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化学の知識から考える電気自動車が脱炭素ってホント?

化学の知識から考える電気自動車が脱炭素ってホント?

京都医塾化学科の安逹です。

昨今、温暖化対策として、二酸化炭素の大気中への排出を減らす取り組みが世界中で行われています。その取り組みの中の一つに電気自動車があるので、今回はこれをピックアップして化学の知識とともにみていきましょう。

電気自動車ってどうやって動いているの?

ニュースなどで取り上げられる電気自動車ですが、多くの場合燃料電池自動車のことを指しているようですので、その原理についてみていきましょう。

まず、燃料電池ですが、水素と(空気中の)酸素を取り込んで、以下のような反応を起こして電気エネルギーを取り出しています。

負極)H2→2H+2e

正極)O2+4H+4e→2H2O

この反応を見ると確かに生成するのは水だけですので、クリーンな装置に見えます。

水素は何処から持ってくるのか?

前項で書いた通り、燃料電池は水素と(空気中の)酸素を取り込んで動くのですが、このときに使われる水素はどのようにして得られるのでしょうか。

電気分解による方法

中学校の実験でやったことのある人もいるかも知れもせんが、水を電気分解することで水素を得ることができます。

陰極)2H+2e→H2

正極)2H2O→O2+4H+4e

先ほどの燃料電池の逆向きの反応ですね。ただし、この反応を起こすために必要な電力を火力発電に頼ってしまえば、二酸化炭素を大気中に排出していることになります。また、詳細は省略しますが、効率的にもあまり望ましい方法ではありません。

水蒸気改質による方法

先ほどの電気分解ではあまり効率が良くないということで、現在多くの国がこの方法による水素の生成を採用しています。それが、以下の水蒸気改質という方法です。

反応1)CH4+H2O→CO+3H2

反応2)CO+H2O→CO2+H2

見ていただいた通り、水素を生成するために、二酸化炭素もともに生成しています。このように、燃料電池を動かすためには、水素が必要であり、その水素を作り出すためには二酸化炭素がどうしても一緒に出てしまうのが現状です。

まとめ

ここまで読んでいただいた方は燃料電池の運用においても、二酸化炭素の排出をゼロにすることはできないことがご理解いただけたことと思います。

多くのメディアはこうした負の部分をあまり報じてはいません。メリットだけにとらわれることなく、物事を議論する際は、メリット・デメリットの両面を理解した上で結論を出すことを意識できるようになると良いかと思います。

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