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酸素解離度の分母は何故100%じゃないのか(前編)

酸素解離度の分母は何故100%じゃないのか(前編)

京都医塾生物科の井崎です。この全3回のシリーズ記事では、生物の<酸素解離度の公式>の理解を深めていきます。

酸素運搬の計算問題で立式する際に、「分母に95(%)や98(%)などではなく100(%)を入れる場合があること」が理解できない方は、ぜひ読んでみてください。それでは始めましょう。

「酸素解離度」は、ヘモグロビンが持つ性質です。

ヘモグロビンは、赤血球に含まれるタンパク質の一種です。


左から赤血球、血小板、白血球
(Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ)

肺では、ヘモグロビン(Hb)は酸素(O2)と結合して酸素ヘモグロビン(HbO2)になり、組織で酸素を解離して元に戻ります。

化学の勉強が進んでいる人向けに書くと、これは化学平衡における「平衡の移動(ルシャトリエの原理)」の話です。肺では酸素が多いから上式の平衡が右へ移動し、組織では酸素が少ないから上式の平衡が左へと移動しているわけです。

そして、「全ヘモグロビン量」に対する「酸素ヘモグロビン量」の百分率を「酸素ヘモグロビンの割合」と言います。つまり、以下のようになります。

この「酸素ヘモグロビンの割合」は、肺では95%、組織では約30%だとしましょう。

そして「酸素解離度」は、以下のように定義されます。これはある種の「酸素運搬効率」を表す値です。

「酸素解離度」のポイントは、分母が100%ではなく約95%になることです。

また、問題によっては「酸素解離度」を使わず、分母を100(%)とするものもあります。

なので、分母が95%の時と100%の時の違いを理解する必要があります。

例えば、次の問題を解けますか?

(ちなみに、ここの数値計算では電卓を使ってもらって構いません。この記事の主眼は「間違いなく四則計算を実行できる能力」を養ってもらうことではなく、「式を立てる力」と「立てた式の意味を理解する力」を養ってもらうことなので。)

【問題1】

肺の血液100(mL)中に酸素が20(mL)含まれる時、100(mL)の血液が組織で放出する酸素量(mL)を求めよ。ただし、「酸素ヘモグロビンの割合」は肺で95%、組織で30%とする。

【問題2】

ヘモグロビンは血液100(mL)中に15(g)存在し、1(g)のヘモグロビンは最大で1.4(mL)の酸素と結合できるとすると、100(mL)の血液が組織で放出する酸素量(mL)を求めよ。ただし、「酸素ヘモグロビンの割合」は肺で95%、組織で30%とする。

*****  解けたら、以下の答えを確認してみてください  *****

答えが合った人は、生物の計算問題が得意だと考えてよいでしょう。答えが合わなかった人は、この手の計算問題における「分母を95(%)にするか100(%)にするか、という区別」が十分に理解できていません。

是非、次回以降のこのシリーズ記事を読んでみてください。