体的に語彙レベルが高めなので、標準的な単語帳を終えた後は、もう一段階レベルが上の単語帳や、資格試験(英検準1級程度)で問われるレベルの語彙習得に挑戦しておけば、ますます解きやすく感じられるはずです。

長文の内容を問う問題(内容一致を含む)は、一定レベルの語彙力さえクリアしておけば、比較的簡単に正答にたどり着けるものが多いので、選択肢と本文の根拠となる該当箇所とを粘り強く照合しましょう。

全体として、英語が得意な受験生は高得点を目指せます。80点以上をとることも十分可能です。一方で、他科目を得点源にしたい受験生も、難しそうな語彙問題や英作文などにはある程度見切りをつけて、そのぶん作り出すことのできた時間を内容一致問題の選択肢の検討などに使えれば、60点ほどは十分得点可能でしょう。そこに届かない場合には、解き方の問題ではなく、語彙力をはじめとした英文読解の基礎力が不足している可能性がありますので、まずは語彙力強化を心がけてください。

まとめ

というわけで、今回は久留米大学医学部の英語についてまとめてみました。皆さんの参考になれば幸いです!

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投稿者:野口 剛

  • 役職
    英語科主任/英語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    9年
  • 出身大学
    京都大学教育学研究科
  • 特技・資格
    なし
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    愛媛県
  • お勧めの本
    最高の任務

受験生への一言
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