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『社説集』2022年8月まとめ④

『社説集』2022年8月まとめ④

 京都医塾国語科では、週に1回『社説集』として、生徒に新聞社説記事を紹介しています。

 今回は、『社説集』2022年8月まとめの④になります。➀で紹介した記事から、医学部受験生必見の記事2本を取り上げ、紹介したいと思います。

注目2本

604-15.家族、いのちとは問う 「ベイビー・ブローカー」で/2022/08/05 中外日報
607-9.デジタル教科書 利点生かす活用法を探りたい/2022/08/27 読売新聞

その① 604-15.家族、いのちとは問う 「ベイビー・ブローカー」で/2022/08/05 中外日報

本文

 カンヌ映画祭で二つの賞を受けた是枝裕和監督の映画「ベイビー・ブローカー」が注目を集めている。母親が事情があって育てることができない赤ん坊を預託する「ベビーボックス」。そこに預けられた乳児を盗み出し、子供が欲しい夫婦に売るという“悪党”仲間の物語で、韓国が舞台。最終的には「商売」よりも生まれた赤ん坊のいのちを、彼らの道行きに付いてくる若い生みの母親の幸せを最優先に、赤の他人同士が心を通わせ奮闘するというストーリーだ。

2022/08/05 中外日報

キーワード

  • ベビーボックス
  • 内密出産

解説

 「ベビーボックス」とは、日本で「赤ちゃんポスト」として知られるものです。子どもを出産したものの、何らかの理由で育てられなくなった親が、匿名で子どもを預ける場所です。日本では現在、熊本県慈恵病院にあるのみです(慈恵病院では「こうのとりのゆりかご」と呼称しています)。

 日本においても、韓国においても、家庭との関係や経済難、また性被害などによって、身元を明かせず、内密に出産せざるをえない場合があります。今年1月には、慈恵病院で国内初の内密出産が行われたと発表がありました。

 「ベイビー・ブローカー」はそうした現実を基にした映画です。さまざまな境遇を抱えて生きる人々が社会に存在するなかで、その命に向き合う仕事を志す医学部受験生には、どこかで触れてもらいたい作品です。

その② 607-9.デジタル教科書 利点生かす活用法を探りたい/2022/08/27 読売新聞

本文

 教育のデジタル化には、動画や音声、検索機能などを使えるというメリットがある。文字が拡大でき、読み仮名を振る機能もあるため、視覚障害者や外国人の子供にも有効だとされている。
 英語に導入すれば、英会話や英単語の正しい発音を繰り返し聞くことができるようになり、リスニングやスピーキングへの効果が期待されるだろう。
 一方、デジタルは紙に比べて記憶に定着しにくいとする研究結果も相次いで発表されている。中教審の部会でも、米国の大学院教授が「分析的に読むには、紙の方が優位だ」と述べた。
 紙は通信環境に左右されず、いつでも使える利点もある。今後も紙を主体として、デジタルの利点も生かしながら、学習の相乗効果を図るようにすべきだ。

キーワード

  • ICT
  • デジタル教科書

解説

 ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)が社会に急速に浸透しています。医療の分野では電子カルテの導入に始まり、最近はオンライン診療が注目されています。
 一方、教育においても、ICT機器を用いた授業の導入などが始まっています。京都の中学・高校でも、タブレット端末を生徒に配布する学校がちらほら出てきているようです。
 京都医塾では、iPad・ApplePencilを用いた授業を展開しております。記事にあるように、デジタル教材には利点・欠点の両面があります。それを踏まえ、最大限の効果があがる指導をしています。
 一例として、小論文面接科の取り組みを紹介いたします。

京都医塾 小論文 面接対策でのICT運用

講義:デジタル教材で行います。

講義で使用する基本テキストは電子配布です。講師の書き込みが生徒のテキストにも表示、保存されるので、授業のポイントを伝えるのに便利です。また、音声ファイルや画像・動画なども配布できるので、授業理解に資するものを提供できます。

小論文演習:紙で行います。

小論文作成は、紙で行います。本番の試験では紙で書く必要があるからです。Apple Pencilでタブレットに書くのと、鉛筆なりシャーペンで紙に書くのとでは、やはり感覚が違います。実際の試験に合わせた練習を重ねた方がベターです。

面接練習:動画を撮ります。

模擬面接を受ける生徒さんの動画を撮ります。自分を客観視することは面接練習においてとても大切です。撮った動画は生徒さんの端末に保存できます。

その他:生徒さんの個人ブースに「ミスリスト」を貼ります。

間違えたこと、覚えなければならないことを書き出して、「ミスリスト」を作ります。京都医塾では、生徒さん一人ひとりに個人ブースが割り当てられます(浪人生科)。常に目に触れるところにあった方がいいので、「紙」のかたちでミスリストをブースの壁に貼ります。

 上記のように、デジタル、紙両方の特性を生かした指導を行っています。もちろん、これは小論文面接科だけの取り組みではありませんよ。京都医塾では各科目において、工夫をこらして「デジタル/紙」のハイブリッド授業を行っております!

投稿者:石田 景悟

  • 役職
    国語社会科主任/国語科講師
  • 講師歴・勤務歴
    12年
  • 出身大学
    京都大学文学部
  • 特技・資格
    ボルダリング最高グレード2段
  • 趣味
    登山・クライミング・ロードバイク
  • 出身地
    京都府
  • お勧めの本
    外道クライマー

受験生への一言
面接試験で、自分の思ってもいないようなことを語っても語るに落ちるのみで、破綻しますし、面接官の胸にも届きません。日頃から自分が何になりたいか、どうしたいか、医師になりたいならそれはどうしてかということを自分に問いかけ、内省する必要があるでしょう。授業ではそのように考える手助けもできれば良いなと考えております。