医学部を目指す皆さんは、「将来医師になったとき英語力はどのくらい必要なのだろう?」と疑問に思うかもしれません。
日本で医師として働く場合でも、医学の国際化や外国人患者の増加に伴い、英語の重要性は年々高まっています。
この記事では、医師に英語力が求められる理由や必要なレベルを解説し、医学部受験生の今から始められる英語学習法も紹介します。
英語力を磨いて、医師としての将来の可能性を大きく広げましょう。
目次
医師に英語力が求められる理由
医療の国際化と最新情報へのアクセス
医学の世界では新しい知見が次々と生まれ、その多くが海外から発信されています。
医学研究や診療ガイドラインの国際標準言語は英語であり、世界中の研究者が英語で成果を発表しています。
そのため、日本の医師も最新の医療情報にアクセスするには英語論文を読める力が不可欠です。
近年は自動翻訳ツールの精度も上がっていますが、細かなニュアンスまで正確に理解するにはやはり原文を自分で読めることが望ましいです。
忙しい臨床の合間でも、英語で書かれた論文に素早く目を通せれば知識のアップデートを効率的に行えます。
英語読解力があるかどうかが、医師として最新知識を身につけ続けるスピードを左右するといっても過言ではありません。
外国人患者対応の増加
昨今、日本には観光や留学・就労で訪れる外国人が増え続けています。
実際、2024年末時点で日本に在留する外国人は約376万人に達し、過去最多を更新しました。(出典:ニッポンドットコム)
こうした背景から、日本国内の病院でも外国人患者を診療する機会が着実に増えています。
英語は世界共通語として通じる場面が多いため、母語が異なる患者さんとのコミュニケーションには英語での会話力が求められるケースが増加しています。
実際に医師1,000人を対象にした調査では、約9割の医師が「外国人患者が増えている」と感じており、診療時に「英語で診療内容を十分説明できなかった」「症状や病歴を正確に聞き取れなかった」経験がある医師も4割前後にのぼりました。(出典:マイナビニュース)
言葉の壁による説明不足や聞き取りミスは、医療の質や患者の安心に直結する問題です。
このような事態を防ぎ安全な医療を提供するためにも、医師には英語で症状を聞き取り、分かりやすく説明するコミュニケーション力が求められています。
学会・研究発表での必須スキル
医学分野の国際学会や研究発表の場では、英語の使用が避けて通れません。
発表スライドの作成から口頭発表、さらには質疑応答まで、基本的に英語で行われます。
自分の研究成果や症例報告を世界に発信するためには、英語でプレゼンテーションできるスピーキング力が必須です。
また、国際学会では発表後に海外の研究者から英語で質問を受けるため、その場で的確に答える力も求められます。
英語力が不足していると、せっかくの貴重な研究発表の機会を十分に活かせない可能性があります。
国際学会での発表経験は研究者や臨床医としてのキャリアの大きなステップになるため、その分岐点で英語が壁とならないよう準備しておくことが大切です。
医師に必要な英語力

医学書や論文を読みこなすリーディング力
医師にとって最も基礎となるのが、医学書や論文を読解するリーディング力です。
医学部に進学すると、授業で海外の教科書が使われたり、研究のために英語の原著論文を読む機会が多くなります。
医学部受験で培った英文読解力はそのまま土台になりますが、専門用語や難解な表現も出てくるため、さらに語彙力を強化しておく必要があります。
幸い、多くの医学生は受験勉強を通じて英文を読む力は身についているので、「読むこと」に関しては基本的な文章なら対応できる人が多いでしょう。
しかし、医学専門の単語や言い回しは日常英語とは異なるため、解剖学用語や生理学の専門用語など、医療英語特有のボキャブラリーをコツコツと増やしていくことが大切です。
最新の医療知識を得るには英語論文へのアクセスが不可欠なので、医師として働き始めるまでに英語の文献を調べ読み解く習慣をつけ、基礎的なリーディング力を身につけておきましょう。
論文やレポートを執筆するライティング力
医師のキャリアでは英語で文章を書く場面も避けられません。
医学部の学生であれば英語論文の抄読会やレポート課題があり、卒業後研究の道に進めば英語で論文執筆・投稿を行うことになります。
論文執筆は読解より難しいと感じる人も多く、適切な表現や文章構成のスキルが求められます。
英語で論理的な文章を書くには、学術論文で使われる定型的な言い回しや語法を身につける必要があります。
既存の英語論文を読んで表現パターンを学んだり、自分で英文を書いてみて指導を受けたりして、ライティング力を鍛えていきます。
また、研究内容を日本語で書いて翻訳会社に依頼する方法もありますが、費用がかかる上にニュアンスが正確に伝わらないリスクもあります。
自分自身で英語論文を書ける力があれば、意図したとおりの内容を盛り込めて修正も自在に行えます。
学生のうちから英語で文章を書く訓練を積んでおけば、将来、学会発表の要旨作成や論文投稿の際にも大いに役立つでしょう。
正確で読みやすい英語を書けるスキルは、国際的に医学知識を発信していく上で欠かせない力です。
学会発表や留学に必要なスピーキング力
英語のスピーキング力は、国際学会での口頭発表や海外留学時のコミュニケーションで必要となる力です。
プレゼンテーションでは、自身の研究や症例について英語で説明し、質問に答えなければなりません。
「発音がネイティブのように流暢でなければ」と身構える人もいますが、実際には内容を的確に伝えることのほうが重視されます。
たとえ片言でも、自分の専門分野のことを論理立てて堂々と説明できれば評価されます。
また、海外の医療現場や研究室では、ディスカッションやカンファレンスも英語で行われます。
こうした場で積極的に発言するには、専門知識に加えて英語で意見を述べる度胸と表現力が求められます。
普段から英語で話す訓練を積み、「伝わる話し方」を意識しておくことで、発音や流暢さに多少自信がなくても実戦の場でしっかり対応できるようになります。
臨床現場で外国人患者と向き合うリスニング力
リスニング力は、外国人患者を診察するときに重要です。
患者さんが訴える症状や不安を正しく聞き取れなければ、誤診や見落としにつながる恐れがあります。
特に救急や初診の場では、相手の話す英語を迅速かつ正確に理解することが安全な医療に直結します。
英語圏出身の患者だけでなく、非英語圏の患者が不慣れな英語で話す場合もあり、様々なアクセントの英語に対応する力も必要です。
医療面接では「いつから痛むのか」「どんな痛みか」「既往症はあるか」といった質問を英語で投げかけ、返ってきた答えを正確に把握する力が求められます。
これは単なる英語力だけでなく、医療知識と照らし合わせて理解する総合力と言えるでしょう。
英語での問診や説明に慣れていない医師は、患者さんの返答が聞き取れず戸惑ってしまうケースもあります。
日頃からリスニング力を鍛えておけば、そうした場面でも落ち着いて対応できるようになります。
例えば英語の医療ドラマや講演を聞いてトレーニングしたり、医療通訳の動画教材を活用したりするのも効果的です。
英語の聞き取りに自信がつけば、外国人患者さんとのコミュニケーションも円滑になり、安心して診療を進めることができるでしょう。
英語力を身につけることで広がる医師のキャリア

海外留学や国際共同研究への参加
英語力があると、医師のキャリアの舞台を海外にまで広げることができます。
大学院で研究を深めた後、アメリカやヨーロッパの有名な研究機関に留学して最先端の研究に携わる日本人医師も少なくありません。
海外の病院で臨床研修を積む道もあります。
そうした経験を通じて専門分野の知識や技術が磨かれるだけでなく、世界中の優れた医師たちとの人脈も築かれます。
また、国際的な共同研究プロジェクトへの参加も現実的になります。
例えば世界的な治験や多施設共同研究では英語でディスカッションしデータをやり取りしますが、語学のハードルがなければ日本に居ながら国際研究に貢献できます。
英語力は、国内に留まらずグローバルに活躍する医師になるために重要なスキルです。
外国人患者からの信頼獲得
英語で診療対応ができることは、外国人患者さんからの信頼を得る上で大きな強みになります。
言葉が通じない状態では患者さんは不安を感じるものですが、医師が英語で症状や治療方針を説明できれば患者さんは安心できます。
「この先生は自分の話を理解してくれる」と感じてもらえれば、治療への協力姿勢も高まり、より良い医療結果につながります。
英語対応が可能な医師がいる病院は口コミや評判でも選ばれやすく、医療機関全体の評価向上にもつながります。
日本国内の医療現場でも多様なバックグラウンドの患者さんに質の高い医療を提供するため、英語による説明・対話力を備えた医師の存在価値はますます高まっています。
英語力は患者さんの信頼を得て満足度を高める武器となるのです。
キャリア形成におけるメリット
医師としての英語力は、昇進や転職などキャリア形成の局面でもプラスに働きます。
語学力があることで担える業務の幅が広がり、国際部門のポジションや海外対応が必要な役職に抜擢される可能性も出てきます。
例えば、都市部や空港付近の病院では、英語で診療できる医師を好条件で募集するケースがあり、英語力が収入や処遇面で優遇につながる場合があります。
また、英語に堪能な医師は臨床以外のフィールドでも活躍できます。
製薬企業のメディカルドクター(医師免許を持つ職員)や国際保健機関(WHOなど)のスタッフなど、英語力を武器に新たなキャリアを切り開く道もあります。
こうした職種では海外の専門家とのコミュニケーションや英文での資料作成が日常的に発生しますが、高度な英語力を備えていれば活躍できるでしょう。
厚生労働省の調査によれば全国の病院5,453施設中、外国人患者対応の専門コーディネーターを配置している病院は148施設(全体の1割未満)に過ぎません。(出典:厚生労働省)
多くの病院では通訳専門職員が不足しており、直接英語で説明できる医師は貴重な存在です。
このように英語力のある医師は現場で貴重な人材とされます。
昇進や転職でも有利になる場合があり、結果としてキャリアアップや収入増にも好影響を与えるでしょう。
医学部受験生が今から準備できる英語学習法

受験英語を超えて医学英語につながる基礎作り
医学部を目指す受験生にとって英語は必須科目です。
まずは受験英語で高得点を取るための基礎力をしっかり固めることが最優先ですが、その先を見据えた学習も心がけましょう。
文法事項の理解や長文読解力といった受験英語の土台は、医学部進学後に英語の専門書や論文を読む際の下支えになります。
例えば、難解な英文を正確に和訳する訓練は、そのまま将来英語論文を読む力につながります。
受験の過程で覚える単語も、医学で頻出するラテン語由来の専門用語と重なるものが多くあります。
したがって、「試験に出るから覚える」のではなく、「将来英語で医学を学ぶ下地を作っているのだ」という意識で勉強することが大切です。
具体的には、英文法の参考書で曖昧だった箇所を潰す、長文問題集で背景知識を蓄えながら読み解く、といった努力が将来の自分への投資になります。
受験英語の勉強はゴールではなく、医学生・医師として英語情報に触れるためのスタートだと捉えて、幅広い語彙力と読解力を養っておきましょう。
医学系ニュースや教材を使ったリーディング練習
受験勉強の合間にも、少しずつ医学・科学系の英語記事に触れてみることをおすすめします。
最初から専門誌の論文を読むのは難しいですが、例えば海外の医療ニュースサイトや科学雑誌の短い記事なら高校生でも挑戦しやすいでしょう。
こうした記事を辞書を引きつつ読んでみると、「ワクチン」「免疫」「糖尿病」といった医学用語の英訳や、海外の医療事情に関する背景知識が自然と身につきます。
また、日本の医療ニュースを英語で伝える双方向のウェブサイトや、医学英語の入門書などを活用するのも良いでしょう。
具体的な教材が手元になくても、興味のある医療トピックについて英語版Wikipediaを読んでみるのも勉強になります。
大事なのは「難しい医学英語に慣れること」です。
1日1記事でも構いませんので、継続して読む習慣を作れば、大学に入ってから専門的な英語文献に向き合うハードルがぐっと下がるはずです。
シャドーイングや英会話で実践力を鍛える
英語のリスニング力とスピーキング力は、机上の勉強だけでは伸びにくい部分です。
医学部受験ではリスニング試験が課される大学もありますが、将来的な実践力まで考えるならシャドーイングと英会話練習を取り入れてみましょう。
シャドーイングとは、お手本の音声を聞いてすぐ後に影のように追いかけて発音するトレーニングです。
医療に関する教材があればベストですが、一般の英語ニュースやドラマの音声でも構いません。
例えば、医療ドラマのワンシーンや健康トピックのTEDトークなどを再生し、聞こえた英語をそのまま真似して声に出します。
これにより発音矯正だけでなく、音の塊で英語を捉える聴解力も養われます。
同時に自分でも発声することで、スピーキングの筋力がつきます。
加えて、可能であれば英会話の機会も作りましょう。
学校のALTの先生やオンライン英会話で、簡単な自己紹介やフリートークから始めてみてください。
最初はたどたどしくても、話そうとする姿勢が大事です。医学部に進学すると、英語でディスカッションする授業や海外実習もあり得ます。
高校生のうちから英語で「自分の言葉を発する」経験を積んでおけば、本番で臆せず対応できるでしょう。
シャドーイングと英会話練習を継続すれば、リスニングとスピーキングの両面で着実に力がついていきます。
それが将来、外国人患者さんや海外の医師と向き合う際の自信につながるはずです。
各自のペースで構いませんので、今日からできる範囲で英語学習に取り組んでみてください。
積み重ねた努力は医学部合格後、そして医師になったときに大きなアドバンテージとなり、皆さんの活躍の場を大きく広げてくれることでしょう。
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将来医師として活躍するためには、英語力を含めた幅広い学力が欠かせません。
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まとめ

この記事では、医師として英語力がますます重要視される背景や、必要とされる具体的なスキル、医学部受験生が今からできる学習法について解説しました。
最新の医療情報へのアクセスや外国人患者への対応、国際学会での発表に至るまで、英語は医師としてのキャリアを大きく左右する要素です。
つまり、英語学習は受験のためだけでなく、将来の医師人生を豊かにする基盤でもあるのです。
一方で、受験生にとっては膨大な勉強量と不安が重なるため、どのように英語や他科目を効率よく伸ばせば良いか迷うことも多いでしょう。
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