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医学部合格のために物理のN(垂直抗力)を正しく理解

医学部合格のために物理のN(垂直抗力)を正しく理解

京都医塾物理科の馬渕です。

今回は、物理の学習をし始めた人にありがちなミスを紹介したいと思います。

テーマは、「垂直抗力」です。垂直抗力は記号でよく N と表記されますので(Normal force の N)、本記事でも図中では N を用いることとします。具体例を通して、垂直抗力への理解を深めていきましょう。

垂直抗力を考える例題1

※すべての例を通して、重力加速度の大きさは g とします。

この場合、垂直抗力はどの向きに働き、その大きさはいくらとなるでしょうか。力を描図して考えてみましょう。

上図のように、水平面に垂直で、いわゆる多くの方が思う「上」向きで、大きさは mg となります。この例は、ほぼすべての生徒が正解できます。

垂直抗力を考える例題2

この例では、垂直抗力の向きと大きさはどうなるでしょうか。例 1 と同様に、力を描図して考えてみましょう。このとき、以下のように間違えてしまう生徒さんがいます。

まず、上図のように力を描き込んでしまいます(f は静止摩擦力で、ここも適当であることが多いのですが、それについては今回割愛します)。そして、悩んだ挙句、よく分からないけど「とりあえず垂直抗力の大きさは mg」としてしまいます。

垂直抗力の正しい向き

例 2 の間違いを見て、「そんな間違いはしませんよ」と思った方いるかもしれません。しかし、どれだけ状況が複雑になってきても、正しく垂直抗力を描く自信はありますか…?

ギクッとした方もいるかもしれませんが、大丈夫です。続きを読み進めてください。そもそも垂直抗力とは、いつも上向きになる力ではありません。垂直抗力とは

「面から受ける力のうち、面と垂直に生じる力」

のことです。垂直抗力の「垂直」とは面と垂直であることを意味します(大事なことなので 2 回言いました)。いま、物体は斜面から力を受けているので、その斜面に垂直な力が、垂直抗力となります。したがって、正しい向きは、下図の通りです。

※ 余談ですが、読者の皆さんは「鉛直」と「垂直」の違いを説明できますか?鉛直方向とは、重力の作用線の方向を指します。ここまで記事内では敢えて「上向き」という表現を用いてきましたが、これは不適当な表現で、正しくは「鉛直上向き」となります。つまり、注意点としては「垂直抗力は、いつでも鉛直上向きではない」となります。「鉛直」には、重力という絶対的な向きの基準があります。一方、「垂直」はある基準に対して直角という意味であるため、何を基準とするかによってその向きは変わります。垂直抗力の向きを正しく表す場合、例 1 であれば「水平面に垂直」(つまり「鉛直」)となり、例 2 であれば「斜面に垂直」となります。このように、何に対して垂直なのかという基準を、必ず言葉で示しましょう。

以上をもとに、他の例で正しく垂直抗力を描図したものを下図に示しておきます。いずれも向きは、「面に垂直」です。

垂直抗力の正しい大きさ

正しい向きが分かったところで、正しい大きさも求めてみましょう。「とりあえず N=mg」ではありません。厳しい言い方になりますが、これでは物理的なものの考え方が全く身に付いていないと言わざるを得ません。垂直抗力は、物体の運動状態を考えて、適切な関係式を立てることで、初めて求めることができます(重力のように、最初から大きさの分かっている力ではありません)。例 2 の場合、斜面上で静止していることから、斜面に垂直な方向の力のつりあいを立てることで、初めて求めることができます。

上図より、正しくは N=mgcosθ となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。垂直抗力について、誤った認識を持つ生徒は数多くいます。この記事を通して、改めて垂直抗力の正しい理解をしていただけると幸いです。京都医塾では、授業の中で、初学者がどのようなミスを犯しがちになるかという観点からも詳細に掘り下げた話をしており、その予防に努めています。ぜひ、京都医塾での学習を通して、正しい物理的なものの考え方を身につけていきましょう。

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