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藤田医科大学医学部の入試の過去問対策・出題傾向まとめ 【生物編】

藤田医科大学医学部の入試の過去問対策・出題傾向まとめ 【生物編】

 

京都医塾生物科です。
このページでは「藤田医科大学の生物」の過去問について分析します。

・“医学部受験に興味がある”という方
・“藤田医科大学”の受験を考えている方
・“藤田医科大学の生物がどのような問題か知りたい”という方

におススメの記事となりますので、興味のある方はご一読ください。

概要

【形式・制限時間・配点】2021年度(最新の問題より) 

形式:記述式
時間:2科目120分
大問数:4題
配点:100点

出題の傾向と特徴(6年分)

2016年度は大問3題の形でしたが、2017年度以降は大問4題の形式が続いています。知識問題は記述式で出題されることが多く、論述問題の出題も非常に多く見られます。計算問題や描図問題などが出題されることもあり、形式は多岐に渡ります。また、2021年度に新型コロナウイルスの検査でも用いられている抗体による抗原検出キットのしくみについて出題したり、2017年度に前年ノーベル生理学医学賞を受賞したオートファジーのしくみについて出題したり、と最新トピックが題材にされることも多く、基礎事項を身につけただけでは対応しきれない難しい問題になりがちです。以下に分野別の傾向をまとめます。

【1 細胞と分子】

2019年度は膜タンパク質を介した物質輸送、2017年度は細胞内のタンパク質品質管理のしくみについての出題がありました。特に後者はオートファジーのしくみを詳しく問うもので、高校では学習しない内容を知識として身につけていることを求められる難しいものになっていました。教科書レベルの知識は完璧にした上で、資料集などで発展的な知識にも触れながら学習を深めることが必要です。

【2 代謝】

2021年度は乳酸脱水素酵素について、2019年度は発酵について、2017年度は呼吸について、といった具合に、異化を中心に出題されています。発酵の問題では発酵以外の食品保存方法を問うなど、教科書の知識だけでは対応できない問題も見られます。確実に正答できる問題から順に解答することが求められます。

【3 遺伝情報の発現】

2021年度の複製とPCR法、2020年度・2018年度の遺伝子発現のしくみ、2017年度の遺伝子の本体解明にまつわる内容、といった出題が見られます。それぞれ複雑な計算や難解な考察を伴う問題になっており、一筋縄ではいきません。過去問に取り組んだ際に初めて知る知識も出てくることと思います。もととなる基本的な内容を確実に理解した上で知識の積み増しを目指しましょう。

【4 生殖・発生・遺伝】

減数分裂や配偶子形成についての出題はあるものの、他大学ではよく見られる動物の発生やそのしくみ、植物の発生などを扱った問題はほとんど出題が見られません。2018年度のように組換え価を計算する必要がある問題の出題もありますのでメンデル遺伝の基本は一通り確認しておくようにしましょう。

【5 生物の生活と環境】

2021年度は体内環境から2題、2020年度は動物の反応から2題、2019年度は体内環境から1題、2018年度と2017年度は動物の反応から1題、2016年度は動物の反応と植物の反応から1題ずつ、と出題に多少偏りは見られるものの常に出題されている分野になります。特に体液と受容器(耳が特に詳しい)や効果器からの出題が多く、出題された際には2021年度に一次止血と二次止血について扱われたり、2019年度に脳梗塞の治療に用いる薬について問われたり、と高校範囲を超越するような内容が含まれていることも多いです。解けるものを選んで解くことも大切ですが、リード文中の情報から必要なものを抽出して考察に取り組む姿勢も求められます。

【6 生態と環境】

2020年度の種間関係、2019年度のバイオーム、2018年度の個体群、2016年度の種間関係と生存曲線、と定期的に出題が見られるのが特徴です。他の分野と比べると基本的な内容の出題が多く見られる分野ですが、医学部受験生は学習が手薄になりがちな分野でもありますので、教科書レベルの内容を完璧に理解して臨みましょう。

【7 生物の進化と系統】

系統分類について他の大問の中で少し取り上げられることもありますが、かなり出題されにくい分野であると言えます。新課程の指導要領では進化の過程が重視されているため、今後出題の割合が変更される可能性はありますので、油断せずに基礎的な事項には目を通しておきましょう。

【制限時間に対する問題量】

特に2020年度以降は問題が目に見えて難化しているため、制限時間内に全てを解き切るのは非常に困難です。解ける問題を確実に解き、論述を書く時間や考察に費やす時間を捻出しましょう。理科2科目全体での時間配分を意識して問題に取り組む練習を事前にしておくことも有効でしょう。

まとめ

生物の問題が解きづらい大学のうちの一つです。基本事項はもちろんのこと、発展的な内容まで十分に理解した上で過去問に着手しましょう。難しい問題が多く出題される大学では、解ける問題を適切に選択することが求められますが、知識の精度を上げて「解ける」問題の幅を広げておくことで得点を伸ばしていきましょう。

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投稿者:廣瀬 希

  • 役職
    生物科統括/生物科講師
  • 講師歴・勤務歴
    11年
  • 出身大学
    京都大学大学院理学研究科
  • 特技・資格
    中高の理科教員免許所持
  • 趣味
    読書
  • 出身地
    岐阜県
  • お勧めの本
    ざんねんないきもの事典

受験生への一言
興味を持つこと、が理解に近づく第一歩です。いきものに興味を持って、生物の学習に取り組んでほしいです。